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先に尖閣を「国有化」していた中国のしたたかさ・

2012年10月04日 21時34分39秒 | Weblog
先に尖閣を「国有化」していた中国のしたたかさ・・

[春名幹男「国際情報を読む」]

(日刊ゲンダイ)より

中国は世論戦、心理戦、法律戦、と3つの戦争を常道としている。

世論戦では、インターネットも含めたメディアで有利な情報を流す。

心理戦では敵を撹乱する。法律戦では、合法性を確保して敵の違法性を暴く、

という作戦だ。


尖閣諸島の領有権問題でも、これら3戦を同時展開。

「そもそも日中間に領土問題は存在しない」の一点張りであぐらをかいていた

日本政府は完全に出遅れた。

中国がネットや国連など外交の場でどれほど「中国領」と主張しても、日本国民が

惑わされることはまずないだろう。

しかし、国際社会に対する世論戦・心理戦で、中国は優位に立つ構えだ。

先週の国連総会で、中国の楊外相は「日本が釣魚島などを盗んだ」と、

日本を盗っ人呼ばわりして日本側を慌てさせた。

法律戦では、中国の李保東国連大使は9月13日、潘基文国連事務総長と会談して、

尖閣諸島が中国領であることを示す海図を提出した。

この海図は、1992年に中国が制定した「領海法」に基づくもの。

中国はこの法律で、尖閣諸島を中国領と明記している。

社会主義の中国では土地私有を禁止しており、

この法律はまさに尖閣諸島の「中国国有化」だった。

それから遅れること20年。

石原慎太郎東京都知事による尖閣諸島購入の動きに

対応して、野田佳彦首相は「国有化」を決定、現在のような事態に陥ったのだ。

日本政府は中国が先に国有化していることを認識していなかったのではないか。

1972年の日中国交正常化、さらに78年の日中平和友好条約締結を経て、

両国は問題を棚上げにしたまま現状を維持するという「暗黙の了解」を結んできた。

しかし、中国は領海法制定後、尖閣諸島を自国の管理下に置く方針に

転換したとみられる。

だから空母「遼寧」を東シナ海に配備し、軍事力を増強しているのだろう。

実は、尖閣は日米安保条約の対象だから「有事」になれば守られる、

と安心してはいられない。

条約は、米軍の自動介入を定めてはいない。

先に来日したパネッタ米国防長官に同行した米政府高官は、ワシントン・ポスト紙に対して

「岩(の島)をめぐる紛争に米国が巻き込まれるのは認められないだろう」と

本音を漏らしている。

◇春名幹男 早大客員教授。1
946年、京都市生まれ。
大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。
95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。
「秘密のファイル―CIAの対日工作」など著書多数。

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