始まりに向かって

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動物霊たちと人間の行進・・ホピの祭・ヤヤ祭3(終)

2010-11-14 | ホピの宇宙神話・伝承・祭
フランク・ウォーターズ著「ホピ・宇宙からの聖書」から、ホピのお祭りの紹介をしています。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。
続きです。

          *****

              (引用ここから)


こうして人々は霧の立ち込める中を進んでいった。

小さな「狩りの母」を先頭に、大角羊が率いる動物霊たちは一列になって進み、人間たちがその後に続いた。

彼らは長い間、別の小村落の人たちと生活をともにした。

動物は豊富にいて、人々は狩りを喜んだ。
だが、この村の人たちは動物界を尊ばなかった、

そこで動物霊の長は、霧族の指導者に言った。

「この人たちはわれわれへの憎しみを増やしている。

離れる時になりました。

今後この人達は食糧を得るのに、長い時間をかけて狩りをしなければならないでしょう。
あなたがたは、われわれといっしょに来てください。」


先頭は儀式用のローブに身を包んだ三本脚のコヨーテ。
次に大角羊、大鹿、カモシカ、すべての鹿がこれに続き、あとから狩りの女神、そして人間が続いた。

こうして彼らは旅を終り、ワルピに辿り着いた。
そして太陽族とともに住んだ。


「ヤヤ祭り」は長年ワルピで行われ、特別なハポがつくられていた。
力のすべては人々の幸せのために使われた。

ツヒクヤ(=人を癒す)は呪師に対する通称である。
そしてポシ(=目)は、闇の中も見通せる動物界の目を持つ呪師に対する尊称である。

いずれの名前もヤヤの力の出所であるツボシ(=動物界)に派生している。
ポワカは全員二心で、人間の心と動物の心の両方を持つ。

かれらは古代にヤヤの儀式が行われていたキャニオン・デ・チェリーの入り口にある大絶壁パラングウ(赤い岩場)に、夜の闇にまぎれて飛んでゆく。

この場所の名は、動物界の王者パングウ(大角羊)に派生する。

この岩の中にあるグレート・キバには、世界中からポワカが集まってくる。


           (引用ここまで・終)


        *****



ところで、ヤヤの始まりとなった少年シリオモモについてですが、彼の父は
“お前が何と呼ばれているかは知っている。”と言っていました。

これについて、訳注には次のように書かれていました。

“シリオモモは植物界の名であるが、動物界とのつながりも暗示されている。

シリオモモはユッカのさやを揺すった時に聞こえる音を意味していて、この同じ音がカモシカの睾丸の皮で包んだガラガラから聞こえる。”

ユッカという植物は、ホピ族が清めと契りのしるしに髪を洗う儀式に用いる植物として何度も登場しています。

また、カモシカ族は蛇族と共に、ホピ族の大事な祭り=「蛇祭り」を行う宗団であり、ホピ族の精神の一端を担っている宗団です。

この伝承は、ホピ族の世界の一部は魔術的思考を重要な要素として構築されていることを示唆していると思われます。


しかしまた、このようにして見るとたいそう奇妙に見えますが、おそらく人間が傲慢になる前は、人間は動物にたくさんのことを教えられ、導きを受けて、暮らしていたのであろうと思います。



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