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がんに対する陽子線治療:新技術の概要

2009-09-18 | 癌全般
(略)2001年に米国食品医薬品局(FDA)が陽子線治療を承認して以来、本治療法に対する一般の関心は大いに高まっている。しかしながら、一部の医療および研究界では、この有望な治療法への大いなる期待が研究より先行してしまっているのではないかと懸念されている。

「ある種のがんに対する治療法として、陽子線治療は素晴らしい可能性を持っています」と米国国立癌研究所(NCI)放射線腫瘍科主任のDr. Kevin Camphausen氏は述べた。同氏は、患者の腫瘍タイプに効果があるかもしれないと考える場合にこの治療を患者に勧めてきた。「しかし、必要とされる場所および患者にとって最大の効果があると考えられる部位が確認できるまで、その使用を普及させるべきではないと考えています。」


医療用として最初の陽子線加速装置は、1990年にカリフォルニア州ロマリンダ大学で稼働を開始した。現在では、米国内の合計7つの陽子線治療センターで患者の治療が行われており、その他多数のセンターが現在建設中もしくは計画段階である。本治療法は、前立腺、脳、頭部、頸部、膀胱、肺、もしくは脊椎などの臓器に小さくて境界明瞭な腫瘍がある成人だけでなく、さまざまながん種のほとんどの小児に対しても使用されている。陽子線治療センターでは、それ以外のがんに本治療を使用する試験を継続的に行っている。

精度は優れているが、それは実際に正しいのか?

X線は電荷を帯びていないため、腫瘍に向けて照射されると、X線は身体を通り抜けるまで身体の表面と標的の間の健常組織だけでなく、腫瘍の先の組織にも均等な減少率でそのエネルギーを付与してゆく。

一方、陽子線ビームは正の電荷を帯びており、計算された目標に送りこまれる水中爆雷のように、ブラッグピークと呼ばれる領域内で、エネルギーのほとんどを一定の深さに送りこむ。標的に陽子線が到達すれば健常組織は治療による副作用のほとんどが避けられ、腫瘍に対してはより大きな損傷をもたらす。このことによって、再発もしくは周辺組織におけるその後の新たな腫瘍発生の危険性が抑えられる可能性がある。

「理論的に言えば、陽子線ビームはX線よりもはるかに正確です」とNCIの放射線研究プログラム(RRP)副所長のDr. Norman Coleman氏は述べた。「コンピューターの画面では、計算が合っているように見え、期待する気持ちも理解できます。しかし、それが患者に実際に起こっていることなのでしょうか?」

陽子線治療が患者に害を及ぼすことを示すエビデンスは発表されていない。しかし、「とても精度の高い鋭い刃を手にしたのであれば、それが実際にそうなるかどうかの正確性も確かめる必要があります。画像診断における不確定要素、患者のセットアップ再現性、臓器運動などを克服した上で、コンピューター上の計画通りに標的に命中するということが求められるのです」とColeman氏は述べた。

全文は→NCIキャンサーブレティン9月8日号


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