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前立腺癌二次治療薬にカバジタキセル

2010-03-17 | 前立腺癌
 Cabazitaxelがタキソテールの治療に無効となったホルモン抵抗性前立腺癌に有効
国際的多施設第3相試験(TROPIC)に参加した研究者らは、タキソテール(ドセタキセル)の治療を行ったあと病勢進行したホルモン抵抗性前立腺癌(HRPC)患者に対する効果について、Cabazitaxel[カバジタキセル](XRP-6258)がノバントロン(ミトキサントロン)よりも優れていると報告した。本研究の詳細について3月5日~7日サンフランシスコで開催された2010年米国臨床腫瘍学会尿路悪性腫瘍シンポジウム(ASCO-GU)で発表した[1]。

前立腺癌はホルモン依存性疾患でアンドロゲン除去療法(ADT)や去勢術により長期間のコントロールが可能となる。ADTの効果がみられなくなった患者への次の治療選択は化学療法剤であり、タキソテール(ドセタキセル)やミトキサントロンなどを投与する。しかし多くの患者は最終的には癌が進行し追加療法が奏効しなくなることが多い。よってHRPC患者への新しい薬剤が必要とされている。

Cabazitaxelは植物由来タキサンの経口半合成誘導体で微小管阻害剤である。本剤は多剤耐性癌の治療に用いられるほとんどのタキサン系薬剤よりも有効であることが示唆されてきた。試験はタキソテールに反応しない転移性 HRPC患者755人に実施した。26カ国132の施設が参加し、患者全員にCabazitaxelかミトキサントロンをランダムに割り付けた。試験観察期間中央値は12.8カ月。治療サイクル中央値はCabazitaxelで6回、ミトキサントロンで4回であった。

・生存率中央値はミトキサントロン投与患者で12.7カ月、Cabazitaxel投与患者で15.1カ月であった。
・Cabazitaxelはミトキサントロンよりも無増悪生存期間を延長し、奏効率も高かった。
・最も多くみられたgrade 3~4の有害事象は好中球減少であり、Cabazitaxel投与患者で81.7%、ミトキサントロンで58%の患者に認められた。キャンサーコンサルタンツ全訳

    
ドセタキセルに反応しなくなった前立腺癌患者に対して一般的に認められている標準治療法がないため、cabazitaxelと比較する療法を選ぶのは難しいことだったとSartor氏は述べた。プラセボの代わりにミトキサントロンを選択したのは、ミトキサントロンがこのタイプの患者に対し一定の作用があるためであると、同氏は説明した。

「二次治療で患者をタキサン系の化学療法で治療でき、一定の有効性と適切な忍容性が得られるというのは有望な結果です。」とデューク大学医学部准教授で、総合がんセンター泌尿器外科のDr. Daniel George氏は述べた。ドセタキセルを使用した一次治療への反応が良い患者では、二次、三次治療においても反応が良い傾向にあるとGeorge氏は付け加えた。「つまり、そのような患者さんにとっては、cabazitaxelによる治療は、一歩前進という以上のものになるかもしれません。」(略)
癌治療における進歩が常に緩やかであったことを考えると、今回の試験は、2004年に進行前立腺癌治療でのドセタキセルの有効性を示した成果に類似する、とVogelzang氏は述べた。NCIキャンサーブレティン3月9日号特集記事全訳


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