医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

あなたの病気が治る本当の確率. 誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

心原性脳塞栓症予防の最前線 広がる誤った情報

2016年05月22日 | 雑感
臨床診療に加えて原稿・査読の依頼、論文の執筆などで多忙をきわめ、ブログの更新がまたしても遅れてしまい申し訳ありません。

忙しいけれど、今日は頑張って日本内科学会 生涯教育講演会Aセッションを聴きに東京国際フォーラムに行ってきました。最新の情報を聴くことができますので2,200人の参加者は皆真剣です。

日本内科学会 生涯教育講演会Aセッション

全て素晴らしい講演でしたが、その中で少し気になったことがありました。

前回まで私は根拠を明確に示して、「プラザキサ、イグザレルト、エリキュースなどの新薬はワーファリンより脳出血が少ないと宣伝されているが、それは誤りである」とお伝えしてきました。「これらの臨床試験のワーファリン群の脳出血が日本の実情より多すぎる」からです。

それなのに、本日の講演では「プラザキサ、イグザレルト、エリキュースはワーファリンより脳出血が少ない」と紹介されていました。

紹介していた講師は循環器内科医ではなく神経内科医でしたので、この辺の情報に詳しくないのだと思います。でも、詳しくないのなら2,200人も集まった知的好奇心旺盛な医師達の前で間違ったことを言ってはいけませんね。これでは他の分野の医師達は「プラザキサ、イグザレルト、エリキュースはワーファリンより脳出血が少ない」と信じてしまいます。

このように講演の内容に間違っていた部分があったので、ある正義感ある循環器内科医が質疑応答の時間に「先生はプラザキサ、イグザレルト、エリキュースはワーファリンより脳出血が少ないとおっしゃっていましたが、あれは外国のデータですよね。日本のデータはあるとしてもJ-ROCKET studyだけですよね。それなら「日本のデータはあるとしてもJ-ROCKET studyだけ」と明確に区別してお話いただけたら親切でした」と核心をついていました。本当は私がブログで紹介していたことと同じ事を指摘したかったのだけど、オブラートに包んで指摘したのだと感じました。

また別の質問で「ワーファリンを投与する場合、PT-INR(血液さらさらの程度)はどれくらいの頻度で測定すれば良いのでしょうか」という開業医の先生からの質問に、「ワーファリンは不安定ですから2週間に一度は測定した方がよい」と答えていましたが、その答えを聞いたとき私は「あぁ、この講師は神経内科医だから、あまり実際に自分でワーファリンを患者に投与したことがないのだなぁ」と感じました。ワーファリンはそんなに不安定ではありません。安定している患者ではPT-INR(血液さらさらの程度)の測定は1〜2か月に1回でいいです。

「間違ったことはこうして広がっていくのだなぁ」と感じた一日でした。

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三菱自動車 謝罪、一方、桝添知事 どこが悪いのかと開き直り

2016年04月29日 | 雑感
(以下、朝日デジタルより引用)
三菱自動車の燃費偽装問題について、消費者庁の板東久美子長官は4月28日の記者会見で、「非常に強い関心を持っている」と述べた。燃費を実際よりも著しくよく見せることが目的であれば、景品表示法違反(優良誤認)にあたる恐れがあり、消費者庁が同社に再発防止の措置命令を出す可能性もある。板東長官は「個別の事案は申し上げられないが、景表法上の問題があれば、必要な調査を行ったうえで適切に対処する」と述べた。
(ここまで引用)

それなら、プラザキサ、イグザレルト、エリキュースも景品表示法違反(優良誤認)ではないか!と思うのは私だけでしょうか?

一方、
(以下、朝日デジタルより引用)
舛添要一・東京都知事の米国出張中(12〜18日)の宿泊費が計73万5600円に上り、都条例が定める1泊あたりの上限を最大で3・8倍上回ったことがわかった。都が21日発表した。舛添氏が就任した2014年以降の海外出張全9回分は29泊(キャンセル料、主催者負担を含む)で計約343万円。平均で条例の上限の3・5倍だった。

高級ホテル滞在「削減すればいい、ではない」 舛添氏
米国で舛添氏はニューヨークとワシントンを訪問。両市長らと会談したり全米桜祭りに出席したりした。都によると、計5泊した両市内の高級ホテルは会議室がついたスイートルームで、1泊あたり約14万円〜15万2千円。宿泊した部屋で現地メディアの取材を受けたという。航空機代は計約225万円。日米の往復と米国内での移動で計3回搭乗し、いずれも最上位のクラスだった。舛添氏の9回分の海外出張のうち、宿泊費が最も高かったのは昨年10月のロンドン出張で、1泊19万8千円。都市によって異なる条例の規定額との比較では、14年2月のロシア・ソチが5・6倍の1泊15万1800円で、隔たりが最も大きかった。都は出張経費のあり方を精査中で、今年6月末に結果を公表するという。
(ここまで引用)

【全国知事緊急アンケート】海外出張費、舛添都知事が突出 唯一1泊10万円の上限超え ファーストクラス利用は5人

私にとってはまた東大卒か、という感じです。いつも金のこと。とほほ・・ですよね。橋下元大阪府知事(早大卒)が言うように「ルールに沿っているから大丈夫ではなくて、不合理なルールはどんどん変えないといけない」です。

プラザキサ、イグザレルト、エリキュースの広告塔となって「ルールに沿って」講演料をもらい製薬会社の都合の良いことばかり言っている東大卒の医者たちにも肝に銘じてほしい言葉です。

この人たち、正義感が欠如している。受験勉強では正義感は習わないからなぁ


私のところにも製薬会社の都合の良いことだけを講演して欲しいとよく依頼がありますが(このスライドを使用して欲しいとスライドまで持ってくることもあります)、そんなことはできないと、私は断っています。すると次から依頼は来なくなります。

そうすると、都合の良いことを言ってくれる医者にその依頼が移っていくだけなのか?なかなか根深い問題です。

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心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その7)

2016年04月25日 | 循環器
以前心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その2)

の記事で、エリキュースのこの臨床試験を計画した医者や製薬会社の人間は、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどでは上手にワーファリンでコントロールできないことを知っていて、自社の薬の成績を良く見せるために意図的に医療後進国臨床試験に組み込んだということをお伝えしました。

そして前回、医療後進国の、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどが参加していない日本国内だけの研究結果を紹介しました。

Target International Normalized Ratio Values for Preventing Thromboembolic and Hemorrhagic Events in Japanese Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation
–Results of the J-RHYTHM Registry–
Circ J 2013;77:2264-2270.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

無料でダウンロードできますので、原文も見てください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/77/9/77_CJ-13-0290/_article


これは2年間の結果ですから、私が計算して年間の発生率を記載しました。ワーファリンを内服していないと年間0.15%、ワーファリンを内服して血液のさらさら度を示すPT-INRが低いと年間0.24%、PT-INRがちょうど良く1.6〜1.99にコントロールされると年間0.32%です。

