熱治療HIFU（高密度焦点式超音波治療）による免疫刺激

デューク大学のHIFUによる限局性および転移性腫瘍の治療の研究が進められている。高周波超音波によって熱治療をもたらす超音波による焼灼療法である。この度デューク大学の動物での研究によると、腫瘍を振動させることによって腫瘍細胞の細胞膜を破り、細胞から内容物を吐き出させることがわかった。そのことにより、癌の侵略に対して免疫機能に援助を求める警鐘を鳴らし始め、白血球の産生へ誘導する。

「われわれは、Misonix社が最も侵襲の少ない最先端のHIFU技術を有していると確信している。HIFUの開発は前立腺癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌における癌組織を根絶するのに有効で患者に優しい機器であり、今後の癌治療を大きく変える可能性を持つ。」
機械的振動を与えて腫瘍細胞をバラバラにするという、これまでとは異なった機序に注目したHIFUは、免疫を目覚めさせることにより、癌の転移を抑えるのにさらに重要な影響をもつと考えていると、デューク大学の文書に記載されている。大抵癌細胞は免疫から逃れるが、免疫を有効にするためには癌細胞表面のタンパクのみでなく、内部の他のタンパクを認識させることが必要と考えられる。
大腸癌のマウスでは、力学的（mechanical)HIFUは温熱HIFUの2倍もの腫瘍免疫反応を誘発する。力学的HIFUは直接腫瘍細胞を殺すことにおいては温熱HIFUに及ばないが、より強力に癌に対する免疫反応を引き起こすとみられる。これらの早期研究結果はHIFUの熱で原発巣を治療し、力学的HIFUによる免疫療法で残存、および転移巣を叩くという併用療法が理想的アプローチである可能性を示している。

　　　　
Misonix社は、前立腺癌治療のSonablate500（SB500）機器を販売している。欧州では製品の独占権を得ている。腎臓癌を含む軟部腫瘍にはSonatherm600を開発した。SB500は世界20カ国以上で4000以上の治療を完了した。前立腺癌治療においては他のどの機器よりはるかに良好な結果を得ており、従来の外科手術に匹敵する。外科治療に優る重要な利点は、その侵襲の少なさで外来でも治療できるQOLのよさである。医師がコンピューターでコントロールするVisually Directed HIFUも優れた結果を出している。
Misonix記事より抜粋
*欧州、日本他では前立腺癌治療中心ににHIFUが施行されているが、米国ではまだ癌治療に承認されていない。日本の治療施設