現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

立花隆「ヴェールをぬいだ新世界ザル 伊沢紘生・渡辺毅」サル学の現在所収

2018-08-24 16:18:14 | 参考文献
 「新世界」とは、南北アメリカ大陸(ここでの舞台は、南米のアマゾン川・オノリコ川流域です)を指します(現在ではオーストラリア大陸も含めるのが一般的なようです)。
 この文章では、サル学が、従来の旧世界(ユーラシア大陸(アジアとヨーロッパ)とアフリカ大陸)ザルを研究していているだけでは、サル学の基本認識は正しく形成できないと主張しています(例えば、旧世界ザルだけの研究では知性(類人猿やヒトだけが持っているとされるもの)と考えられる行動を、新世界ザルでは他の行動からは知的ではないとされるサル(新世界には類人猿もいなければ、人類も生み出されませんでした)が普通に行うことがよくあるようです)。
 この旧世界ザルと新世界ザルの進化の違いは、新世界が旧世界よりも自然の恵みが豊かで、木を降りて平地で暮らす必要がなかったことによると考えられているようです。
 これらの旧世界と新世界の問題は、サル学に限らずあらゆる学問の分野において存在します。
 そもそも、「新世界」などと言う言葉も、ヨーロッパ人の勝手な観点から生み出されたわけで、彼らが「新世界」を発見した時にはそこには人類は既に存在していました。
 たんに、旧世界の人間たちの方がはるかに好戦的に進化していたために、彼らから簡単に「新世界」を略奪しただけなのです。
 ところで、「新世界」と言う言葉を聞くと、私は反射的にドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」の第二楽章のメロディが浮かんできてしまいます。
 この旋律は、「家路」「遠き山に日が落ちて」などという歌に編曲されていて、かつては日本の多くの小学校の帰りの時間に鳴らされたものです。
 今でも、外出先でこのメロディを聴くと、とっさに「早く家へ帰らなければ」と思ってしまいます。

サル学の現在 (下) (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

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