エリキュースの臨床試験のワーファリン群での0.47%は発症率が日本の研究の結果より1.5倍高いことがわかります。

ところが、日本国内だけの研究J-RHYTHM研究の結果を見ると、
これは2年間の結果ですから、私が計算して年間の発生率を記載しました。ワーファリンを内服していないと年間1.45%ですが、ワーファリンを少しでも内服して血液のさらさら度を示すPT-INRが1.6に達していなくても発症は年間0.87%に有意に抑制させることができているのがわかります(これは私が自分でカイ2乗検定をして確かめています)。そして、PT-INRがちょうど良く1.6〜1.99にコントロールされると脳梗塞の発症率は年間0.57%です。これはエリキュースの臨床試験のエリキュース群2.16%、ワーファリン群2.66%より断然良好な数字です。

これらの結果から、本当はPT-INRが1.6〜1.99が一番良い(つまり脳梗塞も抑制できているが2.0以上にすると脳出血が少し増えてくるから)し、1.6に達していなくても1.4や1.5でもワーファリンの効果は十分あるということがわかります。ガイドラインでは「1.6〜1.99が一番良い」とすると、PT-INRの範囲が狭いためコントロールしにくいと苦情が出ることを予想して、少し広めの範囲で1.6〜2.6と決定されたと推測できます。

私はこの研究の結果を知っているので、70歳以上の患者の場合1.5〜2.0でコントロールしています。例えば1.5であってもワーファリンは増やしません。それでも私のTTRは約90%です。

今回はその研究のサブ解析で、サラサラ度を示すPT-INRをもう少し細かく分類して、どの領域が一番いいかを調べた研究です。
Warfarin anticoagulation intensity in Japanese nonvalvular atrial fibrillation patients: A J-RHYTHM Registry analysis.
Yamashita T, Inoue H, Okumura K, et al.
J Cardiol 2015;65:175.

(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

ご覧になってわかるように、脳梗塞・全身性塞栓症の予防ではPT-INR 1.8〜2.0と比較してPT-INR=1.4までは効果がありませんが、1.4より上では効果が認められています。しかも前回お伝えしたように、日本人の医者が上手にコントロールしていますので、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナよりも発症率は低いのです。

脳出血の予防ではPT-INR 1.5〜2.0と比較してPT-INR=2.5までは発症が増えます。

この2つの結果から、日本人の医者がコントロールすれば、1.4〜2.5の間が一番予防に効果的で、その発症率はプラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナよりも低いのです。

これが私の患者でPT-INRが1.5と、1.6以下になってもワーファリンを増やさずに1回様子を見る理由です。

どうですか?医療後進国の、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなど参加させずに、日本人の医者がコントロールすればワーファリン群は脳梗塞も脳出血もエリキュース群より少ないのです。

この論文の著者は、これらの製薬会社の断トツの広告塔だったのに自分でこのサブ解析をやって、どうも自分が言っていることの間違いに途中から気がついたようで、広告塔としてのトーンを急に弱めましたよね。そう感じた医者の皆さんも多かったと思います。

プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナを販売している、日本ベーリンガーインゲルハイム、バイエル、ファイザー、第一三共が、これらの新薬はワーファリンより脳出血が少ないと宣伝しているのにはトリックがいっぱいなのです。そしてそれに乗せられた広告塔医師たちが誤った情報を流布しているのです。

国民に不利益になる(効果がそれほどでもない薬を高い値段で買わされるという(真実性))コメントが間違って公言されることがあれば、それは(公共性)(公益性)という観点からも大問題です。



まだまだエビデンスはたくさんありますので、順次お伝えします。

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心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その6)

2016年04月15日 | 循環器
以前、心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その2)

の記事で、エリキュースのこの臨床試験を計画した医者や製薬会社の人間は、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどでは上手にワーファリンでコントロールできないことを知っていて、自社の薬の成績を良く見せるために意図的に医療後進国臨床試験に組み込んだということをお伝えしました。

今回はいよいよエリキュースの臨床試験の論文と、医療後進国の、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどが参加していない日本国内だけの研究結果を比較してみます。

上の図の上は、エリキュースの臨床試験の論文に載っている結果です。
Apixaban versus Warfarin in Patients with Atrial Fibrillation
N Engl J Med 2011;365:981-992.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

赤色で私が囲ったところが脳出血です。アピキサバンすなわちエリキュース群では年間0.24%、ワーファリン群では0.47%です。ちなみに、脳梗塞のなりやすさを示すCHADS2スコアーのこの研究での平均は2.1です。

一方上の図の下は、日本国内だけの研究J-RHYTHM研究の結果です。
Target International Normalized Ratio Values for Preventing Thromboembolic and Hemorrhagic Events in Japanese Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation
–Results of the J-RHYTHM Registry–
Circ J 2013;77:2264-2270.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

無料でダウンロードできますので、原文も見てください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/77/9/77_CJ-13-0290/_article

これは2年間の結果ですから、私が計算して年間の発生率を記載しました。ワーファリンを内服していないと年間0.15%、ワーファリンを内服して血液のさらさら度を示すPT-INRが低いと年間0.24%、PT-INRがちょうど良く1.6〜1.99にコントロールされると年間0.32%です。ちなみに、脳梗塞のなりやすさを示すCHADS2スコアーのこの研究のワーファリン群の平均は1.8です。エリキュースの臨床試験より少し低いです。

これらの結果から、エリキュースの臨床試験のワーファリン群での0.47%は発症率が日本の研究の結果より1.5倍高いことがわかります。

さて、脳梗塞についてですが、
青色で私が囲ったところが脳梗塞です。アピキサバンすなわちエリキュース群では二項目合わせて年間2.16%、ワーファリン群では2.66%です。

ところが、日本国内だけの研究J-RHYTHM研究の結果を見ると、
これは2年間の結果ですから、私が計算して年間の発生率を記載しました。ワーファリンを内服していないと年間1.45%ですが、ワーファリンを少しでも内服して血液のさらさら度を示すPT-INRが1.6に達していなくても発症は年間0.87%に有意に抑制させることができているのがわかります(これは私が自分でカイ2乗検定をして確かめています)。そして、PT-INRがちょうど良く1.6〜1.99にコントロールされると脳梗塞の発症率は年間0.57%です。これはエリキュースの臨床試験のエリキュース群2.16%、ワーファリン群2.66%より断然良好な数字です。

これらの結果から、本当はPT-INRが1.6〜1.99が一番良い(つまり脳梗塞も抑制できているが2.0以上にすると脳出血が少し増えてくるから)し、1.6に達していなくても1.4や1.5でもワーファリンの効果は十分あるということがわかります。ガイドラインでは「1.6〜1.99が一番良い」とすると、PT-INRの範囲が狭いためコントロールしにくいと苦情が出ることを予想して、少し広めの範囲で1.6〜2.6と決定されたと推測できます。

私はこの研究の結果を知っているので、70歳以上の患者の場合1.5〜2.0でコントロールしています。例えば1.5であってもワーファリンは増やしません。それでも私のTTRは約90%です。

医療後進国のトルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなど参加させずに、日本人の医者がコントロールすればワーファリン群は脳梗塞も脳出血もエリキュース群より少ないのです。

プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナを販売している、日本ベーリンガーインゲルハイム、バイエル、ファイザー、第一三共が、これらの新薬はワーファリンより脳出血が少ないと宣伝しているのにはトリックがいっぱいなのです。そしてそれに乗せられた広告塔医師たちが誤った情報を流布しています。


