妻が不倫相手と家に入るところを見たために自宅へ帰れなくなった高校教師が、いきがかりで一緒にいた教え子の女子高校生と逃避行に出る話です。
妻の不倫相手は元上司の校長で二人の仲人でもあり、彼女の担任教師で関係が二十年も続いているというかなり強引な設定です。
この話も着地点が見えないオープンエンディングなのですが、話にかなり無理があるのと桜木の作品の美点である描写がいかされていないので、主人公の行為に共感できません。
また、珍しく官能シーンもないので、桜木の良さがぜんぜん発揮されていません。
児童文学の世界でも、教師と生徒が出てくる作品はたくさんあるのですが、たいがいはいい人か悪い人にパターン化されていて、生きた教師と生徒の姿を描きだした作品は少ないと思います。
なお、この作品だけはホテル・ローヤルも出てきませんし、舞台も釧路ではありませんが、逃避行の行き先が釧路なので、おそらく「えっち屋」などで描かれたホテル・ローヤルがつぶれるきっかけになった心中事件のカップルはこの二人なのではないかと推定されます。
各短編は、時代設定も、登場人物も、発表時期も異なるのですが、このようにあらかじめ桜木の中で完全に組立てられているようで、全体としてひとつの長編作品のように味わうことができます。
80年代ごろから児童文学でも連作短編集(例えば、泉啓子の「風の歌を聞かせてよ」など)が出版されるようになりましたが、この作品のように周到に作り上げられた本は記憶にありません。
妻の不倫相手は元上司の校長で二人の仲人でもあり、彼女の担任教師で関係が二十年も続いているというかなり強引な設定です。
この話も着地点が見えないオープンエンディングなのですが、話にかなり無理があるのと桜木の作品の美点である描写がいかされていないので、主人公の行為に共感できません。
また、珍しく官能シーンもないので、桜木の良さがぜんぜん発揮されていません。
児童文学の世界でも、教師と生徒が出てくる作品はたくさんあるのですが、たいがいはいい人か悪い人にパターン化されていて、生きた教師と生徒の姿を描きだした作品は少ないと思います。
なお、この作品だけはホテル・ローヤルも出てきませんし、舞台も釧路ではありませんが、逃避行の行き先が釧路なので、おそらく「えっち屋」などで描かれたホテル・ローヤルがつぶれるきっかけになった心中事件のカップルはこの二人なのではないかと推定されます。
各短編は、時代設定も、登場人物も、発表時期も異なるのですが、このようにあらかじめ桜木の中で完全に組立てられているようで、全体としてひとつの長編作品のように味わうことができます。
80年代ごろから児童文学でも連作短編集(例えば、泉啓子の「風の歌を聞かせてよ」など)が出版されるようになりましたが、この作品のように周到に作り上げられた本は記憶にありません。
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