元市民活動家の菅首相とオバマ大統領は沖縄の民意を無視するな 米国の市民組織が声明(日刊ベリタ)
沖縄米軍基地に反対する米国の市民組織The Network for Okinawaは6月14日、普天間基地の辺野古移転などを再確認した日米合意の破棄を求める声明を発表した。
声明は、菅首相とオバマ大統領が、6月5日の初の電話会談で、元市民活動家であるという両者の共通点を認め合ったにも拘わらず、両国政府の合意にたいする沖縄市民の圧倒的な反対を無視していると批判、大統領には、「アジア諸国の人々の基本的権利と尊厳を尊重し、維持する」とした今年5月の「国家安全保障戦略」の履行を求めている。(日刊ベリタ編集部)
米軍基地移設の現状についての「ネットワーク・フォー・沖縄」の声明(日本語訳)
我々「ネットワーク・フォー・沖縄」は、5月28日に発表された日米安全保障協議委員会の合同声明に強く反対する。
この声明によって日米両政府は、普天間空軍基地の「代替施設」として沖縄の辺野古に1,800メートルに及ぶ滑走路(滑走路は複数になる可能性有)を建設し、訓練の一部を徳之島に移転する意図を再確認した。
(訳者注:日本語版の声明には書かれていないが、英語版には滑走路が複数になる可能性が明記されている。V字案等の可能性を残すためであろう。)
第二次大戦末期の沖縄戦により、市民の4分の1にあたる10万人をも失った沖縄県民は、敗戦後の米軍占領時代を通じて主権も人権も自由も奪われていたが、復帰後38年経った今なお、この状態は変わっていない。
沖縄は日本の国土の0.6%を占めるにすぎないのに、不法に取り上げられた県内の土地に在日米軍基地の74%が置かれている。
新基地の建設は民主主義の理念に反し、環境を脅かし、日本にとっても米国にとっても安全保障の向上とはならない。
米政府は3月に、基地建設には現地の人々の同意が必要であるとの意向を再表明した。
実際は過去13年に渡り、沖縄県民は「普天間移設」の名目で進められようとしている米軍基地の拡大に反対し、かつこれを阻止してきており、現在沖縄の抵抗はかつてない強いものとなっている。
5月28日から30日の間に毎日新聞が沖縄で行った世論調査によると、実に県民の84%が辺野古の新基地建設に反対している。
さらに、91%が沖縄の基地を減らして欲しい、またはなくして欲しいと考えており、 71%が沖縄に海兵隊は必要ないとしている。
4月25日の県民大会には9万人の沖縄県民・仲井眞県知事・全ての自治体の市町村長・県議会議員・そして一人を除き全ての沖縄選出国会議員が集まり、普天間基地の無条件閉鎖と県内の新基地建設反対を訴えた。
5月16日には1万7千人が普天間基地を人間の鎖で囲んだ。
辺野古では住民達が2,200日以上も座り込みを続けている。
基地受け入れにともなう「経済振興策」によって利益を得るはずの地元経済界のリーダーでさえもが、受け入れにより「県民のプライド、自尊心、自立」を犠牲にすることを拒否しているのだ。
6月5日、日本の菅直人・新首相とオバマ大統領が初めて電話で会談し、元・市民活動家であるという両者の共通点を認め合った。
それにも拘わらず、同じ会話の中で、沖縄市民の圧倒的な反対を無視した二国間合意、すなわち辺野古新基地建設の実現に向けての努力を表明している。
人間のためだけではなく、他の種や海のためにも基地拡大は阻止しなければいけない。
日米両国が大規模な最新型軍事施設(事故をおこしやすいオスプレー・ヘリコプターを配備予定)を建設しようとしている辺野古は、独特な扇形をした大浦湾岸に位置している。
この湾には湿地・海草・サンゴ・マングローブなどの複雑で豊かな生態系が互いに関わり合い、壊れやすいバランスを保ちながら生存している。
これらの生物多様性を保持するには、森・川・海の組み合わせが大切なのだ。
この一帯は絶滅の危機にある海洋ほ乳動物ジュゴンを含む多種多様な海洋生物の生息地である。
2008年1月、米国サンフランシスコの地方裁判所は、沖縄の貴重な文化や歴史的遺産であるジュゴンに基地建設がもたらす影響を国防総省が考慮しなかったとし、文化財保護法に違反しているとの判決を下した。