(以下、m3より引用)
非弁膜症性心房細動(NVAF)に伴う全身性塞栓症および大出血イベントの発生は、新規(非ビタミンK阻害)経口抗凝固薬(NOAC)によって半減する可能性が、日本人における大規模観察研究J-RHYTHM Registry 2から示された。日本医科大学多摩永山病院内科・循環器内科の小谷英太郎氏らが、第80回日本循環器学会学術集会(3月18-20日、仙台市)で発表した結果で、NOAC群では抗凝固療法を行わなかった群に比べ、全身性塞栓症発生リスクが58%、大出血発生リスクが47%、有意に低下した。

 2009年開始のJ-RHYTHM Registryは2011年にいったん終了しているが、同年3月に登場したNOACの影響をみるため、期間を3年延長したJ-RHYTHM Registry 2が続けてスタートした。計5年の追跡で、ワルファリン療法の長期成績とNOAC服用患者のイベント発生率についての検討を続けている。小谷氏は今回、後者について報告を行った。

 J-RHYTHM Registry 2が対象としたのは6616例。このうち976例は最終的な治療内容が把握できず、残る5640例について解析が行われた。2009年時点では約85%の患者がワルファリン療法を受けていたが、データ解析時には約60%に低下し、代わって20%近くの患者がNOACを開始していた。いずれの抗凝固療法も受けていない患者(No-OAC)は登録時で13.3%、解析時で11.4%だった。追跡期間中の治療の変遷があるため、研究では最終的な治療内容に基づく3群(No-OAC群、ワルファリン群、NOAC群)で解析を行った。

 追跡期間中の全身性塞栓症発生率はNo-OAC群6%、ワルファリン群4.9%、NOAC群2.1%、大出血発生率はNo-OAC群4.8%、ワルファリン群5.9%、NOAC群2.4%で、いずれもNOAC群で有意に低かった。全死亡あるいは心血管死も同様にNo-OAC群で最も多く、NOAC群で最も少なかった(全P<0.001)。抗血小板薬併用の有無で分けて解析すると、「ワルファリン+抗血小板薬群」では大出血が有意に多く、全死亡および心血管死も有意に高率であったが、「NOAC+抗血小板薬群」ではそうした傾向は認められなかった。

 NOAC群では他2群に比べ低リスク患者が多かったため、CHA2DS2-VAScスコアおよび抗血小板薬の有無で補正して分析を行ったところ、No-OAC群に対するNOAC群の全身塞栓症発生オッズ比(OR)は0.42 (95%CI 0.24–0.74、P=0.003)、大出血発生オッズ比は0.53 (95%CI 0.31–0.93、P=0.027)と有意に低いことが分かった。全死亡および死血管死のリスクも有意に低かった。

 一方のワルファリン群では、全死亡および心血管死のリスク低下は有意だったものの、全身塞栓症のリスク低下は有意でなく、大出血リスクは有意でないがむしろ上昇傾向にあった。

 小谷氏は「NOACとワルファリンの両方に適応のある患者に関しては、NOACが推奨されることは既にガイドラインに記されているが、日本人NVAF患者の実臨床データからもNOACの便益が裏付けられた」と結論している。

 この発表にコメントした国立病院機構大阪医療センター臨床研究センターの是恒之宏氏は、NOACの良過ぎる成績に対する疑問を提起。「何らかの理由で抗凝固療法を続けられなかった患者はリスクが高いことが知られる。本解析ではNo-OAC群にワルファリン中断患者が45%ほど含まれる上、最終的な治療内容が把握できなかった患者が1000例近いなどの限界がある。これらを加味すれば、NOACの成績はここまでは良くなかった可能性がある」として、結果を慎重に解釈する必要性に言及している。
(ここまで引用)


ここの最後の方に別の医師が述べている
「NOACの良過ぎる成績に対する疑問を提起。「何らかの理由で抗凝固療法を続けられなかった患者はリスクが高いことが知られる。本解析ではNo-OAC群にワルファリン中断患者が45%ほど含まれる上、最終的な治療内容が把握できなかった患者が1000例近いなどの限界がある。これらを加味すれば、NOACの成績はここまでは良くなかった可能性がある」として、結果を慎重に解釈する必要性に言及している。」
私も、こちらの意見に賛成です。せめてプロペンシティー・スコアで両群の背景を揃えないと、結論は出せません。もう少し統計学を勉強する必要があります。</B>


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心房細動に対する新しい抗凝固療薬イグザレルトの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その5)

2016年04月09日 | 循環器
前回、イグザレルトの臨床研究ロケット・スタディーのワーファリン群のTTRが世界全体で62%、日本だけで67%であり、ワーファリン投与群というのはほとんどワーファリン非投与群に近い群であるということをお伝えしました。

引き続き、衝撃的な事実です。BMJという信頼性の高い医学雑誌からです。

Rivaroxaban; Can we trust the evidence? BMJ 2016:352 i575

イグザレルト、私たちはその臨床試験の結果を信じられるのか?

まず、抄録の全文を記載します。

Doctors and scientists are calling for an independent investigation into the key trial underpinning use of rivaroxaban to prevent ischaemic stroke in non-valvular atrial fibrillation after The BMJ found that a defective point of care device was used in the warfarin arm of the trial.

Doctors and scientists have also told The BMJ that the validity of the trial—called ROCKET-AF and published in the New England Journal of Medicine in 20111—is in question until such independent analysis is done.

The drug was manufactured by Bayer and marketed in the United States by Janssen, part of Johnson and Johnson, and the companies relied on a single trial–ROCKET-AF—to gain approval from the US and European regulators. The trial included over 14 000 patients and found that rivaroxaban was non-inferior to warfarin for preventing ischaemic stroke or systemic embolism. There was no significant difference between groups in the risk of major bleeding—although intracranial and fatal bleeding occurred less often in the rivaroxaban group.

But there are now concerns about these outcomes. In a letter submitted to the NEJM (as yet unpublished) and shown to The BMJ, former FDA cardiovascular and renal drug reviewer, Thomas Marcinicak, says: “The care for the warfarin control arm patients [in ROCKET-AF] appears to have been compromised.”

Earlier last year, The BMJ found that the point of care device used to measure international normalised ratio (INR) in patients taking warfarin in ROCKET-AF had been recalled in December 2014. An FDA class I recall notice (the most serious kind) said that certain INR devices could deliver results that were “clinically significantly lower” than a laboratory method.

