ファイナルファンタジーXIは2001年12月にβ版がスタートした。
プレイステーション2にBB Unitをセットしてプレイできるというハードルの高さだった。コンシューマ機でのMMORPGという野心的な試みでもあった。
正式サービス開始は2002年5月。Windows版は同年11月からスタート。それから13年が経ち、大型アップデートの停止がアナウンスされたが、サービスは今も継続中だ。
初の国産大型MMORPGということもあり、作り手もプレイヤーも試行錯誤の連続だった。アップデートで状況が劇的に変化し、プレイヤーが振り回されることも多かった。
そんな中で多くのプレイヤーがゲーム外で情報を求めたのは当然だ。FF11プレイヤーは常時接続等のネット環境に恵まれた者が多く、ウェブでの情報収集に積極的だった。
正式サービスが開始され、多くの個人サイトも立ち上がった。
情報交換系のサイトと、情報をまとめたサイト、個人のプレイ日記系のサイトに分けられる(もちろんその複合的なサイトも多かった)。
情報交換系では、掲示板サイト、もちろんその中心となったのが2ちゃんねるだ。ネ実にアクセスが集中し、サーバ落ちなども頻発しトラブルとなった。2002年11月から2004年頃までは、FF11の情報交換は主にしたらばで行われていたが、ライブドアに買収されたことを機に再びネ実へと回帰した。
2ちゃんねるは独特の雰囲気があり、嫌う者も多い。公式の交流掲示板が存在しないため、初期は「Surfersparadise ゲーム館 FinalFantasy11情報局」などの情報まとめ系サイトの掲示板が賑わった。
情報まとめ系サイトでは、「eLeMeN - FINAL FANTASY XI DATABASE」が長く最も知られるサイトだった。デザインの良さや情報の確かさに定評があった。情報の速さや管理人との交流が盛んだった「えふめも」もよく知られていた。
個人系サイトでは、「ギルガメッシュ戦記」や「マイケルサイト」が有名どころだ。プレイのこだわりやユニークな企画、それを巧みな文章で読ませるところが同じFF11プレイヤーを惹きつけた。動画サイトがまだない時代だったからそれを文章で再現できる力が必要だった。
公式では開発情報に意見交換掲示板が設置された。PlayOnlineというログインして入るポータル上のもので、語られるテーマも限定的で、削除される書き込みも多かった。自由にものが言える雰囲気とは言い難かった。
FF11の情報交換は匿名掲示板メインで行われるようになり、そこから有益な情報が情報サイトに拾われていく流れができていった。
2005年9月にプレミアサイトとして「FF11.Gameinside.info」が開設される。これに伴うように12月には開発情報が廃止。しかし、プレイヤーの支持を得られたとは言えず、3年後に閉鎖されてしまう。
一方、2005年から2006年にかけて、「FF11用語辞典 ~ ウィンダスの仲間たち版」と「Final Fantasy XI Wiki*」が稼働する。前者はWikipediaのような用語辞典。後者は攻略Wikiだ。明確な管理人を置かずにユーザーが自分たちで作成していくシステムとなっている。
ウェブ上の流れとも合致したこうした方向性は必然とも言えた。もはや個人の管理ですべてをまかなえる状況ではなくなっていた。
合成などの特化系の情報やソロ攻略といった特殊な攻略情報を除いて、一般的な攻略情報はこの2つのサイトに集約されていく。
また2007年ころから動画配信が増えていく。それまでもFlashなどでの動画配信はあったが、youtubeやニコニコ動画などが広まるにつれプレイ動画といった攻略系のものも現われるようになった。
攻略本は、初期はデジキューブやスクウェア・エニックスから「ファイナルファンタジーXI ヴァナ・ディール ワールドリポート」として定期的に公式のものが発売された。
また、エンターブレインのファミ通系、アスキー・メディアワークスの電撃の旅団系、ソフトバンク クリエイティブのマスターズガイド系が数多く出版された。紙媒体で手元に置いてプレイするメリットはあるが、オンラインゲームの常として情報がすぐに古くなってしまうデメリットが大きかった。
その中で旅団員の個性を売りにした電撃系はプレイヤーの支持を得た。
FF11はプレイヤーの高齢化とプレイヤー数の減少に直面する。2010年、2011年には大規模なワールド統合が行われた。
2013年3月に5年半振りとなる拡張ディスクが発売される。この間、2011年1月に公式Twitterアカウントの開設、3月に公式フォーラムβ版の開設とようやくプレイヤーとのコミュニケーションを取ろうという姿勢を見せ始めた。
しかし、アドゥリン発売後もプレイヤー数の減少は著しく、2015年3月にシナリオ「ヴァナ・ディールの星唄」の実装をもってメジャーバージョンアップを終了することがアナウンスされた。
FF11はMMORPGであり、その膨大な情報量はゲーム内だけでは共有できず、ゲーム外でいかにプレイヤーを導くかという視点が開発・運営にあればもっと異なる展開があったのかもしれない。プレイヤーの不満を放置したままの運営は、新規の参入を阻むこととなった。
当時日本のゲームメーカーにそういった面での蓄積がほとんどなかったから仕方ない面もあるが、FF14にノウハウが受け継がれたとは言えず、もったいないと感じる(最近のソーシャルゲームは知名度上げてガチャ課金させるというワンパターンのシステムばかりなので、こういったノウハウを必要としていないが)。
ゲームはコミュニケーションツールでもあり、そこでの成功がゲームのヒットにつながる。Twitterや動画投稿サイトでの話題性も重要だ。でも、攻略サイトの重要性とそのポータルとしての役割もゲームの人気を左右すると思う。
攻略本の時代もゲームの作り手売り手がそこにどう関わっていくのかはかなり重要だったが、今もそれは変わらない。粗製濫造されているような現在のゲーム作りで生き残っていくためにはそこが大事だろう。