誕生から半月を経た鳩山新政権の眺め
誕生して半月を経た鳩山新政権をどう評価するか。見る人の立場、視点によって、さまざまだろう。
うまく進まない部分だけを取り上げれば、当然モタモタしているように感じる。
たとえば内閣官房に設けられた国家戦略室。部屋だけあって組織がないものだから、平野官房長官がいかにも菅直人の邪魔をしているとでもいいたげな、いわば「内閣官房権力抗争」の構図でとらえたがるメディアが多い。
しかし、9月26日の当ブログでも書いたように、予算編成のあり方を抜本的に見直す国家戦略室の委員会が、片山善博ら9人でスタートすることになっただけでも、「無」から「有」が生まれつつあるように筆者などは思う。
そのように、前進した部分だけを眺めていくと、景色はずいぶん違ってくる。
前政権が選挙対策で大盤振る舞いした15兆円近い09年度補正予算の無駄洗い出し作業だが、昨日、各省から提出された報告書から、どうやら2兆円までは凍結して、新財源として確保できる目鼻がついたらしい。
いったん決まった予算を執行停止にするのは、地方自治体への影響もからんで現実には難しい作業だが、省庁関連の施設整備費や、天下り法人に委託する基金など、削れる部分が多かったということだろう。
ただし、目標額は3兆円。朝日新聞には「目標の3兆円に届かず」という見出しが躍っている。当然、全体を調整する官邸側は「見直しが不十分」として、全省庁に差し戻すようで、最終調整には仙谷行政刷新相や、藤井財務相が乗り出すことになる。
もうすでに2兆円確保できて、あと1兆円に迫ったと考えればいいわけで、さまざまな壁はあっても、新政権のメンツにかけて、なんとしても3兆円は捻出しなければならないだろう。
政府が中途段階での凍結内容公表を見送ったことについて「足踏み」「政策決定が不透明になる」と書きたがるのは、メディアの習性と思っておけばいいことだ。
天下り根絶への取り組みにしても、すでに新政権では、各省庁や官民人材交流センターなど政府機関の天下りあっせんを全面禁止している。すなわち「表ルート」は絶った。それだけでも前進だ。
これから「裏ルート」の根絶を進めなくてはならないわけだが、そのためにはキャリア官僚が定年まで役所に勤務できるよう、制度や慣行、給与の見直しを含めた抜本改革が必要だ。一朝一夕にはできない。
「裏ルート」は、官僚OBのネットワークによる天下りとわたりだ。天下りしたOBが後輩を呼び寄せるようなケースや、現役時代の地位により指定席化した天下りがある。
ほかに、退職後の人事に関与する「秘密クラブ」めいた大物OB組織もある。たとえば、「日本法制学会」という財団法人は財務省や総務省の事務次官クラスが役員に名を連ね、そのボスたちが財務省を中心とした幹部OB人事を仕切っているといわれる。
こうしたルートへの暫定的な対応として、新政権は、閣僚が任命権を持つ独立行政法人と特殊法人の役員に対象を絞って、官僚OBの天下りにストップをかけた。
9月末に任期切れとなったポストへの10月1日就任が内定していたOBは現在、宙ぶらりの状態だ。
空きポストの人事は公募で決めることにし、官僚OBの応募を認めることにしたが、早くも「公募で結果的に官僚OBが選ばれたら単なる抜け道だ」と批判を浴びている。
しかし、官僚OBだからといって、いきなり再就職の道を閉ざすわけにもいかない。
なによりも、公務員制度、天下り団体への随意契約、補助金、そして団体の必要性の見直しなど、総合的な枠組みのなかで、天下り根絶を進めていくことが大切だろう。
誕生して半月を経た鳩山新政権をどう評価するか。見る人の立場、視点によって、さまざまだろう。
うまく進まない部分だけを取り上げれば、当然モタモタしているように感じる。
たとえば内閣官房に設けられた国家戦略室。部屋だけあって組織がないものだから、平野官房長官がいかにも菅直人の邪魔をしているとでもいいたげな、いわば「内閣官房権力抗争」の構図でとらえたがるメディアが多い。
しかし、9月26日の当ブログでも書いたように、予算編成のあり方を抜本的に見直す国家戦略室の委員会が、片山善博ら9人でスタートすることになっただけでも、「無」から「有」が生まれつつあるように筆者などは思う。
そのように、前進した部分だけを眺めていくと、景色はずいぶん違ってくる。
前政権が選挙対策で大盤振る舞いした15兆円近い09年度補正予算の無駄洗い出し作業だが、昨日、各省から提出された報告書から、どうやら2兆円までは凍結して、新財源として確保できる目鼻がついたらしい。
いったん決まった予算を執行停止にするのは、地方自治体への影響もからんで現実には難しい作業だが、省庁関連の施設整備費や、天下り法人に委託する基金など、削れる部分が多かったということだろう。
ただし、目標額は3兆円。朝日新聞には「目標の3兆円に届かず」という見出しが躍っている。当然、全体を調整する官邸側は「見直しが不十分」として、全省庁に差し戻すようで、最終調整には仙谷行政刷新相や、藤井財務相が乗り出すことになる。
もうすでに2兆円確保できて、あと1兆円に迫ったと考えればいいわけで、さまざまな壁はあっても、新政権のメンツにかけて、なんとしても3兆円は捻出しなければならないだろう。
政府が中途段階での凍結内容公表を見送ったことについて「足踏み」「政策決定が不透明になる」と書きたがるのは、メディアの習性と思っておけばいいことだ。
天下り根絶への取り組みにしても、すでに新政権では、各省庁や官民人材交流センターなど政府機関の天下りあっせんを全面禁止している。すなわち「表ルート」は絶った。それだけでも前進だ。
これから「裏ルート」の根絶を進めなくてはならないわけだが、そのためにはキャリア官僚が定年まで役所に勤務できるよう、制度や慣行、給与の見直しを含めた抜本改革が必要だ。一朝一夕にはできない。
「裏ルート」は、官僚OBのネットワークによる天下りとわたりだ。天下りしたOBが後輩を呼び寄せるようなケースや、現役時代の地位により指定席化した天下りがある。
ほかに、退職後の人事に関与する「秘密クラブ」めいた大物OB組織もある。たとえば、「日本法制学会」という財団法人は財務省や総務省の事務次官クラスが役員に名を連ね、そのボスたちが財務省を中心とした幹部OB人事を仕切っているといわれる。
こうしたルートへの暫定的な対応として、新政権は、閣僚が任命権を持つ独立行政法人と特殊法人の役員に対象を絞って、官僚OBの天下りにストップをかけた。
9月末に任期切れとなったポストへの10月1日就任が内定していたOBは現在、宙ぶらりの状態だ。
空きポストの人事は公募で決めることにし、官僚OBの応募を認めることにしたが、早くも「公募で結果的に官僚OBが選ばれたら単なる抜け道だ」と批判を浴びている。
しかし、官僚OBだからといって、いきなり再就職の道を閉ざすわけにもいかない。
なによりも、公務員制度、天下り団体への随意契約、補助金、そして団体の必要性の見直しなど、総合的な枠組みのなかで、天下り根絶を進めていくことが大切だろう。
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