太字の箇所を私なりに意訳してみると
「イグザレルトの臨床研究ロケットAF・スタディーで使用されたワーファリンのコントロールの程度を示すPT-INR値を測定する器械はアメリカ食品医薬品局の最も重大なclass Iのリコールをしていた。その器械は実際の臨床的PT-INR値より低い値が表示されてしまい、医者の実際の診療は、患者が出血しやすい状態でコントロールされていた。」

すごい事実ですね。バイエルの社員から正直にこんな情報聴いたことないですよ。


心房細動に対する新しい抗凝固療薬の臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件シリーズを書いていますが、まだその事実を示した論文をご紹介できていない状況です。その前に予習する事項が多いのでご了承下さい。

情報の続きはまだまだありますので、次回以降もどんどんお伝えします。

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心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その4)

2016年04月07日 | 循環器
5年前に心房細動に対する新しい抗凝固療法についてお伝えしました。5年前はまだ発売されていませんでしたので、今振り返ってみると時の流れは早いものです。

心房細動に対する新しい抗凝固療法プラザキサ

薬は、プラザキサ、イグザレルト、エリキュースの3種類と、最近リクシアナが加わり4種類になりました。

それらの薬はワーファリンを使用するより脳出血のリスクが少ないと宣伝され、多くの医者たちもそれらの宣伝に乗せられてその情報を信じていますが、私にはどうしてもそうは思えない根拠を多くのエビデンスからお伝えしているシリーズです。

前回、心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その3)の復習です。

ワーファリンという薬を使う場合、血液検査のPT-INRという血液のサラサラ度を示す値を見ながら錠数を調節します。70歳未満では2.0〜3.0、70歳以上では1.6〜2.6を目標としています。そして例えば1月に1回測定して、合計10回のうち6回がその目標範囲ならTTRという指標(time in therapeutic range)は60%とされます。中には患者の方の要因でコントロールが悪くなる場合もありますが、できるだけ多くの平均を取るとワーファリンを処方する医者の「腕前」を示す指標のようなものです。

通常の専門医であれば目標のさらさら度である確率TTRという指標(time in therapeutic range)は80%はあると思います。私の診察のTTRは約90%です。

さて、上の図は、前回と同じ
Efficacy and Safety of Apixaban Compared With Warfarin at Different Levels of Predicted International Normalized Ratio Control for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
Circulation 2013;127:2166.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)


からのものです。左から治療コントロールの善し悪しを示すTTR、上は研究全体の成績(脳梗塞、脳出血、大出血、死亡など)、下は全ての原因による死亡です。そして右の方の棒グラフは、ワーファリンの方が良いか高価な新薬の方が良いかを示すものです。

真ん中の縦棒を横棒が挟んでいれば両者引き分け、左にあれば新薬の成績が優れている、右にあればワーファリンの方が優れていることを示しています。

どうでしょうか、ワーファリンの成績を悪くしているのは、TTRが59.9%以下の群です。少なくとも「研究全体の成績(脳梗塞、脳出血、大出血、死亡など)」や「全ての原因による死亡」という項目ではTTRが60%以上あれば、両者の成績は同じです。

TTR 15.1%という、とんでもないお医者様もこの研究に参加なさっています。さぞかしこれら新薬の製薬会社の社員は喜んだことでしょう。こういうお医者様がワーファリン群の成績を下げて、新薬の成績を「勝ち」にしてくれるのですから。

そもそも、こういう臨床試験は他の臨床試験とは全く次元の異なるものです。

通常の前向き臨床試験で2種類の薬の効果を比較しようとする場合、当たり前のことですが、できるだけ両者ともちゃんと内服してくれるようにサポートします。

しかし、ワーファリンの前向き臨床試験の場合、どんなにちゃんと内服していようとも問題はTTRのコントロールがどれだけ良かったかに依存します。それから後日ご説明しますが、CHADS2スコアーといってその患者の脳梗塞になりやすさを評価したスコアーにも依存します。

以前お伝えしたように、ワーファリン群の成績を悪くしようと思えば、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルのお医者様方を参加させればよいのです。

心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その1)でお伝えしたように、プラザキサ、イグザレルト、エリキュースの3種類の臨床試験でのワーファリン投与群というのはほとんどワーファリンからの利益が十分に享受できていない群であるということなのです。

先日、イグザレルトの臨床研究ロケット・スタディーのワーファリン群のTTRが平均どれぐらいであったか、バイエルの社員に尋ねてみました。たしか世界全体で62%、日本だけで67%とか。ワーファリン投与群というのはほとんどワーファリンからの利益が十分に享受できていない群であるということなのです。

情報の続きはまだまだありますので、次回以降もどんどんお伝えします。

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心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その3)

2016年04月03日 | 循環器
前回心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その2)

の記事で、エリキュースのこの臨床試験を計画した医者や製薬会社の人間は、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどでは上手にワーファリンでコントロールできないことを知っていて、自社の薬の成績を良く見せるために意図的に医療後進国臨床試験に組み込んだということをお伝えしました。

今回はその続きで、ワーファリンという薬でのコントロールの上手さ別の治療効果をお伝えしたいと思います。前回と同じ医学論文からの情報です。

Efficacy and Safety of Apixaban Compared With Warfarin at Different Levels of Predicted International Normalized Ratio Control for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
Circulation 2013;127:2166.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

上の図の、(C)がTTRが60.6%〜66.3%というあまり上手に治療できていない場合の、efficacyつまりこの場合の脳梗塞の発症率です。ご覧いただくとわかるように、エリキュースという新しくて1日約500円する薬と、以前からある1日約30円のワーファリンと、治療効果は差がありません。

上の図の、(D)がTTRが60.6%〜66.3%というあまり上手に治療できていない場合の、safetyつまりこの場合の脳出血と輸血を必要とする出血の発症率です。ご覧いただくとわかるように、エリキュースという新しくて1日約500円する薬と、以前からある1日約30円のワーファリンと、治療効果はエリキュースの方が良いです。

上の図の、(E)がTTRが66.4%〜71.1%という少し上手に治療できている場合の、efficacyつまりこの場合の脳梗塞の発症率です。ご覧いただくとわかるように、エリキュースとワーファリンで治療効果には差がありません。

上の図の、(F)がTTRが66.4%〜71.1%という少し上手に治療できている場合の、safety脳出血と輸血を必要とする出血の発症率です。ご覧いただくとわかるように、エリキュースとワーファリンで治療効果には差がありません。

つまり、製薬会社はプラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナという高価な新薬を使用すれば脳出血の発症をワーファリンより減らすことができると主張していますが、それは医療後進国のようにワーファリンで上手にできていない場合と比較した場合のことであって、TTRが66.4%〜71.1%という少し上手に治療できている以上の場合、両者に差がないのです。差がないのなら患者にとっては1日500円支払うより1日30円の方がいいに決まっていますよね。

私が患者を治療する際のTTRは約90%です。

ここでは、ワーファリンでのコントロールの上手さの層別化をしないで、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナの方がいいと言ってしまっています。


情報の続きはまだまだありますので、次回お伝えします。

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心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その2)

2016年03月30日 | 循環器
前回、心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その1)の記事で、プラザキサ、イグザレルト、エリキュースの3種類の臨床試験でのワーファリン投与群というのは、コントロールの仕方がとても下手で、ほとんどワーファリン非投与群に近い群であるということをお伝えしました。

今回はその続きで、それではなぜこれらの臨床試験でのTTRのコントロールはこんなに下手であったのかをお伝えしたいと思います。

Efficacy and Safety of Apixaban Compared With Warfarin at Different Levels of Predicted International Normalized Ratio Control for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
Circulation 2013;127:2166.

