ホピの夏至のお祭りの続きです。
フランク・ウォーターズ著「ホピ・宇宙からの聖書」(Book of the Hopi)に紹介されているものです。
説明を読んでいると、めまいがする程の緊迫感を感じます。
“現世の人々の幸いを見守っている先祖に感謝する”、“先祖とともに豊作を祈る”という範囲をはるかに超えた、宇宙的な感覚に満たされます。
これだけのものが、どのようにして伝承されていくのだろうかと、不思議になります。
失われた世界の記憶が、正確に保存され、継承されていくことは、とても価値あることだと思います。
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(引用ここから)
彼らの宇宙論は、同様に祭りの歌の構成にも反映されている。
歌は5節に分かれている。
最初の2節は「底」の部分として知られ、次の2節は「上」の部分、5番目の説はまた「底」の部分になる。
第1節は第一の世界のもと、創造の完全な形に対応するため、最も強められる。
父カチナはこの完全な第一の世界に向かって人々の思いを高揚させるために、激しく踊り、大きな声で歌うようカチナたちに命令する。
第2節では人間が掟に従わなかったため、いかに第二の世界へ移らざるをえなくなったかが、詳しく語られる。
第3節は第三の世界への出現とその世界の破滅を、聴く人に思い起こさせる。
第4節になって、歌声はずっと大きくなり、踊る足取りもさらに大きくなる。
そして第5節では人類はまた「底」に来る。
そこで第4の世界をバランスの中に保たせようと努めているカチナ達は、見ている人たちの思いと行いを高めようと一生けん命になる。
このような宇宙論は、子どもたちへの贈り物にも暗示されている。
午後には子どもたちに贈り物を手渡す。
男の子が入団できないほど幼いときには、違った色の部分にわかれた弓のおもちゃが与えられる。
中央の部分は第1の完全な世界を表わす白。
その両サイドは第2の世界を表わす青と、第3の世界を表わす黄色。
そして両端に至る部分は赤で、第4の世界を表わす。
すべての色に打たれた黒い点々は、連続する世界に生きる人間で、赤い色は人間が隣人と調和して生きなかった場合に流す血である。
カチナは子どもたちに向かって、正しいことを知り、どう生きるかは、いまや自分にかかっていること、そして第4の世界を元のように完全にする助けをすべきであることを教える。
そして父カチナがカチナたちに別れを告げる。
「さあ、里に帰る時じゃ。
われらのつつましい祈りを、われらの民とすべての場所にいる人類ばかりでなく、動物、鳥、虫、そしてわれらの世界を緑で覆う植物たちのためにもあるのだと受け取ってほしい。
すべての生命が湿気をもらうことによって新しくされるよう、地の四隅にわれらの知らせを携えて行ってほしい。
今日あなたがたにささやかなもてなしができたことは、わたしの喜びである。
あなた方が幸せな気持と感謝の心で道を歩まれんことを。」
翌朝の日の出のころ、最後の儀式がキバで行われる。
エオトト・カチナは第3の世界から持って来られたと言われる植物の、とげの多い枝を握っている。
エオトトからそれを受け取ったポワム・チーフは枝を受け取ると、頭上でそれを振り回しながらキバの中を4回回る。
これは人間の意識を最高のレベルに高めることを象徴する。
また、ワシは大切に埋葬され、その羽は太陽に祈る時に特別に使われる。
ワシの頭の上には石が積み上げられ、そこにワシが4日目に高き世界に昇ってゆくためのはしごを表わす棒が立てられる。
この高い世界が、長い生命の道の上で常に目に見えない力で私たちを手助けしてくれるのである。
人類をこの第4の世界に初めて迎え入れ、その羽をパホのために与えてくれたのは、この誇り高き鳥、ワシだった。
その羽は生命の存在する他の惑星、星星に人間の祈りのメッセージを伝えるとともに、この惑星を秩序正しいものにするため、“よき思い”を常に抱くよう、わたしたちに求めているのである。
(引用ここまで・終)
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