引き続き、フランク・ウォーターズ著「ホピ・宇宙からの聖書」(Book of the Hopi)から、ホピの笛祭りを紹介します。
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(引用ここから)
一行はオライビに向かって行列していく。
笛の音に合わせて歌いながら、灰笛の一団は広場の前で立ち止まる。
指導者は身をかがめ、地面の上のコーンミールで雲のシンボルを描く。
二人の笛娘が杖を使って自分の輪をこのシンボルの上に投げる。
これは輪の象徴する葦のいかだが、島から島へ渡ったことを表わす。
小さな葦の輪は前にも出現の時に使った葦のいかだを象徴しているが、もっと深い意味が隠されている。
今の第4の世界に渡って来る際に、人々がとどまった島をも象徴しているのだ。
この島々は、かつて第3の世界にあった山山の峰だった。
そして、人々が第4の世界に安全に辿り着くとすぐ、島々は沈んでしまったのである。
かつての文明の痕跡をとどめる第3の世界の陸も島々もこうして姿を消してしまった。
このため、笛娘たちは自分の手で輪に触れることができず、常に杖を使って扱わなくてはならない。
それはホピ族にとって、秘密の聖なる知識だからである。
杖もまた聖なるものであり、笛祭りの間中、深く念が込められている。
それはかつての存在についてのホピの秘教的な知識がこもった、魔法の杖を象徴するからである。
他の民族はこの知識を忘れ去ってしまった。
ホピが誰であるかについても、人類の起源についても知らないでいる。
だが、いつの日か次の周期を予兆する大きな地殻変動が起こり、これら海没した島々も再び浮上して、人類の出現に関するホピの秘教的知識を傍証することになるのだ。
オライビでは、笛族の行列は蛇キバの前にあるシパプニ・・出現場所を表わす小穴のところ・・で常に停止した。
ここはとても重要なスポットである。
ポワム祭では、二人の聖なるカチナ、エオトトとアホリはこの場所で7つの連続する世界を象徴的に表わし、各世界の中間にある“出現の道”を清めるため、シパプニに水を注ぎ込んだ。
また蛇・カモシカ祭りのときには、蛇族の祭司たちが蛇をもったまま隠れ家に近づいた時に、足踏みができるよう、この上に音響板がかぶせられる。
そこで笛族の祭司たちもまた、シパプニの中に水を注ぎ込む。
外にいる2宗団は、笛にあわせて出現の物語を歌い続ける。
歌は4節にわかれ、各説は島から島への旅を物語る。
陽は地平線に沈み始め、広場に影が伸び始める。
歌は止み、二つの宗団は列を作って、暗くなりつつある広場を後にする。
(引用ここまで・終)
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この祭りについて、人類学者北沢方邦氏は著書「ホピの聖地へ」で次のように解説しています。
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隔年に行われるスネーク・ダンスと交代で行われるのがフルート・セレモニー(笛の儀礼)であるが、これは非インディアンも広場の屋根で見物することができる。
メサの麓の泉で秘密の儀礼を行って、太平洋を葦の筏(あしのいかだ)で渡ってきたとする移住伝説を演じ、
その後アメリカ大陸で彼らを助けてくれた伝説上のココペリ--背のコブに植物の種子を背負い、笛を吹きながら祖先を案内したというコブつきバッタ--を讃える力強い合唱をしながら、
青色笛祭司と灰色笛祭司の女装をした二組の祭司たちが、さまざまな儀礼を演じつつメサを昇り、
広場で最終儀礼を行い、泉から汲んできた水を、ハコヤナギの緑の小枝で作った小屋に奉納するものである。
日本の能にも似た、簡素で力強い儀礼である。
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太平洋にかつてあった沈んでしまった島というと、ムー大陸を思い浮かべてしまいますが、ホピ族の人々の記憶には、ムー大陸の記憶はあるのでしょうか。
彼らが今まで、西洋文明に接することを激しく拒否してきたのは、西洋文明にふれる衝撃でこれら今まで保持していた部族の特殊な記憶が消えてしまうことを恐れていたのではないでしょうか。
ココペリ伝説については関連記事があります。
http://blog.goo.ne.jp/blue77341/e/8f68b5978a24bf11a920c81ab02c32da
ブログ内検索にして「フルート」でも出ます。
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