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ニラパリブが卵巣がん患者の転帰を大幅に改善―画期的な結果

2016-11-21 | 卵巣癌、子宮癌

国際治験でニラパリブはプラセボと比較して、再発卵巣がんのPFSを5.5カ月から21カ月に延長しました!
しかしー、この国際治験に日本は参加していませんでした。日本の患者のための対応が待たれます。

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PARP阻害剤であるniraparib[ニラパリブ]
がプラチナ製剤感受性再発卵巣がんの転帰を著しく改善することが、コペンハーゲンで開かれた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)集会ではじめて発表された。この結果は、ENGOT-OV16/NOVA試験データによって明らかになったもので、本データはNew England Journal of Medicine(NEJM)誌でも公開された。

「欧州における維持療法の選択肢は現在のところベバシズマブですが、これは一度しか使えず、無増悪生存期間を2、3カ月延長する程度です。またPARP阻害剤のolaparib[オラパリブ]は、生殖細胞系BRCA遺伝子変異(卵巣がんの約10-15%)にしか承認されていません。欧州外では、承認を受けた維持療法が存在しません」

この第3相試験は、プラチナ製剤の化学療法に感受性のある再発卵巣がん患者に対する維持療法として、ニラパリブの有効性と安全性を評価した。患者をBRCA変異の有無でコホートにわけ、それぞれ2対1の割合で、ニラパリブ300mgを1日1回投与する群と、プラセボを投与する群に無作為に割り付けた。

本試験には553人が登録された。このうち203人は生殖細胞系BRCA変異を有し、残り350人には変異がなかった。ニラパリブはプラセボと比べ、両方のコホートおよびすべてのサブグループにおいて、主要評価項目の無増悪生存期間を有意に改善した。

無増悪生存期間の中央値は、生殖細胞系BRCA変異を持つ患者のニラパリブ群が21カ月、プラセボ群5.5カ月だった。

生殖細胞系BRCA変異を持たない患者グループでは、ニラパリブ群9.3カ月に対し、プラセボ群は3.9カ月だった(HR 0.45、95%CI 0.338~0.607、p

すべての副次的評価項目でも、有意な改善がみられた。変異の有無にかかわらず、またHRDサブグループにおいても、ニラパリブはプラセボと比較して、2回目の無増悪生存期間、初回治療終了後に次の治療を開始するまでの期間、そして化学療法の休薬期間を有意に延長した。

「これは卵巣がん患者にとって、飛躍的な進歩です」とMirza氏は述べた。「再発卵巣がんで、無増悪生存期間がこれほど長く延長されたのははじめてです。ニラパリブは、全卵巣がん患者の70%を占める患者集団に対し、すべての評価項目で有意な改善を示したのです。この画期的な試験結果で、再発卵巣がんの治療を変えられるかもしれません」。

 「ニラパリブの承認がおりたら、BRCA変異の有無にかかわらず、私のすべてのプラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者に使うことを考えます」と、Mirza氏は締めくくった。

 

『海外ん癌医療情報リファレンス』 原文より抜粋



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