その次に行われるのは、笛のお祭りです。
同じくフランク・ウォーターズ著「ホピ・宇宙からの聖書」(Book of the Hopi)から、抜粋して引用します。
祭りは、恐ろしいような精神力で営まれているように思います。
世界中にある洪水伝説の一つとして、堂々たるものではないでしょうか?
ノアの箱舟の伝承を、今、毎年体現している人々は、他にどこにいるでしょうか?
ホピ族の任務は、大きいのではないかと思う次第です。
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(引用ここから)
笛の儀式ほど、単純で謎めいて見えるものはない。
これは村へと向かいながら広場を練り歩く行列で、先頭は二人の少女。
彼女たちは、地面に引かれたコーンミールの線の上に規則的に小さな輪を放り投げる。
広場では、村人たちが笛の音楽に合わせて歌い、それから静かに散っていく。
ただそれだけである。
だが、この儀式の歌と象徴の中には、第4の世界に出現した人類の全行程が含まれている。
第三の世界が水で滅びると、人類は葦のいかだに乗って水を渡り、この第四の世界の岸辺に到着した。
出現の場所は南の温暖な地、中米と信じられている。
人々は各派にわかれて大陸を移動し始めた。
クモ女の指導のもとに北上した人々は、クモ族、火族、太陽族、青笛族、蛇族。
北限にまで来ると、彼らは自分たちに与えられた力を使って極氷を溶かそうと試みた。
太陽族は太陽の力を、火族は地底の熱の力を、青笛族は笛を吹き歌を歌い、熱を呼び起こす熱帯の鳥の羽を使った。
だが彼らは4回試みたが、失敗し、また南に下がってきた。
青笛族は東に向かい灰笛族と出会って、自分たちの体験を話した。
彼らは自分たちが創造主の計画と一致していなかったために失敗したこと、永住の地に着く前に聖なる力を誤用してしまったことを自覚した。
そこで、灰笛族が二部族の指導者となった。
笛の儀式は冬に始まる。
一年の生命計画をたてる冬至のソヤル祭に全宗団が参加する時、笛族の酋長はフルート・スプリングから持ってきた水を祭壇にふりまく。
夏が来る時、笛宗団はこの計画を具現するのだ。
笛族の儀式は16日間続く。
祭壇の左側には水瓶と正しく配置されたトウモロコシ。
また中央寄りにはオウムの姿をした木彫りの像と、熱帯産の鳥をあらわす像。
右側には木製の扇または櫂が二つ。
また葦で作られた二つの小さな輪がトウモロコシの葉にくるまれて置かれている。
フルート・スプリングの水は、人が現われ出た水を象徴している。
儀式前と開始後の4日間は、酋長は塩を口にせず、ひたすら祈りと精神集中に費やす。
祭りの16日目の昼、灰笛族と青笛族はフルート・スプリングに集まって「出現の場面」を演じる。
オウムやインコなど、熱帯産の鳥の赤い羽根の頭飾りをつけた男女が、泉を囲んで輪を作る。
灰笛族の長が泉の中に入り、小型のいかだにまたがって、青色の櫂(かい)でこれを漕ぎだす。
歌に耳を傾けながら彼のしぐさを見ていると、その意味が分かってくる。
大波が第三の世界を滅ぼし、人々は葦のいかだに乗って次々と島をわたり、最後にこの第4の世界の岸に現れる。
そしてコーラスが彼らの苦しみを歌い始めると、長は黒い泥の入った器を持って泉から這い上がり、全員の顎を泥で塗る。
一行はオライビに向かって行列していく。
(引用ここまで・続く)
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