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満州族伝統、サマン再生、保護、観光、芽生える民族意識・・生きているシャーマニズム

2013-05-20 | その他先住民族



趣味の新聞切抜きの続きです。
まだまだ、たくさんあります。
富士山の話が中途半端ですみません。
あれこれ、いろいろと続きます。


               *****

2011年7月25日
朝日新聞

「満州族伝統、サマン再生・・保護、観光、芽生える民族意識」


吉林省九台市小韓村にある満州族の古びた民家の庭。

白い上着に青いスカートのような服を着た「サマン」の石さんは突然目を閉じ、身体を震わせた。

「ザイリ」と呼ばれる介添え役は、倒れかかった石さんを支え、額からにじんだ汗をタオルで何度も拭いた。

石さんはなにか叫ぶと、腰に巻いた金属製の筒がついた「腰鈴」をジャラン、ジャランと鳴らして踊り出した。

「大英雄神」が乗り移った瞬間だ。


石一族の守り神で、中朝国境の長白山から一足飛びにやってきたというのが、周囲の説明だ。

英雄神や蛇神、オオカミ神、虎神など約50の守護神がいるという。


この儀式は旧正月や秋の収穫後の祭りなどで行われている。

清代から11代に亘って「サマン」を輩出している石一族には現在4人の「サマン」がおり、伝統の儀式がほぼ完全な形で保存されている。

神霊や祖先の霊と交信して占いや予言をする人を指す「シャーマン」という言葉は、満州語を含むツングース語系言語の「サマン」が発祥だ。

古来、病気の治療などでも活躍し、欠くべからざる存在だった。


「大英雄神」が乗り移った石さんは、太鼓や槍を振り回して勇壮な舞を披露し、「一族は太平か?」「家族たちは元気か?」などと、満州語で問いかけた。


続いて屋内に入り、「大英雄神」を送り出す儀式に取りかかる。

石さんは、叫び声を上げて踊り続ける。

他の「サマン」達は、石さんを玄関から外に出そうとするが、もがいてなかなか外に出ない。

「サマン」達は「大英雄神がもっと武術を披露したくて去りたくないようだ」と説明してくれた。


やっと「大英雄神」が去ると、石さんは我に返った。

この間のことは何も覚えていないという。


石さんは吉林市で内装業を営む普通の若者だ。

2004年に数か月、老サマンの指導で神に捧げる文言や様々な神を呼ぶ儀式などを学び、長老たちの選考を経て「サマン」になった。


満州族の「サマン」文化は数千年前に発祥したとみられ、かつては満州族の集落には必ず「サマン」がいた。

今では20から30人が確認されているだけだ。


1950年代までは、重病にかかった幼児の中で、神が選ぶ条件とされる兆候に当てはまる子が「サマン」となった。

60年代以降は、「サマン」の教義を学ぶ子供の中から、一族の合議で素質があるとみなしたものを選ぶ形式が定着した。


石一族の長は語る。

「神々が一族の繁栄や豊作を守ってくれる。

600年前から代々受け継いできたサマン文化は貴重な遺産です」


わずか数十万人で「清」を建国し、広大な中国大陸を3世紀にわたって支配した満州族だが、1911年の辛亥革命で「清」が崩壊すると、旧支配層の満州族は排斥された。

1932年には清朝最後の皇帝が日本のかいらい国家「満州国」の建国に利用される。


戦後、侵略者と手を組んだとみなされた満州族の立場は苦しかった。

1949年に新中国が成立すると、文化大革命など政治運動の災禍が襲う。

「サマン」らは「封建時代の迷信を広めた」として捕らえられ、紅衛兵は儀式に関連した道具や書物を焼き払ったという。

石一族の長老の一人は、「家に隠れて伝統行事を守り続けた」と振り返る。


1980年代に改革開放が本格化すると、風向きが変わった。

堂々と伝統儀式を行えるようになり、「サマン文化」の研究も盛んになった。

最近は、文化財保護や観光資源として活用する観点から、地元政府も「サマン文化」に注目、「サマン文化と東北民族研究センター」と「サマン文化博物館」が相次いで開設された。

石一族の伝統儀式は無形文化財に指定された。


歴史の荒波を経て、満州語を話せる人はほとんどいなくなり、氏名も漢族と見分けがつかないほど漢化が進んだ満州族だが、時代の追い風もあって民族意識が芽生えている。

とりわけ「サマン文化」は、数少ない満州文化のシンボル的存在だ。

満州族の文化を紹介するウェブサイトも増え、満州語教室も盛況だ。

かつて満州族が重視した家系図「家譜」を作る人も増えている。

満州語の歌を歌う歌手も現れた。

「サマン文化」を研究している所長は、「われわれ満州族は服装も言語もみんな漢族と見分けがつかなくなってしまったが、祖先から伝承された「サマン文化」は満州族の根っこだ。

しっかり継承しなければ祖先に申し訳ない」と語った。


                *****


新聞は、たいがいの記事は面白くもなんともないのですが、時々こういう記事があるので、つい毎日見てしまいます。

関連記事は後ほど書きます。


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