4月24日、鳩山由起夫首相は「辺野古の海を埋め立てるのは、自然に対する冒涜だ」と言った。
沖縄の海兵隊の存在に戦略的価値はない。日米安保条約は日本の米国海兵隊への基地提供を義務づけていない。
沖縄の米海兵隊の多くは日本や沖縄を守るのではなく、イラクやアフガニスタンで戦っているのだ。
海兵隊の沖縄での訓練は、多くの日本人が信じ込まされているような「日本を守る」という建前とは全く関係ない目的で行われているのである。
同様に、グアムでの基地拡大も環境的・社会的破壊を伴うもので、海兵隊はこのような計画を正当化するような役割を果たし得ない。
「ネットワーク・フォー・沖縄」は米国大統領と日本の総理大臣に対し、二国間合意を変更し、普天間の土地を本来の持ち主に返還し、新たな軍事施設の建設計画を撤回するよう求める。
我々は、オバマ大統領が今年5月「国家安全保障戦略」の中で述べた、「アジア諸国の人々の基本的権利と尊厳を尊重し、維持する」という考えを沖縄県民にも確実に適用する事を強く要求する。
2010年6月14日
ネットワーク・フォー・沖縄
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「沖縄核密約」と米国が辺野古に固執する理由
米国はなぜ辺野古にこだわるのか。
今年の春、佐藤栄作元首相の机の引き出しの中から発見された「沖縄核密約」にはこのようなやりとりがあった。
「(米国政府は)沖縄に現存する核貯蔵施設の所在地である嘉手納、那覇、辺野古及びナイキ・ハーキュリーズ基地を、いつでも使用可能な状態で維持し、重大な緊急事態の際には実際に使用できるよう求める」
「(日本国政府は)そのような事前協議が行われた場合には、これらの要件を遅滞なく満たすであろう」
末尾に最高機密の指定とニクソン大統領、佐藤首相の署名がある。
辺野古には核貯蔵施設があり、有事には核兵器をまた運びこむ密約である。
貯蔵施設が今でもあるなら、沖縄の「抑止力」の正体はこれではないか。
それなら米国が辺野古に固執する理由も見える。
沖縄米軍基地に反対する米国の市民組織The Network for Okinawaは6月14日、普天間基地の辺野古移転などを再確認した日米合意の破棄を求める声明を発表した。
声明は、菅首相とオバマ大統領が、6月5日の初の電話会談で、元市民活動家であるという両者の共通点を認め合ったにも拘わらず、両国政府の合意にたいする沖縄市民の圧倒的な反対を無視していると批判、大統領には、「アジア諸国の人々の基本的権利と尊厳を尊重し、維持する」とした今年5月の「国家安全保障戦略」の履行を求めている。(日刊ベリタ編集部)
米軍基地移設の現状についての「ネットワーク・フォー・沖縄」の声明(日本語訳)
我々「ネットワーク・フォー・沖縄」は、5月28日に発表された日米安全保障協議委員会の合同声明に強く反対する。
この声明によって日米両政府は、普天間空軍基地の「代替施設」として沖縄の辺野古に1,800メートルに及ぶ滑走路(滑走路は複数になる可能性有)を建設し、訓練の一部を徳之島に移転する意図を再確認した。
(訳者注:日本語版の声明には書かれていないが、英語版には滑走路が複数になる可能性が明記されている。V字案等の可能性を残すためであろう。)
第二次大戦末期の沖縄戦により、市民の4分の1にあたる10万人をも失った沖縄県民は、敗戦後の米軍占領時代を通じて主権も人権も自由も奪われていたが、復帰後38年経った今なお、この状態は変わっていない。
沖縄は日本の国土の0.6%を占めるにすぎないのに、不法に取り上げられた県内の土地に在日米軍基地の74%が置かれている。
新基地の建設は民主主義の理念に反し、環境を脅かし、日本にとっても米国にとっても安全保障の向上とはならない。
米政府は3月に、基地建設には現地の人々の同意が必要であるとの意向を再表明した。
実際は過去13年に渡り、沖縄県民は「普天間移設」の名目で進められようとしている米軍基地の拡大に反対し、かつこれを阻止してきており、現在沖縄の抵抗はかつてない強いものとなっている。
