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癌における貧血(低ヘモグロビン)、腫瘍の低酸素環境(Hypoxemia)

2005-09-09 | 癌全般
癌患者のおよそ40~64%が癌治療前の時点で貧血を発症し、化学療法、放射線療法、前立腺癌のホルモン療法後にはこの率は上昇する。貧血は、低酸素症、血管新生、治療への抵抗性を引き起こすことが考えられ、診断時(治療前)の貧血は癌の予後不良因子であるとみられる。貧血の原因として考えられるのは、出血、栄養不良、脊髄障害、脊髄への腫瘍の浸潤、癌の進行などである。このリビューPMID: 16111569 Anemia, tumor hypoxemia, and the cancer patient では、19の貧血に関する論文と、腫瘍の低酸素症の8つの論文を対象に、貧血と低酸素症が癌患者のQOLと生存へ与える影響が調べられており、興味深い。調査されたすべての論文において、低ヘモグロビン(赤血球)値と腫瘍の低酸素環境の増加は予後不良との相関関係を示した。

治療薬として、QOLを高め、輸血の頻度を減少させると示されているProcrit(epoetin alfa)やさらに改良されたAranesp (darbepoetin alfa)は、どちらも生存に対する効果は証明されていない。Procritは転移乳癌患者において生存率をむしろ悪化させることがJournal of Clinical Oncology2005年9月発表された。(Cancer Consultants-Procrit )癌と貧血の関係についてさらなる研究が必要とされる。

貧血は低酸素症を引き起こし、それにより化学療法および放射抵抗を引き起こすとされてきた。仮にそうだとすれば、治療に先立ちAranesp (darbepoetin alfa)、epoetin alfa、または輸血による貧血改善が奏効率の向上に有効なはずであるが、現時点でこれを裏付けるデータはない。よって貧血はより深刻な悪性腫瘍の兆候で、治療の失敗と貧血改善とは関係ないと説明することも出来る。 海外癌医療情報リファレンス-貧血は肺癌および胃癌手術の転帰に予後不良因子より

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