(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

上の図はエリキュースの臨床試験アリストテレス試験の内容を詳しく解析したサブ解析のものです。Circulationという信頼性の高い医学雑誌ですので、多くのかたが原版をダウンロードできると思います。

前回お伝えしたように、通常の医者であれば目標のさらさら度である確率TTRという指標(time in therapeutic range)が80%はあると思います。私の診察のTTRは約90%です。

上の図はこの臨床試験に参加した国別の平均のTTRを示したものです。一番左のインドなどはなんとTTRが46%しかありません。その他、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなど、お世辞にも医療先進国とは言えない国まで参加させられています。逆にスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、オーストラリアなどでは上手に治療をコントロールしており、TTRは平均で80%近いのです。平均で80%ということは私のように90%の医者がたくさんいるということです。図を見ていただくと、日本は残念ながら68%ぐらいです。

私は、ここで「あれ、変だなぁ?」と思いました。通常、臨床研究を上手に正しく成功裏に遂行させたいと思えば、医療後進国など臨床研究の参加国に入れないのではないでしょうか?私がこの臨床試験の遂行責任者であれば「絶対に」これらの国など臨床試験に参加させません。(逆の意味なら参加させます)

つまり、トルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどが参加させられたのは、意図的にワーファリン投与群の成績を低くしたかったからだと、かなりこの推測が正しい可能性を持って推理できます。(この辺は私がいつも例えている、刑事コロンボの推理、これから自殺しようとしている人が本を読み終わって明日からまた読み始めるために本に栞をはさむだろうか、というような推理です)

では、なぜこれらの国でのコントロールが悪いのか?その国の民度と国民性もあろうかと思いますし、理由の1つが、ワーファリンの錠剤が1錠2mgで使用されている(これらの国に限ったことではありません)ことです。つまり、血液のさらさら度が足りないと、例えばそれまで1日2mg内服していた患者に2mgが追加されて1日4mgにされるのです。そうすると1か月後に血液検査すれば、さらさらになりすぎていて基準の目標値になりません。目標値を超えてしまいます。

日本でのワーファリンの1錠は1mgと0.5mgです。こまかく調整することができるのです。私は日頃1錠0.5mgの錠剤を半分足して、2mgから2.25mgにするなどして調節しています。

エリキュースのこの臨床試験を計画した医者や製薬会社の人間は、おそらくトルコ、韓国、プエルトリコ、ウクライナ、フィリピン、ロシア、ルーマニア、中国、メキシコ、ブラジルなどでは上手にコントロールできないことを知っていたのでしょう(韓国は意外です。私は上手にできると思っていました)。

プラザキサ、イグザレルト、エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎるのです。

情報の続きはまだまだありますので、次回お伝えします。

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心房細動に対する新しい抗凝固療薬エリキュースの臨床試験のワーファリン群の脳出血が多すぎる件(その1)

2016年03月28日 | 循環器
5年前に心房細動に対する新しい抗凝固療法についてお伝えしました。5年前はまだ発売されていませんでしたので、今振り返ってみると時の流れは早いものです。

心房細動に対する新しい抗凝固療法プラザキサ

以前からのワーファリンに比べれば「新しい抗凝固療法」ですが、5年経過した今では「新しい」とは言えなくなってきました。

薬は、プラザキサ(日本ベーリンガーインゲルハイム) 、イグザレルト(バイエル)、エリキュース(ファイザー)の3種類と、最近リクシアナ(第一三共)が加わり4種類になりました。

それらの薬はワーファリンを使用するより脳出血のリスクが少ないと宣伝され、多くの医者たちもそれらの宣伝に乗せられてその情報を信じていますが、私にはどうしてもそうは思えないのです。これから数回に分けて、その根拠をお伝えしたいと思います。

Warfarin treatment in patients with atrial fibrillation: Observing outcomes associated with varying levels of INR control
Thrombosis Research 2009;124: 37–41
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

ワーファリンという薬を使う場合、血液検査のPT-INRという血液のサラサラ度を示す値を見ながら錠数を調節します。70歳未満では2.0〜3.0、70歳以上では1.6〜2.6を目標としています。そして例えば1月に1回測定して、合計10回のうち6回がその目標範囲ならTTRという指標(time in therapeutic range)は60%とされます。

上の図はこの論文に掲載されているものです。TTRが70%以上にワーファリンの量が調節されると、心房細動の患者の脳梗塞+脳出血の発症率は約5年間で5%ぐらい(青色、一番上のライン)ですが、TTRが50%〜60%だと灰色のラインのように約5年間の発症率は20%にもなります。そして、ワーファリンを内服しない場合は水色のラインで約5年間の発症率は25%です。

医者でない方には、患者のTTRを70%以上に保つことがどれくらいのことなのかを実感するのは難しいのですが、私の場合、患者全体の治療では90%ぐらいです。決して60%にはなりません。患者全体でTTR60%でしかコントロールできないのであれば、そういう医者こそワーファリンの処方は止めた方がいいということになります。

さて、プラザキサ、イグザレルト、エリキュースの3種類の臨床試験で、それらの薬と比較対象になっているワーファリン群のTTRはというと、驚くべき事に60.6〜71.2%なのです。

ワーファリンをTTR約60〜70%と下手な調節の仕方で患者に投与すると、上の図に示されているように、まるでワーファリンを投与していないのと似た発症率で、脳卒中が起きてしまいます。

つまり、プラザキサ、イグザレルト、エリキュースの3種類の臨床試験でのワーファリン投与群というのはほとんどワーファリン非投与群に近い群であるということなのです。

そもそも、同じワーファリン内服でも、コントロールの上手下手で上の図のようにこれだけ発症率が違うのなら、ひとまとめにして「ワーファリン投与群」などとは、全く言えないのではないでしょうか。ワーファリンからの利益が十分に享受できていない群です。


なぜ、これらの臨床試験でのTTRのコントロールはこんなに下手であったのか、続きは次回お伝えしたいと思います。


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肺炎球菌ワクチンは65歳〜75歳では効いていない

2015年11月26日 | 感染症
黄色で囲んであるのが、ワクチンの接種が効果があった群です。


以前、「インフルエンザワクチンはあまり効いていない」をお伝えしたところ、「AF冠者」様から、「行政が後押しして高額の負担までしてくれている「肺炎ワクチン」の効果は如何なものでしょうか。自己負担も4,000円を超えるので考えています。」とコメントをいただきましたので調べてみました。ちょうど今月号の日本内科学会雑誌の特集も「内科医に求められる肺炎球菌ワクチン・ストラテジー」でもありますし・・


これまで何度もお伝えしているように、日本では人種も環境も海外とは異なるのですから、ある程度の人数を調べた医学研究があるのなら、欧米人の結果よりも日本人の結果を優先しなければなりません。

調べてみると、日本のランダム大規模研究が2つだけありました。1つめは、
Effectiveness of pneumococcal polysaccharide vaccine against pneumonia and cost analysis for the elderly who receive seasonal influenza vaccine in Japan
Vaccine. 2010 Oct 8;28(43):7063-9.


65歳以上の786人の日本人を肺炎球菌ワクチンを接種する群と接種しない群にランダムに分けて、その後2年間の肺炎の発症率や死亡率が調べられました。

結果は、上の図にありますように、効果があったのは75歳以上の群の1年目(接種後2年目は両群で差はありませんでした。すなわちワクチンの効果はありませんでした)、慢性の肺疾患の患者の1年目(接種後2年目は両群で差はありませんでした。すなわちワクチンの効果はありませんでした)、自分の足で歩けない人の1年目と2年目でした。研究対象全体や、75歳未満や、慢性の腎臓疾患患者、以前に肺炎に罹患した人などでは肺炎球菌ワクチンの効果はありませんでした。

つまり、現在65歳以上で国から推奨されている肺炎球菌ワクチンですが、65歳〜75歳で、ご自分の脚で歩ける人には効果がないということです。そういう方々は75歳になったら接種すればいいし、慢性の肺疾患がある方は65歳からでも接種すれば最初の1年は効果があるということです。


2つめは、
Efficacy of 23-valent pneumococcal vaccine in preventing pneumonia and improving survival in nursing home residents: double blind, randomised and placebo controlled trial
BMJ. 2010 Mar 8;340:c1004. doi: 10.1136/bmj.c1004.



