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糖尿病薬メトホルミンと癌

2009-06-15 | 癌全般
 メトホルミンと、糖尿病をもつ乳癌患者における術前化学療法に対する病理学的完全奏効
M.D.アンダーソン(サイト記事2008)の研究者らによるレトロスペクティブ研究の結果がJCO誌、ASCOで報告された。
2型糖尿病薬メトホルミンの使用は、癌の罹患率と死亡率を低下させるとみられることが示唆された。
メトホルミンは生体内/外実験で癌細胞の増殖を阻害するが、臨床データはほとんどない。今回の研究では、1990年~2007年まで2,529人の早期乳癌術前化学療法を受けた患者を同定した。①メトホルミン服用糖尿病患者68人、②メトホルミンを服用しない糖尿病患者87人、③糖尿病でない患者2,374人。
病理学的完全奏効(pCR)は①24%、②8%、③16%であった。
ASCO記事 過去チップ

    
 糖尿病治療薬が、免疫力を上げ、ワクチンの効果をます
マクギル大学とペンシルバニア大学の研究者らは、糖尿病治療薬メトホルミンが免疫細胞である白血球の T 細胞に、ワクチンによる抗原を記憶させ、いち早くがんと闘わせることを発見した。
「糖尿病を制御する多くの遺伝子が、がんの進行にも役割を果たしている。また、糖尿病患者が、一部のがんに罹患しやすいことも多くのデータによって示されている。しかしながら、われわれの研究は、糖尿病に関連する同じ経路をターゲットにしたものである。最近の研究では、がんと糖尿病の共通の関連性、特に代謝経路がこれらの疾患においてどのようにコントロールされているかが示されており、その結果は、細胞の代謝を変える糖尿病治療薬が、 T 細胞の記憶を向上させ、免疫力を上げるという。」原文記事 Nature, June 2009


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