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原子力利権複合体を抑え脱原発大方針を定めよ

2011年05月03日 19時55分13秒 | Weblog
原子力利権複合体を抑え脱原発大方針を定めよ・・・(植草一秀の『知られざる真実』

東京電力は福島第一原子力発電所で、絶対に起こしてはならない人類史上最悪のレベルに区分される放射能放出事故を引き起こしてしまった。
 
 原子力利用の最大のリスクは、万が一事故を発生させたときの影響が甚大であることだ。

事故の程度によっては、一国全体を放射能の恐怖に陥れる。地球規模で放射能汚染をもたらすことも警戒される。
 
 放射能の恐ろしさは、その脅威が万年単位の長期にわたって持続することである。
 
 財政論議で常套句として使われる「子や孫の世代のために」という言葉は、原子力利用を考える際に、より適切な判断基準になる。
 
 なぜ、これほどまでに深刻な事態を引き起こす原子力であるにもかかわらず、原子力利用の強力な力が働き続けてきたのか。
 
 人類の幸福を追求して原子力利用が唱えられてきたのなら、原子力利用に目くじらを立てる必要もないだろう。

ところが、真実は、多くの関係者が原子力利権に群がり、死体に群がるハイエナのように、原子力利権を漁ってきたことにある。
 
 電力、重電、プラント、ゼネコンなどの原子力産業界、官僚機構、御用学界、利権政治屋、マスゴミ、そして米仏の原子力シンジケートが、ただひたすら利権のために原子力事業を推進してきたのである。
 
 日本は第二次世界大戦で核兵器を投下された世界で唯一の国である。

ファットマンとリトルボーイと名付けられた2個の原子爆弾が長崎、広島に投下され、ごく短期間に21万人の同胞が命を奪われ、多数の生存被曝者を生み、いまなおその後遺症が私たちの同胞を苦しめ続けている。
 
 戦後、日本では当然のことながら反核運動が活発化したが、米国は対日支配政策の一環に、日本における原子力利用の強制を位置付け、米国の意向を受けた日本人代理人を通じて、日本における原子力利用を強力に推進してきたのである。
 
 米国は日本が核保有国になることに警戒感を持ちながらも、日本がいつでも核保有国になれる状況を作り出してきたとも言える。

原子力平和利用推進の裏側に、核兵器保有へのプロセス確保の思惑が、日米双方に存在し続けてきたことも否定できない。

 米国の対日支配政策のなかでの原子力平和利用推進の謀略については、
4月4日付記事
「原発政策を誘導した米国核政策必見ドキュメント」

をご覧いただきたい。
 
「絶対安全」だとされてきた原発がいとも簡単に重大事故を引き起こした。

その理由が、わずか115年前に起きた津波の規模に対応する構造が用意されていなかったことにあったことも判明した。
 
 日本は世界でも有数の地震国、津波国である。

「TSUNAMI」がそのまま英語で通用することが語るように、津波は日本固有の代表的な自然災害である。
 
 原子力発電所を建設する際に、地震と津波への対応を万全にすることは、基本中の基本であると誰もが思う。

ところが、その備えが存在せず、今回の事故が起きた。
 
「万全の安全設計」の内情の一端が、今回の事故で明らかにされたわけだが、これが紛れもない真実であることを踏まえれば、「絶対安全」神話を二度と信じるわけにはいかなくなる。
 
 中部電力浜岡原子力発電所は、巨大地震の予想震源域の真上に立地し、しかも、巨大津波への対応が十分ではない。

直ちに運転を停止して、安全対策を講じるべきだとする主張に理があることは明白だ。
 
 日本の発電量に占める原子力発電の比率が3割にも達している現状を踏まえれば、脱原発など非現実的であるとの主張がすぐに聞こえてくる。
 
 しかし、この事実には裏側があり、日本の発電事情を考察する場合に、極めてミスリーディングである。
 
 原子力発電は、設備敷設に巨大な資金が必要だが、ここには巨大な財政資金が投入されている。

電力会社の限界的なコストである、単位発電量あたりのコストでは、火力や水力に比べて原子力が大幅に低い。

したがって、電力会社はまず原子力をフル稼働し、電力利用量の変化に応じて火力や水力発電を用いる。
 
 したがって、結果で見る発電量に占める原子力の比重が高くなるのだ。
 
 これに対して、発電能力に占める原子力の比率はかなり異なるものになる。
「宗子時空」様が提示されている数値を紹介すると、
 
•日本全体で発電能力は22608万kW。原発を抜くと17560万kW。

•電力需要のピーク(最大電力)は2001年7月の18200万kW。

(ソース:「日本の電力消費 - 電気事業の現状 | 電気事業連合会【でんきの情報広場】」)

東京電力の供給能力は6266万kW。原発を抜くと4535万kW。

•東京電力の電力需要のピーク(最大電力)は2001年7月24日の6430万kW。

(「ソース:TEPCO : プレスリリース | 最大電力の記録更新について(今夏5回目)」)

である。
 
 日本全体で言えば、過去のピーク時電力が18200万KWで原子力を除く発電能力が17560万KWであり、原子力を除く発電能力はピーク時電力を小幅下回るが、その差は驚くほど小さい。

また、発電能力に占める原子力の比率は22%にとどまる。
 
 ピーク時電力は、真夏の猛暑日で、全国で高校野球中継を視聴しているような時間帯に記録される電力使用量で、365日の電力使用量からすれば、極めて例外的に生じるような電力使用量である。

 つまり、これから日本のライフスタイル、経済政策方針を変えることで、日本においても脱原発は十分に可能なのである。
 
 JR東海が東京-大阪間にリニア新幹線を新設するなどの構想を発表しているが、このような時代錯誤の試みを全面的に見直すことが不可欠である。
 
 在来新幹線に比べて、リニア新幹線は使用電力が桁違いに大きくなると見られている。
 
 夏の冷房温度の調節を含めて、私たちはライフスタイルを全面的に見直して、電力使用量の削減に努めるべきであると思う。

夜のネオンサインも必要不可欠なものではない。

家庭内の照明も欧米に比べると、日本は著しく明るく設定されている。
 
 深夜にテレビ局が競って同じような放送を垂れ流す必要もないだろう。

夏の電力利用ピーク時間帯は、テレビ放送を持ち回りで1社か2社かに限定することなど、工夫の余地は無限に広がっている。
 
 福島での重大放射能放出事故の教訓を今後に生かさなければ、この事故による多大な犠牲は浮かばれることはない。
 
 脱原発は十分に現実的な目標なのである。

日本は政界唯一の核爆弾投下を受けた国として、核廃絶の先頭を進んでゆくべきだと思う。

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