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乳癌とエストロゲン、プロゲステロン

2005-12-16 | 乳癌
乳癌とエストロゲン
エストロゲン受容体陽性乳癌は女性ホルモンのエストロゲンに依存して生存する。そのためこのタイプの乳癌治療はタモキシフェン、Fulvestrant、アロマターゼ阻害剤などの投与によってエストロゲンを阻害させると癌細胞はアポトーシスを起こし自ら死滅する。エストロゲン陽性乳癌にはこのホルモン療法が非常に効力を発揮するが、時間とともに、癌細胞は適応し、ホルモン療法が効かなくなる。Fox Chase Cancer Centerの研究では、このエストロゲン不応性となった癌細胞を再びエストロゲンに曝露すると細胞は死滅することが証明された。研究者らはエストロゲン不応性となった乳癌細胞系MCF-7:5Cをつくり、エストラジオール(エストロゲン)の薄い溶液に曝露したところ、細胞はアポトーシスを始めた。その後マウスでも同じ実験を行ったが、やはりエストラジオールへの曝露は癌細胞を死滅させた。この研究データは特にアロマターゼ阻害剤の長期的療法としての大きな臨床的意義をもつだろう。Fox Chase Cancer Center  Jounal of NCI Dec.7

乳癌とプロゲステロン 
シンガポールの研究によると、ある種のホルモン非依存性乳癌においてプロゲステロンの強い抗癌作用が示唆された。ホルモン非依存性乳癌の大半はエストロゲン受容体(ER)とプロゲステロン受容体(PR)の発現は見られない。しかしながら、PR発現を再活性化させることにより、プロゲステロンがこのタイプの乳癌細胞の成長を抑制するという。さらに研究を進めるため、PR導入されたホルモン非依存性乳癌細胞におけるプロゲステロンによって調整される遺伝子発現を調べた。プロゲステロンは一貫して細胞増殖と転移に必要な遺伝子発現を抑制し、腫瘍抑制遺伝子の発現を増加させた。この結果は、ER陰性乳癌の12%を占めるER陰性かつPR陽性乳癌へのプロゲスチンの有用性の可能性を示唆している。(ロイター)


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