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最古の鉄鋼生産か・・トルコで発掘 前期青銅器時代

2014-01-22 | エジプト・イスラム・オリエント


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2012年4月3日 朝日新聞

「最古の鉄鋼生産か・・トルコで発掘 前期青銅器時代」

中近東文化センターが発掘調査を進めているトルコのカマン・カレホユック遺跡で、紀元前2100年~前1950年ごろ(前期青銅器時代)の地層から出土した遺物に、鉄器の原料となる鉄鉱石や、製鉄や精錬の際に出る不純物である鉄滓が含まれていることが、岩手県立博物館の赤沼英夫氏の分析でわかった。

この層からは鋼の鉄器も出土しており、世界最古の鋼の生産が行われていた可能性が強まった。

確認されたのは、破砕された鉄鉱石が2点と鉄滓が2点。

鋼と推定される鉄片も新たに1点みつかった。

また鉄鉱石から鉄分の少ない部分を取り除いたとみられる岩石片もみつかっており、赤沼さんは「選鉱も行われていた可能性がある」と見ている。

中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所の大村所長は、「注目すべき発見だ。今後出土した遺物の年代測定を行うとともに、鋼の生産遺構の発見に努めたい」と話している。


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「アナトリア発掘最前線」と銘打って、「中近東文化センター」の27年に及ぶ活動を記した記事もありました。

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「鉄の起源、謎に迫る発見・・炉跡と土器、並んで出土」
                         読売新聞2012年9月19日

トルコ中部のアナトリア高原で、日本の中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所が27年にわたって発掘調査を続けている。

世界史の再構築を目指す現場から報告する。

幾多の民族が興亡を繰り返した舞台とはとても思えない。

見渡す限り小麦畑ののどかな高原を、首都アンカラから車で2時間。

直系280メートル、高さ16メートルの平たい丘が現れた。
カマン・カレホユック遺跡だ。

アナトリアには、町の跡に新たな町を作ることが繰り返されて丘になった「遺丘」が無数にある。

遺跡の南側に、車一台が通れる幅しかない道が東西に延びる。

農道かと思っていると、「西はエーゲ海岸、東はタシケント(ウズベキスタン)に続く古道です」と教えてくれた。

交通の要所で水辺に近い場所を選び、人々が連綿と住み続けたのだ。

遺丘には、石器時代から現代まで、9500年に及ぶ歴史が堆積しており、ここでの発掘が世界史の定説を少しずつ塗り替えつつある。

史跡南側の調査区では、約2500平方メートルの広大な面積で「暗黒時代(紀元前1200年から前750年ごろ)」の都市の姿を明らかにしようと発掘が進む。



他の遺跡で生活の痕跡がみつからず「暗黒」と呼ばれていた時代に文化が存在していたことを、カマンでの調査が明らかにした。

北東の角だけが丸い奇妙な形の住居で、ギリシャのミケーネ文明(紀元前1600年~前1200年頃)と同じ波形文様の土器を使った人々の暮らしが姿を現している。

今カマンで最も注目されているのが、鉄の起源に関わる数々の発見だ。

製鉄技術は紀元前1750年~前1200年頃にアナトリアで栄えたヒッタイトが独占し、その帝国崩壊とともに技術が各地に拡散したとされてきた。

だが、カマンではヒッタイトより古い紀元前1950年~前1750年のアッシリア商業植民地時代や、その下の紀元前2100年~前1950年頃の前期青銅器時代の層からも、鉄や鋼が出土し、世界最古の鉄生産がヒッタイト以前に始まっていた可能性が高まっている。

前期青銅器時代まで掘り進んでいる北側の調査区では、この8月も鉄の謎につながる発見が続いた。

20メートル四方を超えるとみられるアッシリア時代の大型建物内で、金属を溶かした炉跡とみられる直径約40センチの穴と冷却用の水を入れたと推測される同約50センチの土器が並んでみつかった。

近くの前期青銅器時代の層からは、鉄鉱石と鉄を精錬する際に出る鉄滓が出土した。

大村さんは「この建物周辺はアッシリア時代以前から、金属の二次加工などが行われてきた重要な場所である可能性が高い」と言う。

では製鉄はどこで行われたのか?

午後10時。「風が吹き始めましたよ」という大村さんの声で研究所の外に出ると、遺跡から離れたバランヌ山から、ゴーという音とともに冷たい風が吹き下ろしてきた。

南から吹くのに「冷たい北東風」と地元で呼ばれるこの風は、8月中旬から9月中旬の夜に吹き、治まるとアナトリア高原に秋が訪れる。

「建物が並ぶ街中ではなく、風が吹き抜ける山間地に炉を作って製鉄に必要な高温の火力を得て、この季節だけ鉄を作っていたのではないか。」

炉の遺構こそまだみつかっていないが、大村さんはそう見ている。

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「中近東文化センター付属アナトリア考古学研究所」HP


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