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「国民国家は壊れてしまう。グローバル企業の天下になるよ」と内田樹さん

2013年05月08日 08時35分30秒 | Weblog
「国民国家は壊れてしまう。グローバル企業の天下になるよ」と内田樹さん

(生き生き箕面通信1598)より


 「国民国家の時代は最終段階に入り、世界は『利益を吸い尽くすグローバル企業』の天下になりつつある」――これが、内田樹(たつる)さんが見る大状況です。内田さんは、現在は神戸女学院大名誉教授で、朝日新聞の本日5月8日付け朝刊に「壊れゆく日本という国」(15面)と題する論考を寄せています。

 「国民国家としての日本」は解体過程に入った、というのが結論です。そもそも国民国家というのは、1648年のウェストファリア条約のときに原型が整い、以後400年ほど国債政治の基本単位であった。しかし、政府は国民を「身びいき」することをやめて、グローバル企業の利益を優先するようになってきた。

 政府がグローバル企業の利益を優先させる具体例は、                                              ①原発を再稼働させて電力価格を引き下げようとする「製造コストの外部化」                                  ②高速道路を縦横に走らせる「流通コストの外部化」                                                 ③英語が話せて辞令1本で海外勤務もさせられる使い勝手のいい若年労働力を供給させる「人材育成コストの外部化」            ④汚染された環境を税金を使って浄化させる「環境保護コストの外部化」                                         などです。「外部化」というのは、税金を使って企業の利益になることを代わりにやってあげることなのです。

 つまり、グローバル企業の側から見れば、国民国家は「食い尽くすまで」は使いでのある「資源」でした。政権与党はそのことを「企業利益は国の利益」という詭弁で、国民に犠牲を迫ってきた、と指摘しています。

 内田さんによると、「ケネディのスピーチの枠組みを借りて言えば、『グローバル企業が君に何をしてくれるかではなく、、グローバル企業のために君が何をできるかを問いたまえ』という時代」なのだそうです。そして、「日本のメディアがこの詭弁を無批判に垂れ流していることに私はいつも驚愕する」とも記しています。

 筆を進めて、「私たちの国で今行われていることは、つづめて言えば『日本の国富を各国(とくに米国)の超富裕層の個人資産へ移し替えるプロセス』なのである」と、喝破しています。

 さらに、「現在の政権与党の人たちは、米国の超富裕層に支持されることが政権の延命とドメスティックな威信の保持にたいへん有効であることをよく知っている。戦後68年の知恵である」とも。

 そうして、安倍政権の下で「国家の解体」が実態として進んでいることを、「政治家たちも官僚もメディアも、なぜかうれしげに見つめている。たぶんこれが国民国家の『末期』のかたちだろう」と、突き放しています。

 そのうえで、「この国民国家の解体は日本だけのできごとではない。程度の差こそあれ、同じことは全世界で今起こりつつある。気の毒なのは日本人だけではない」と、慰めてくれています。

 内田さんは最後に、「そう聞かされると少しは心が晴れるかも知れない」と結んでいます。しかし、心はちっとも晴れませんよね。


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