5月28日から30日の間に毎日新聞が沖縄で行った世論調査によると、実に県民の84%が辺野古の新基地建設に反対している。
さらに、91%が沖縄の基地を減らして欲しい、またはなくして欲しいと考えており、 71%が沖縄に海兵隊は必要ないとしている。
4月25日の県民大会には9万人の沖縄県民・仲井眞県知事・全ての自治体の市町村長・県議会議員・そして一人を除き全ての沖縄選出国会議員が集まり、普天間基地の無条件閉鎖と県内の新基地建設反対を訴えた。
5月16日には1万7千人が普天間基地を人間の鎖で囲んだ。
辺野古では住民達が2,200日以上も座り込みを続けている。
基地受け入れにともなう「経済振興策」によって利益を得るはずの地元経済界のリーダーでさえもが、受け入れにより「県民のプライド、自尊心、自立」を犠牲にすることを拒否しているのだ。
6月5日、日本の菅直人・新首相とオバマ大統領が初めて電話で会談し、元・市民活動家であるという両者の共通点を認め合った。
それにも拘わらず、同じ会話の中で、沖縄市民の圧倒的な反対を無視した二国間合意、すなわち辺野古新基地建設の実現に向けての努力を表明している。
人間のためだけではなく、他の種や海のためにも基地拡大は阻止しなければいけない。
日米両国が大規模な最新型軍事施設(事故をおこしやすいオスプレー・ヘリコプターを配備予定)を建設しようとしている辺野古は、独特な扇形をした大浦湾岸に位置している。
この湾には湿地・海草・サンゴ・マングローブなどの複雑で豊かな生態系が互いに関わり合い、壊れやすいバランスを保ちながら生存している。
これらの生物多様性を保持するには、森・川・海の組み合わせが大切なのだ。
この一帯は絶滅の危機にある海洋ほ乳動物ジュゴンを含む多種多様な海洋生物の生息地である。
2008年1月、米国サンフランシスコの地方裁判所は、沖縄の貴重な文化や歴史的遺産であるジュゴンに基地建設がもたらす影響を国防総省が考慮しなかったとし、文化財保護法に違反しているとの判決を下した。
4月24日、鳩山由起夫首相は「辺野古の海を埋め立てるのは、自然に対する冒涜だ」と言った。
沖縄の海兵隊の存在に戦略的価値はない。日米安保条約は日本の米国海兵隊への基地提供を義務づけていない。
沖縄の米海兵隊の多くは日本や沖縄を守るのではなく、イラクやアフガニスタンで戦っているのだ。
海兵隊の沖縄での訓練は、多くの日本人が信じ込まされているような「日本を守る」という建前とは全く関係ない目的で行われているのである。
同様に、グアムでの基地拡大も環境的・社会的破壊を伴うもので、海兵隊はこのような計画を正当化するような役割を果たし得ない。
「ネットワーク・フォー・沖縄」は米国大統領と日本の総理大臣に対し、二国間合意を変更し、普天間の土地を本来の持ち主に返還し、新たな軍事施設の建設計画を撤回するよう求める。
我々は、オバマ大統領が今年5月「国家安全保障戦略」の中で述べた、「アジア諸国の人々の基本的権利と尊厳を尊重し、維持する」という考えを沖縄県民にも確実に適用する事を強く要求する。
2010年6月14日
ネットワーク・フォー・沖縄
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「沖縄核密約」と米国が辺野古に固執する理由
米国はなぜ辺野古にこだわるのか。
今年の春、佐藤栄作元首相の机の引き出しの中から発見された「沖縄核密約」にはこのようなやりとりがあった。
「(米国政府は)沖縄に現存する核貯蔵施設の所在地である嘉手納、那覇、辺野古及びナイキ・ハーキュリーズ基地を、いつでも使用可能な状態で維持し、重大な緊急事態の際には実際に使用できるよう求める」
「(日本国政府は)そのような事前協議が行われた場合には、これらの要件を遅滞なく満たすであろう」
末尾に最高機密の指定とニクソン大統領、佐藤首相の署名がある。
辺野古には核貯蔵施設があり、有事には核兵器をまた運びこむ密約である。
貯蔵施設が今でもあるなら、沖縄の「抑止力」の正体はこれではないか。
それなら米国が辺野古に固執する理由も見える。
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