ニューヨークタイムズ紙が放射線治療の事故について大きく記事を掲載、ブラックボックスともいえる放射線治療領域に関して積極的に監視していく姿勢を表明しています。特に最近広く施行されている強度変調治療IMRTは複雑で危険性をはらんでいることに警鐘を鳴らすものです。
同訳は放射線治療医である平先生のブログで4ページにわたって翻訳されています
与太話その90~93
「ニューヨーク市で起きた強度変調放射線治療による事故・その後 ①~④」
ページ後半から
「放射線治療は新たな治療手段をもたらすと同時に、障害を引き起こすものともなる(NYタイムズ)」
『ニューヨーク州は放射線治療の監視と事故データの集積においてリーダー的な立場であることから、タイムズ紙は資料を集め事故パターンを詳細に調べることにした。多くの事故で詳細は州法により秘匿されてはいるが、2001年から2008年にかけて621件の過誤が記録されていた。その大多数は軽微なものではあるが、それでも底流に流れる問題点をあらわにするものであった。』・・・
どんなに正確なX線ビームでも腫瘍に達するまでには正常組織を通り抜けなければならならず、そのなかには放射線への感受性がきわめて高いものもあると指摘する人たちもいる。コロンビア大学の放射線研究所のEric J. Hall氏の研究によれば、正確なIMRTによる治療は旧式のリニアックと比較して高い漏洩線量(脚注参照)により後の二次癌発生リスクはほぼ倍になるという。治療過誤がこれに加わるとリスクは複合したものとなる。過小線量は癌を発育させ、過線量は臓器への障害をもたらす。・・・
Jerome-Parks氏に発生した事故の調査はリニアックを動かしているVarianのソフトウエアからまず始まった。
このVarianのソフトウエアでは3つの基本プログラミング命令が順番に保存されることになっている。これらは順番に、放射線ビームの線質と線量、次いで照射野のデジタル再構成画像、そして最後にMLCの命令とガイドである。コンピュータがクラッシュしつづけたとき、医学物理士のKalachさんはコリメータのコントロール命令が記録されていなかったことを認識できていなかったと州の記録では書かれている。記録中の問題はすでに解決されたと考えてKalachさんは作業を続行したのだ。
『フェイルセイフもなしに極端に線量が高い放射線を照射することができるような技術をメーカーが作っていたなんてわれわれには愕然とするばかりでした。』とトロントからのJerome-Parksの友人であるWeir-Bryanさんは言う。『いつもわたしたちは、どうしてこういうことが起こりえたのか?Varian社はもっと安全なものを製造しなければならないという説明責任があるのではないのか?』という思いが常に頭から離れない。
とはいえ、この段階のミスを発見する機会はまだあった。義務ではなくても一般的にはコンピュータが正しくプログラムされたかを確認するために初回治療の前に医学物理士がテストを行う。しかし、テストは3回目の過線量照射がなされてしまうまでは行われることがなかった。
事故の内部情報によれば、『医学物理士に対して規定されているトレーニング期間にともなう人員不足』となっており、テストを行う時間が病院にとっては長すぎる状態になっていたことを州当局は伝えている。・・・
(CFIMRTより)
上記サイトの平 栄先生はIMRTの複雑さをより簡素化した方法で、強度変調はIMRT線量分布に劣らず、副作用も少ないCFIMRT療法を提唱、施行されています。
【2月13日追記】ニューヨークタイムズ紙2010年1月26日、引き続いて、下記の告発記事が掲載されました。同サイトにて日本語要約も読めます。放射線に関してここまで放置されているとは驚きです。
ニューヨークタイムズでの医療被曝問題を扱った特集①~③
同訳は放射線治療医である平先生のブログで4ページにわたって翻訳されています
与太話その90~93
「ニューヨーク市で起きた強度変調放射線治療による事故・その後 ①~④」
ページ後半から
「放射線治療は新たな治療手段をもたらすと同時に、障害を引き起こすものともなる(NYタイムズ)」
『ニューヨーク州は放射線治療の監視と事故データの集積においてリーダー的な立場であることから、タイムズ紙は資料を集め事故パターンを詳細に調べることにした。多くの事故で詳細は州法により秘匿されてはいるが、2001年から2008年にかけて621件の過誤が記録されていた。その大多数は軽微なものではあるが、それでも底流に流れる問題点をあらわにするものであった。』・・・
どんなに正確なX線ビームでも腫瘍に達するまでには正常組織を通り抜けなければならならず、そのなかには放射線への感受性がきわめて高いものもあると指摘する人たちもいる。コロンビア大学の放射線研究所のEric J. Hall氏の研究によれば、正確なIMRTによる治療は旧式のリニアックと比較して高い漏洩線量(脚注参照)により後の二次癌発生リスクはほぼ倍になるという。治療過誤がこれに加わるとリスクは複合したものとなる。過小線量は癌を発育させ、過線量は臓器への障害をもたらす。・・・
Jerome-Parks氏に発生した事故の調査はリニアックを動かしているVarianのソフトウエアからまず始まった。
このVarianのソフトウエアでは3つの基本プログラミング命令が順番に保存されることになっている。これらは順番に、放射線ビームの線質と線量、次いで照射野のデジタル再構成画像、そして最後にMLCの命令とガイドである。コンピュータがクラッシュしつづけたとき、医学物理士のKalachさんはコリメータのコントロール命令が記録されていなかったことを認識できていなかったと州の記録では書かれている。記録中の問題はすでに解決されたと考えてKalachさんは作業を続行したのだ。
『フェイルセイフもなしに極端に線量が高い放射線を照射することができるような技術をメーカーが作っていたなんてわれわれには愕然とするばかりでした。』とトロントからのJerome-Parksの友人であるWeir-Bryanさんは言う。『いつもわたしたちは、どうしてこういうことが起こりえたのか?Varian社はもっと安全なものを製造しなければならないという説明責任があるのではないのか?』という思いが常に頭から離れない。
とはいえ、この段階のミスを発見する機会はまだあった。義務ではなくても一般的にはコンピュータが正しくプログラムされたかを確認するために初回治療の前に医学物理士がテストを行う。しかし、テストは3回目の過線量照射がなされてしまうまでは行われることがなかった。
事故の内部情報によれば、『医学物理士に対して規定されているトレーニング期間にともなう人員不足』となっており、テストを行う時間が病院にとっては長すぎる状態になっていたことを州当局は伝えている。・・・
(CFIMRTより)
上記サイトの平 栄先生はIMRTの複雑さをより簡素化した方法で、強度変調はIMRT線量分布に劣らず、副作用も少ないCFIMRT療法を提唱、施行されています。
【2月13日追記】ニューヨークタイムズ紙2010年1月26日、引き続いて、下記の告発記事が掲載されました。同サイトにて日本語要約も読めます。放射線に関してここまで放置されているとは驚きです。
ニューヨークタイムズでの医療被曝問題を扱った特集①~③
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