システィーナ・スカル | |
柄刀 一 | |
実業之日本社 |
フィレンツェを舞台にフレスコ画に秘められた奇想をたどる謎の物語……。
ひとは「民族の誇り」「愛の証し」「創造への情熱」を何に託して死んでいくのか?
ボッティチェリが婚礼祝いに描いた一連の残虐画が意味するものとは何か、そして、なぞらえられた異様な儀式とは?
ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に描いた壮大な天井画の秘密と、欠落した骨の謎とは?
佐伯祐三がパリで経験した悲劇とシンクロするような運命の画家が、命懸けで描き残した絵にこめたものとは?
美の天才たちがたどりついた境地を透かし見、謎が謎をよぶ本格ミステリーの仕掛けで綴る「生と死」の物語は、凝縮された密度の極上の推理劇であり、その余白に浮き上がる光景の清澄感が感動をもたらす人間ドラマでもある。驚愕の柄刀美術ミステリー、シリーズ第3弾。
書き下ろしをふくむ4編の中編集。 』
続けてシリーズ3作目を。
御倉瞬介の過去に遡り、イタリア時代、そして亡き妻シモーナとの出会いも語られる。
シモーナが若くして亡くなっているのを知っているだけに、通奏低音の悲哀がしんどかった。
ボッティチェリは『春』と『ヴィーナス誕生』だけ認識していたのだけれど、『インフェルノ』では『地獄の見取り図』、本書では『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』(こっちの方が出版は先か)を知り、怖い絵を見たがらない性癖を露呈中(笑)
ただ、これ、ホームズやルパンのころのミステリでしょう。
本書、絵画についての蘊蓄を楽しめなければ、無価値だなぁ。