1006人の日本人の老人ホーム入居者が肺炎球菌ワクチンを接種する群と接種しない群にランダムに分けて、その後2年間の肺炎の発症率や死亡率が調べられました。

結果は、ワクチン接種群で肺炎球菌による肺炎の発症率は2.8%、非接種群で7.3%で接種した方が肺炎球菌による肺炎の発症は減りました。肺炎の死亡率も、接種群で20.6%、非接種群で25.0%と、接種した方が肺炎による死亡率は減りました。この研究の結果、老人ホームに入居している高齢者は年齢に関係なく、ワクチンを接種したほうがいいです。

さて、老人ホームに入居しておらず自分の脚で歩けて慢性の肺疾患にかかっていない65歳〜75歳の方は、肺炎球菌ワクチンを接種しても金の無駄使いということです。なぜ、厚生労働省はこういうデータを国民に伝えず、ただ闇雲に65歳以上になったら必要だと勧めているのでしょうか?


今月号の日本内科学会雑誌の特集「内科医に求められる肺炎球菌ワクチン・ストラテジー」でも、いくら探しても日本人のデータはこの2つからしかありません。「2014年10月からは65歳以上の高齢者(ハイリスク患者は60歳以上)を対象に予防接種法上のB類疾患用ワクチンとしての定期接種がはじまったが、この背景にも関係諸学会からの厚生労働省への要望がある」と書かれています。日本の研究結果からは、それは75歳以上の高齢者(ハイリスク患者は65歳以上)への修正が必要であろうと思います。

今月号で成人に対する肺炎球菌ワクチンの原稿を書いている8人のうち4人が肺炎球菌ワクチンを販売しているファイザーから、2人がMDSから講演料や寄付金をもらったとCOIを(conflict of interest:利害関係)公表しています。

ファイザーやMSDが諸学会へロビー活動をして、諸学会は厚生労働省にそれを要望したということでしょう。効果のない対象者までワクチンの対象になってしまっています。この構造のままでは日本の医療は正しくなりません。


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私はインフルエンザワクチンを接種しない

2015年11月17日 | 感染症
昨年は私の職場の職員はインフルエンザワクチンの接種が強制でした。私は昨年、学会出張で指定日に接種できなかったのですが、学会から帰るとわざわざ電話がかかってきて、前回接種しなかった者のために再度接種の機会を与えるので必ず接種するよう求められました。指定日に接種しなかったことに罪悪感をもたされるほどの言われようでした。

ところが今年、ワクチンの接種を希望するかという書類が来ました。あれ?強制でないの?希望しなかったら接種しなくてもいいの?昨年あれほど強制していたのに?やはりワクチンが効くというエビデンスに限界が生じているのではないの?という感じです。

私の2011年のブログでも、インフルエンザワクチンが有用という論文はそれほどないこともお伝えしています。

意外に効いていなかったインフルエンザワクチン

「インフルエンザワクチンの効果(VE)は65歳以上では9%」

インフルエンザワクチンはあまり効いていないということもお伝えしました。


さて、現在のYahooの上の方、検索ワードを入力するところのすぐ下をご覧下さい。「インフルエンザ対策、ワクチンの2つの効果とは?」とありますね。これをクリックして下の方にスクロールしてください。

インフルエンザワクチンの効果について、「インフルエンザワクチンは、65歳以上の健常な高齢者については 約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があった」と書いてあります。そのすぐ下の「参考:平成11年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業「インフルエンザワクチンの効果に関する研究」をクリックすると、資料の4ページ目に研究内容が記載されています。

病院、老人保健施設、特別養護老人ホームなどに入院、入所している人が対象です。あれ?「病院に入院している人」が健常な高齢者ですか?「インフルエンザワクチンは、65歳以上の健常な高齢者については 約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があった」という標榜と内容が違います。

そして、あれ〜〜?平成11年の結果ですか?今は平成27年ですよ。もっと新しいエビデンスはないのですか?それとも最近は効いていないので公表できないのですか?と。

それに、1997/98、1998/99、1999/2000の3シーズンで調査を実施しているのに、結果が示されているのは、「有効性の正確な解析が可能となる条件を満たした1998/99シーズン」だけですが、残りの1997/98、1999/2000は正確でなかったのですか?本当は効果がなかったから載せられないのではないですか?「正確でない」って、研究のデザインは綿密に練られたのではないですか?それでは正確でなくてもいいので結果を教えていただけませんか?。

というように、数々の疑問が湧きませんか?

上の方の右端を見ると、このブログに載せたように「ファイザー」の文字があります。禁煙補助剤の宣伝です。そういえばファイザーもインフルエンザワクチンではないけれど「肺炎球菌ワクチン」を売っていますね。最近テレビの宣伝でも見た方がいると思います。

私のように65歳未満で健康にバリバリ仕事をしている者に、本当にインフルエンザワクチンが必要なのか?怪しいです。日本の資金がなんだかんだと騙されて全部海外に持っていかれている印象です。

この宣伝って、乳児・高齢者以外の健康な者にも、危機感を煽ってワクチンを接種させようとしている印象です。

私は、昨年のように職場から強制されないのであれば、インフルエンザワクチンは接種しません。

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インフルエンザワクチンの効果(VE)は65歳以上では9%

2015年10月09日 | 感染症
前回、「インフルエンザワクチンはあまり効いていない」で昨年のインフルエンザワクチンが有効であったかどうかの情報をほとんど聞いたことがないから、国や機関は情報を伝えてほしいとお伝えしました。実はこのような調査を行い正確なデータを出すのは難しいという点もあります。

以前、九州大学 廣田良夫先生は、「インフルエンザ疫学研究の原理と方法:特にワクチン有効性の評価との関連で」という論文の中で、以下のように述べています。

自然流行によるウイルス暴露を通じて行われる通常の研究は,以下に示すような問題を常に抱えている。
(1)流行期を的確に予測することが困難
(2)ワクチン株と流行株の抗原性の差
(3)インフルエンザの臨床診断が困難、そのため非インフルエンザによって生ずる結果の希釈
(4)自然感染により既に十分な抗体価を有する者の存在
(5)ワクチン接種で生じた集団免疫により非接種者が受ける間接的効果
(6)接種群と非接種群でのウイルス暴露機会の差
(7)接種者と非接種者との特性の差
(1)と(2)は研究の環境に関わる項目であり、(3)〜(7)は研究のデザイン,結果及びその解釈に関わる項目である。特に(3)が疫学研究の妥当性に影響を与える最大の問題点である。また小学校を対象集団とする意義は(4)及び(6)の影響をある程度克服できるところにある。
(以上引用)

このような調査の限界はあるにしても、ワクチンを接種する側からみれば、昨年の効果ぐらい知りたいと思いますよね。調査の制限があるのはよくわかりますが、おおまかなデータを出すには接種者と非接種者にアンケートすればいいだけですから、それぐらいは結果を公表してほしいですよね。これではまるで、商品の効果を知らないままその商品を押し売りされるのと同じです。

