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エストラジオールがアロマターゼ阻害剤への耐性を克服

2008-12-15 | 乳癌
 ホルモン治療が奏効しなくなったエストロゲン(ER)陽性の進行乳がん患者にエストラジオール(エストロゲンの1種)6mg/日を投与することで改善がみられることがセントルイスにあるワシントン大学が行った第2相試験で明らかになった。この研究は、2008年12月のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。(SABCS抄録#16)

この試験では、アロマターゼ阻害剤に抵抗性になった閉経後乳がん患者66人に高用量エストラジオール(1日30mg)と低容量エストラジオール(1日6mg)を投与した。ITT解析では、臨床上ベネフィットは30mg群で40.7パーセント、6mg群で41.6パーセントであった。このうち、それぞれ奏効率3パーセント、9パーセント、安定25パーセント、20パーセントであった。一部の患者は長期的に奏効した。病気が進行するまでの期間は高用量群のほうが短かった。この理由は副作用による中止が多かったためである。
この治療が有益となる患者も「PET-flare」に基づいて予測可能であった。

エストラジオールに反応してアロマターゼ阻害剤を再開した患者で再び奏効し、それが1年程度続いた女性もいた。その中には、6㎎のエストラジオールに48週反応し、その後進行したためエキセメスタンを投与され、結果的にさらに36週にわたって病勢を制御できた症例があった。彼女は再び再発し、エストラジオールを12週間再投与、現在はフルベストラントで治療中である。

エストラジオール1日6㎎投与は、アロマターゼ阻害剤抵抗性となったER陽性進行乳がん患者に適切で対費用効果の大きい療法であるとみられる。さらに研究が必要である。 副作用は30㎎群で多く、QOLの低下が深刻であった。両群での有効性は変わらなかったため、投与量6㎎が推奨される。このメカニズムの詳細は不明とされているが、おそらく体内で何かが起こり、再びホルモン療法に感受性を持つようになるとみられる。
原文記事

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4 コメント

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Unknown (bre)
2008-12-18 21:55:24
これですね。
http://blog.goo.ne.jp/cancerit_tips/e/125a9019c4aeb3329cbc24e9d69fe829

あと、メディカルトリビューンでも同じような内容を読んだ記憶があります。

それにしても、一般的に癌の薬の用量って、多すぎるんじゃないでしょうか?
副作用で服用を止めることになったら元も子もないのに…。
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そうでした~ぁ ()
2008-12-18 22:17:04
breさん、私より、よく覚えていてくださって・・
リンク入れときました。
サンアントニオが開催されましたね。

私にはどうしてこのようになるのか、とても不思議だと思いました。

>それにしても、一般的に癌の薬の用量って、多すぎるんじゃないでしょうか?

MDアンダーソンの掲示板でも考えさせられました~
https://www.teamoncology.com/bbs/thread_dtl.php4?coid=1&cid=16&tid=1021&pg=4&rid=1076
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掲示板 (ガーネット)
2008-12-19 10:35:15
お久し振りです。
2回目のコメントになります。
直接記事とは関係ないのですが、希さんのReコメに関する記事を自分のブログで書いてたので、よろしければ覗いて見て下さい。

http://aerochan.blog33.fc2.com/blog-entry-381.html

それと、今回のAI耐性の記事も機会を見て自分のブログで紹介させて頂きたいと思っています。
フルベストラントという名前を一年後にまた目にして、懐かしく感じました。

いま、再建手術の記事をUP中でタイミングを計っているところです。(笑)
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こんにちは ()
2008-12-19 20:39:47
ガーネットさん、ブログ拝見しました。同じように複雑な思いでご覧になってたのですね。
やるせない主治医と患者ですね。

ネットでは、理想に近づくいてきているとも思える癌治療の世界ですが、もしかしたら、ああいうことが最も日常起きていることなのかもしれないと思ったりします。
声も上げられない患者・・
信じたくないですが。。

記事ですが、AI耐性の方には朗報になる可能性ありますよね。
よろしくー
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