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メイヨークリニックが体内のビタミンD値がリンパ腫患者の生存に関連することを発見 他

2010-01-18 | 癌全般
 メイヨークリニック 2009年12月5日
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療中の患者において、体内のビタミンDの量が、癌の進行と全生存率とに強く関連していることが新しい研究でわかった。この結果はニューオーリンズで行われる米国血液学会の年次総会で発表される。

「ビタミンDと癌の転帰との間の関連性について強力な知見が得られた」と、この試験の責任医師で、ロチェスターにあるメイヨークリニックの内分泌学者Mathew Drake医学博士は述べる。「これらの知見は非常に刺激的である一方で予備的なものであり、他の試験での検証が必要である。 しかし、ビタミンDのサプリメントがリンパ腫の治療を補助する可能性を提起しており、今後の研究を促進するでしょう。」

新たにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された374人の患者を対象としたこの試験では、ビタミンD値欠乏の一般的な臨床評価の根拠となる血清総25(OH)Dが、25ng/ml以下の患者が50%であった。患者の予後の悪化に関連する他の要因を除外した後で、ビタミンD値が不十分な患者とビタミンDが最適値にある患者とを比較した場合、ビタミンD欠乏患者では疾患進行が1.5倍で、死亡リスクは2倍であった。(略)

得られた知見はビタミンDと、癌リスクおよび予後との関連性をさらに支持するもので、ビタミンDのサプリメントが、既に何らかの癌と診断された患者に対しても役立つ可能性を示すものだ、とDrake医師は述べる。「ビタミンDが癌の始まりや進行に果たしている明確な役割は不明である。しかしビタミンDが、癌を制限する他の重要な過程の中で、細胞増殖や細胞死の調整に何らかの役割を果たしていることははっきりと分かっている。」(略)

癌研究者らは、前立腺癌や直腸癌、乳癌などのさまざまな癌において、ビタミンDが多くの遺伝子を調節していることを発見している。最近の複数の研究は、ビタミンD欠乏症がある種の癌を生じる中で役割を果たしている可能性や、癌の診断を受けた患者の予後に影響を与える可能性を示している。 NCI発行の米国死亡率マップから、冬季に日光の少ないアメリカ北部の住人においてリンパ腫の発症率と死亡率との両方が高くなっているという知見が集まったため、研究者らはリンパ腫患者におけるビタミン値を調査した。また、最近の複数の報告で、乳癌、直腸癌、頭頚部癌など他の癌においてもビタミンD欠乏症が予後不良に関連していると結論付けられている。これは、リンパ腫とビタミンDの関連性における予後を調べた最初の研究である。全文訳

    

最新の分析により全米で数百万人の小児でビタミンD値が最適値未満であることが確認される
全国規模のデータから白人以外の小児が特に高リスクにあることが判明
ボストン小児病院(ハーバード大学医学部関連病院)2009年10月26日

Pediatrics誌11月号に掲載された大規模な全米のサンプル調査によると、1歳から11歳のアメリカ合衆国内の数百万人の小児でビタミンDが最適値未満の値になっている可能性があることが判明した。またこの記事には付随の論説文も掲載されている。(略)

ビタミンDの最適な補給量と健康な血中ビタミンD値の両方が、医療関係者の間では激しい論争の的となっている。現在、American Academy of Pediatrics(全米小児科学会)では、小児のビタミンD値を50 nmol/L(20 ng/ml)以上にするように勧告している。しかし、成人を対象にした他の研究では、心臓病や特定の癌のリスクを抑えるために、ビタミンDの値を75 nmol/L(30 ng/ml)以上に、可能ならば100 nmol/L(40 ng/ml)にすべきであると提案している。

Mansbach氏およびコロラド大学デンバー校およびマサチューセッツ総合病院に所属する共同研究者らは、National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES、米国全国健康・栄養調査)のデータを活用して、2001年から2006年の期間に全米の代表的サンプルとして約5000人の小児のビタミンD値を調べた。資料に基づいて全米の小児に関して推定すると、全小児の約20パーセントが推奨される50 nmol/L未満にあることがこの研究から示唆される。さらに、ヒスパニック系の小児の80パーセントとヒスパニック系でない黒人小児の92パーセントを含む、全小児の2/3以上でビタミンD値が75 nmol/L未満となっている。 (略)

    

参考:ABCニュース「低ビタミンD値は乳癌の予後はより悪いことを示唆する可能性」
YouTube「カリフォルニア大学サンディエゴ校」

※ビタミンDは免疫機能を上げ、炎症を抑える作用がある。ビタミンAはビタミンDを阻止するので要注意!過去の臨床試験でもビタミンAが喫煙者の肺癌リスクを上げた。

【1月25日追記】
BMJ誌、高ビタミンD値は大腸癌リスクを下げるという欧州の研究報告


3 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-01-25 07:19:02
日経メディカルにも記事が出ていましたが、ノルウェーから葉酸とB12の過剰摂取が癌発症率を上げるという研究結果が発表されていました。
Ebbing M, et al. Cancer incidence and mortality after treatment with folic acid and vitamin B12. JAMA 302(19):2119-26, 2009

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19920236

足りないと言われたらサプリメントという米国文化・・大丈夫なんでしょうかね?

『1998年1月に米国では神経管欠損(NTD)(二分脊椎、無脳症等)に冒される妊娠を防止するために、栄養豊富な穀物製品に葉酸強化が義務付けられた』
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研究結果 ()
2010-01-25 10:12:22
そちらの報告はこれですね。
「葉酸とビタミンB12は心疾患患者における癌リスクを高める」
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=785
>ただし、大量のビタミンDの補充投与は例外であり、・・
>葉酸およびビタミンB12と癌発生のリスク増大との関連性は認められていないが、葉酸は細胞分裂率を高めるので、癌患者においては腫瘍増殖を促進するかもしれない。

心疾患患者における葉酸とビタミンB12についてです。葉酸類は一部の化学療法にも使用されますね・・
研究結果1つで全部にあてはまるわけではないですし、研究途上であり、よいもの悪いもの、各自で判断していただいたらよいと思います。

米国他ではビタミンD不足についてはかなり深刻であるだろうことがここ数年研究で報告されてきています。関連記事を調べてみてください。

不足しているかどうか血液検査で簡単に調べられます。至適投与量が現在議論されていますが、皮膚の色や地域、生活により個々に異なりますので一概に言えるものでないのは各記事に記載されているとおりです。FDAはまだ推奨に入れていません。

むやみにサプリメントの推奨をするものではありませんが、警告を知っておくこと、改善を心がけることは重要と思います。短時間日に当たる他、Dは食事ではあまりとれないのですが、考慮されるかたは下記記事一番下に食品のD含有量が書かれていますのでご参考まで。
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=657

米国がん協会はの声明は以下です。詳細に記載されています。
http://www.cancer.org/docroot/ETO/content/ETO_5_3X_Vitamin_D.asp?sitearea=ETO
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葉酸が喫煙者の肺癌を予防 ()
2010-01-25 16:23:07
こちらを忘れていました。私の意見ではありませんのでーー

今月12日、NCIニュースが出まして、こちらでは葉酸およびマルチビタミンが喫煙者の肺癌のを防ぐのに有効かもしれないことが発表されています。(近日訳公開)
http://www.cancer.gov/newscenter/pressreleases/Dietaryfactorslungcancer

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