感染症のワクチンの効果を現す指標の代表的なものはVE(ワクチン・エフィカシー)で、以下のように計算されます。

VE(%)=(ARU−ARV)÷ARU×100
ARU=attack rate in unvaccinated=ワクチン非接種群における発病率
ARV=attack rate in vaccinated=ワクチン接種群における発病率

しかし、これは薬による治療の効果を現す「相対的効果」と同じで、
ワクチン非接種群100人のうち、その感染症にかかったのが50人
ワクチン接種群100人のうち、その感染症にかかったのが25人
の場合は(50 – 25) ÷ 50 = 0.5で、50%と計算できますが、

ワクチン非接種群100人のうち、その感染症にかかったのが2人
ワクチン接種群100人のうち、その感染症にかかったのが1人
の場合も(2 – 1) ÷ 1 = 0.5で50%と計算されます。

下のケースの場合、あまり有用と感じることはできません。  と予習をしたところで、

国際医学情報センターが発表したデータをご紹介します。アメリカの調査ですので日本にそのまま当てはめることはできないという限界はあります。

MMWR62(7): 119-123
Interim Adjusted Estimates of Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness − United States, February 2013

2012年12月3日〜2013年1月19日にU.S. Influenza Vaccine Effectiveness(Flu VE)ネットワークに登録された咳を伴う急性呼吸器疾患により医療機関を受診した2,697例(男1,582女1,115)を対象に、A型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対するワクチンの有効性(VE)を分析した。ここでは5ヵ所 [シアトル(ワシントン州)、マーシュフィールド(ウィスコンシン州)、アナーバーおよびデトロイト(ミシガン州)、ピッツバーグ(ペンシルバニア州)、テンプル(テキサス州)] のネットワークデータを使用した。2,697例のうちインフルエンザ陽性例(rRT-PCR法)は1,115例(41%)であり、うちワクチン接種例は367例(33%)、インフルエンザ陰性例(1,582例)では793例(50%)であり、全体での接種率は1,160/2,697例(43%)であった。男女別では男性:435/1,092例(40%)、女性:725/1,605例(45%)、年齢別では65歳以上の高齢者にて高かった(205/290例、71%)。インフルエンザAおよびB型ウイルスに対するVE(年齢、地域、人種/民族、健康状態および発症からネットワーク登録までの日数により補正)は全体で56%と算出され、A(H3N2)ウイルス感染例(n=546)におけるVEは47%(95%CI=35-58%)であり、年齢別では6ヵ月〜17歳:58%、18〜49歳:46%、50〜64歳:50%、65歳以上:9%と65歳以上の高齢者にて有意に低値であった。B型ウイルス感染例(n=366)におけるVEは67%(95%CI=51-78%)であり、年齢による有意な相違は認めなかった。以上、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBに対するワクチンの有効性は65歳以上の高齢者にてA(H3N2)に対して低く、高齢者ではワクチン接種の有無にかかわらず抗ウイルス薬の投与が推奨される
(国際医学情報センターより引用)

65歳以上のVEはたった9%です。

ここに書いてあることを斜め後ろから解釈すると、健康な高齢者はインフルエンザワクチンの接種よりも、かかったかなと思ったら早めに診察・検査をして、可能性がありそうなら抗インフルエンザウイルス薬を早めに内服する方がいい、という事ですね。

今年からそのワクチンの値段も高くなることですし・・・

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インフルエンザワクチンはあまり効いていない

2015年10月03日 | 感染症
10月になり、皆さんの自治体や職場でもインフルエンザワクチンの申し込みが始まったのではないでしょうか。

以前、将来のその時に達したとき、過去の情報が誤りであることが証明されることは多くあり、その情報を流した機関は責任をとるべき体制がないと、いいかげんな情報があふれかえるということを、従軍慰安婦に関する朝日新聞の誤った情報の件でお伝えしました。

従軍慰安婦

そこで私は、「そういえば昨年のインフルエンザワクチンが有効であったかどうかの情報をほとんどマスコミから聞いたことがなく、本当にインフルエンザワクチンが有効なのかよく分からない」と思い調べてみました。

私の2011年のブログでも、インフルエンザワクチンが有用という論文はそれほどないこともお伝えしています。

意外に効いていなかったインフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンの有効性のデータはウイルスのタイプの選択などで刻々と変わりますので、できるだけ最近のデータを探すことにしました。また国が違っても事情が異なりますので参考になりません。調べてみたら素晴らしい日本の論文がありました。

Effects of vaccination and the new neuraminidase inhibitor, laninamivir, on influenza infection
PLoS One. 2014 Apr 3;9(4):e92601. doi: 10.1371/journal.pone.0092601
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この研究ではインフルエンザワクチンを接種したか、実際にインフルエンザになったかをアンケート用紙に答えるかたちで行われました。合計4,443人の回答が得られました。別の疾患でクリニックに来院した人にアンケートしていますので、一般の人口構成より罹患率が高いという研究の限界は仕方がありません。

対象は小学生以下、14歳〜65歳、65歳以上の3群に分けて調査されました。2007年〜2008年の冬、2008年〜2009年の冬、2009年〜2010年の冬、2010年〜2011年の冬の結果が得られました。

上に示したのがその結果ですが、これらの4シーズンで、インフルエンザワクチンが効果があったのは、2010年〜2011年の14歳〜65歳の群だけでした。他のシーズン、他の年代ではインフルエンザワクチンは効果がありませんでした。

一番上に示されている、2007年〜2008年の小学生以下の年代ではワクチン接種群ではインフルエンザにかかった率が35%、接種していない群ではその率が48%で、これは調査した人数が少ないため統計学的なパワーが足りないだけではないかという意見も聞こえてきそうですが、人数を増やして、意図的に差があったことを示そうとするのは間違いです。仮にこの群の人数を2倍にして私がカイ二乗検定で計算してもp=0.10で、それでも違いはありません。

新谷先生がここでも述べています
今日から使える 医療統計

興味深いのは、65歳以上の高齢者で、インフルエンザにかかる率が低いことです。高齢者の健常者はインフルエンザワクチンを接種する必要がないことがわかります。65歳以上の高齢者は昔、インフルエンザの治療薬がなかった頃、症状のあるなしにかかわらず何度もインフルエンザにかかって抗体をいっぱい持っているからとも考えられます。過去にインフルエンザにいっぱいかかっているから現在インフルエンザにかかりにくい、このことはインフルエンザにかかることが「悪」ではない事を示しています。インフルエンザにかかってなぜいけないのですか?この裏にはインフルエンザワクチンを売ろうとする国と製薬会社の陰謀が見え隠れします。

ただし、人工透析している方や、慢性呼吸器疾患など、基礎疾患にかかっている患者はワクチンで病状を軽くすることは大切ですから、混同しないようにする必要があります。

私は、インフルエンザワクチンは接種しません。

昨年のインフルエンザワクチンがどれだけ効いたのか、マスコミでその結果を聴くことはほとんどありませんね。それはインフルエンザワクチンはほとんど効いていないからかもしれませんね。

