現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

宮内悠介「盤上の夜」盤上の夜所収

2019-01-17 09:00:42 | 参考文献
 この作品は、架空の囲碁棋士の人生を描いた一種の名人伝であり、また、四肢を失った美少女という設定のキャラクター小説でもあります。
 四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった若き女流棋士の短い栄光の日々といったゲーマーにはたまらない設定と、ちりばめられたマニアックな「名言集」が、オタクたちの心をくすぐります。
 私も、かつてゲーマー(といってもプレイをしたのは将棋、モノポリー、カタンなどのボードゲームで、電子ゲームは七十年代に自分でプログラムを組むのに熱中したことはありますが、今はプレイもほとんどしません)だったので、こうしたストーリーは大好きです。
 現代では、ゲームと文学は物語消費という点で密接な関係にありますが、私の体験でも児童文学に熱中している時にはゲーム熱が冷め、児童文学から距離を置くとゲームへの関心がわいてきます。
 そういった意味では、この作品はゲームと文学を両立させた絶妙のポジショニングにあると言えます。

盤上の夜 (創元日本SF叢書)
クリエーター情報なし
東京創元社

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