F老人の気ままな島暮らし日記

尾道市生口島で気ままな島暮らしの日々。

読書記録073「立場茶屋おりきー6-忘れ雪(今井絵美子)」

2012年10月15日 20時27分54秒 | 読書記録

立場茶屋の奉公人で労咳で死んだおたかの弟と妹で双子の三吉とおきち。女将のおりきは自分がおたかの病状に早く気が付いていれば死なせなくてすんだと後悔する気持ちから二人を引き取ろうとするが三吉はその前に大酒のみの父親に陰間として売られてしまう。目明しの亀蔵などの尽力で見つけ出され助けることができたがせっかんで耳が聞こえなくなっていた。

三吉は絵師としての才能を認められ、京の文人墨客のもとで修行にはげむことになる。

物語はいいことと悪いことが交互に起こるように進展するがおりきの周りでは「家族」である茶屋の関係者が懸命に生きて、ひとつづつ実を結んでくる。

江戸時代の草双紙を読んでいるかのような表現がよく出てきます。

「ぼた餅でほほをたたかれたような」⇒幸運がまいこむことのたとえ。

「ひょっくら返される」⇒?

「霜げた顔」⇒貧相になった顔。  など調べながら読むのも楽しいものです。

妻が病気で余命いくばくもない状態の浪人がその妻と幼い子供の首を絞め、その傍らで切腹してしまいます。覚悟の心中だとは言え、保障のない世の中を生きていかなければならない人々の悲哀を感じます。もっとも、現代で生活保護を悪用している人をみれば人間としては退化しているような気がしますが。

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