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医学分野の原稿

2015年09月28日 | 雑感
今年の3月から8月までの半年間、私は多くの原稿の執筆のためにこのブログの更新を休んでいました。医学分野の原稿には多くの種類があります。私はこの半年間に、和文共著3編、英文共著1編、和文原著1編、和文総説1編、英文原著7編、英文総説2編、英文editorial comment1編を執筆しました。臨床の仕事の合間に執筆していましたので、睡眠時間を削って執筆することが多くありました。逆の立場で、掲載の採否を判断するレフリーの依頼も5編ありました。

今回は、なかなか分かりにくいそれぞれの原稿の種類について説明いたします。
まずは、和文共著です。
和文共著は、日本語の書籍を執筆するもので、ある編者のもとに多くの著者が協力して1冊の著書を作成するものです。例えば医学書院などの商業的な編集社が「誰にでもわかる病気」という書籍を作成する時、ある編者を依頼し、その編者は第1章の頭部はこの人に依頼しよう、第2章の胸部はこの人に依頼しようなどと決定し、依頼された方はその章や分野について執筆し、それらを集めて1冊の書籍にします。こういう場合は依頼されたのですから、原稿の掲載の採否を決めるレフリーはいません。時々編者から、この言葉は書籍の最初から最後までこの言葉に統一したいので変更して下さいなどとリクエストがあるぐらいです。和文共著はいわゆる商業的行為ですが、医師としての業績になります。30時間費やして執筆しても原稿料は3〜6万円です。

和文著書
これが和文共著と異なるのは、一人で1冊の書籍を完成させることです。養老先生の「バカの壁」などというのは、これに相当します。大変な労力が必要です。もちろん掲載の採否を決定するレフリーはいませんので、極端な話、どんな内容でも書けますので、学問的業績はそれほど高いわけではありません。一人で執筆していますから印税は売れた書籍の部数によって決まります。

英文著書
英文の書籍1冊を一人で執筆するもので、日本に在住して研究している者にはほとんど関係がありません。もちろん膨大な時間と労力がかかります。ゴーストライターを雇えば可能かもしれません。あるいは日本語で執筆した原稿を業者に頼んで英文にしてもらえば時間の節約になるかもしれませんが、おそらく翻訳代が*00万円かかるでしょう。それ以上の印税が入ってくるなら利益的には考えられなくはないです。

英文共著
これは和文共著の英語版です。たいていの場合、同じ分野で研究している欧米の研究者たちから「今度、こんな書籍を作ろうと思うのだけれど、第4章を書いてもらえますか?」などというように依頼されます。英文ですから世界中の研究者たちに読んでもらえる可能性が高く、やり甲斐のある仕事です。和文共著の場合、3〜6万円の原稿料が貰えるのに英文共著では栄誉だけで十分と考えられているのか、私はこれまで一度も原稿料を貰ったことがありません。もちろん出来上がった書籍は無料で1〜2冊もらえます。

和文総説
これは一般的には医学分野の月刊商業誌の一部の執筆です。和文共著と形態は同じですが、和文共著が最終的に書籍になるのに対して、和文総説は月刊商業誌になる点が異なります。それと、月刊商業誌にはインパクトファクターがつきません。20時間費やして執筆しても原稿料は3〜5万円です。和文総説はいわゆる商業的行為ですが、医師としての業績になります。一方、和文の医学学会雑誌で、新しく発見あるいは発明された内容ではなくて、その研究分野のこれまでの経過や内容を読者にわかりやすいようにまとめたものもこのように呼ばれることがあるので紛らわしいです。こちらも医師としての業績になります。

和文原著
これは医学学会雑誌に自分の研究の成果を載せるものです。掲載する内容は常に新しく発見あるいは発明された内容でなければなりません。和文共著が最終的に書籍(ほとんど商業的)になるのに対して、和文原著は医学学会雑誌になる点が異なり、医学学会雑誌はインパクトファクターが付いていることもあり、学術的に認められています。ただし日本語で書いているので日本語が分かる人にしか読んでもらえず、インパクトファクターはあっても低いです。しかし「医学論文」と呼べるものです。掲載の採否を判断するレフリーがいる場合が多いです。

英文原著
英文の医学学会雑誌に掲載されるものです。これが一般に「医学論文」と呼ばれるものです。掲載する内容は常に新しく発見あるいは発明された内容でなければなりません。小保方さんの件で問題になったのがここに相当します。以前掲載した研究の成果をもう一度新しいものとして載せる「二重投稿」は断じて許されません。有名なものではNatureやNew England Journal of MedicineやScienceなどがあります。最近ではオープン・ジャーナルといってネット上だけで公開され、学会の母体を持たないJournalも増えてきました。ほとんどの場合、論文の内容がそのジャーナルのレベルにふさわしいものかどうかを判断して、掲載の採否を判断するレフリーがいます。私が今回執筆した7編のうち、5編は掲載が認められましたが、1編は修正を要求され修正中、1編は不採用で、ジャーナルのレベルを落として別のジャーナルに再投稿の予定です。この辺に一番時間がかかります。

英文総説
これは英文で書かれた医学雑誌において、新しく発見あるいは発明された内容ではなくて、その研究分野のこれまでの経過や内容を読者にわかりやすいようにまとめたものです。学会から依頼される場合もありますし、応募して掲載の採否の審査を受ける方法もあります。ジャーナルによってインパクトファクターも付いています。

Editorial comment
主に英文の医学雑誌で、その医学雑誌に採用された英文原著に対してコメントを執筆するものです。ほとんどの場合、その医学雑誌のチーフ・エディター(編集長)から依頼されます。Editorial commentに対してもその雑誌に付いているインパクトファクターが付きますので、研究者としては栄誉あることですが、その研究分野である程度の業績がないとなかなか依頼されません。

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ファイザーのソルダクトンは心筋梗塞以外の心不全には効果がない

2015年09月04日 | 循環器

学会で発表するためにロンドンに来ています。ビートルズのアルバム、「アビーロード」の表紙になっているアビーロードに行ってきました。50年前と樹木の背丈以外全く変わらない(宣伝のために変わらないようにしていると思いますが)です。特に左側の白い壁はそのままです。とても感動しました。若い部下に「アビーロードに行ってきた」と言ったら「アビーロードって何ですか?」と言われました。世代の違いを感じます。

さて、アルドステロンというホルモンが心臓、血管、腎臓などの臓器障害に関与していることが明らかになり、アルドステロン受容体拮抗には、これら臓器に対する保護作用も期待されていました。実際にアメリカでは、高血圧症のほかに「心筋梗塞後のうっ血性心不全」にも健康保健で使用を取得しています。

それではそのアルドステロン受容体拮抗が実際にその様な疾患に効果があるかという比較研究です。

アルドステロン受容体拮抗は1981年にファイザーからソルダクトンという名前で日本でも発売されています。この研究では1,622人の心不全の患者を標準的治療にソルダクトンを追加する群と追加しない群に割り付けて約半年間の心臓病による死亡、心室頻拍という不整脈、心不全の悪化の割合が比較されました。

結果は、両群で差はありませんでした。心筋梗塞を患っている患者ではその効果がありました。ソルダクトンは安価な薬ですので経済的支障はきたさないと思われますが、心筋梗塞を患っていない心不全の治療のためにソルダクトンを使用されている人は一度主治医と相談する必要が出てきました。

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