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現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

皿海達哉「コギツネコンコン」坂をのぼれば所収

2017-02-04 08:49:57 | 作品論
 二人の女の子の、繊細だが確かな手ごたえのある友情を描いています。
 主人公の女の子は、ゴミ捨て場に捨ててあった壊れかかった(ファとシが出にくい)オルガンをおとうさんに頼んで、仏間と兼用の自分の部屋に運んでもらいます。
 やっと「コギツネコンコン」は弾けるようになったとき、一番仲のいい転校生の女の子を家に招いてその曲を弾いて見せますが、何回か弾いているうちにファとシが出なくなってしまいます。
 なぜかなかなか家に呼んでくれない転校生の家に、退院(盲腸で入院していました)のお見舞いに行ったとき、彼女の家には応接間にも彼女の部屋にも立派なピアノがあり、彼女がずっとピアノを習っていたことを知ります。
 転校生のすてきな演奏を聴いた後で、うながされてピアノで「コギツネコンコン」を弾きながら、主人公は友だちの思いやりと変わらぬ友情をかみしめます。
 この作品でもデリケートな感情を描いていますが、物語の起伏や主人公のアクションがきちんと描かれているので、他の作品よりも今の女の子の読者(男の子だけでなく女の子もきちんと描けるのが皿海の強みでしょう)に受け入れやすいと思われます。

坂をのぼれば
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