2014年9月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1581ページ
ナイス数:72ナイス
基準値のからくり (ブルーバックス)の感想
日本では論理的に考える訓練が十分に行われているとは言えない。文系のみならず理系ですらそう感じる。それにつけ込むように不安を煽る人々がいる。一部のマスメディアは率先してそれを行っている。本書で語られている内容は有意義だが、日本で論理的にリスクについて議論ができるのか。本書と一般の人々の心情との隔たりは大きい。それを埋めていく方法論がいま求められているのだろう。(☆☆☆☆☆)
読了日:9月5日 著者:村上道夫,永井孝志,小野恭子,岸本充生
魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上) (電撃文庫)の感想
「さすおに」は下巻に持ち越しって感じだが、やはり上下巻くらいの緩い展開の方がこの作品には合っている。13巻は余裕がなくてストーリーしか描けてなかったしね。ストーリーはベタなので、その端々にあるエピソードを楽しむのが基本。サブキャラが非常に多いのでその生き残りレースとして見るのも面白いけど(笑)。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:9月10日 著者:佐島勤
ルポ 電王戦―人間 vs. コンピュータの真実 (NHK出版新書 436)の感想
第3回電王戦までのコンピュータ将棋の歴史をうまくまとめている。棋譜や難しい用語は使わず、初心者には読みやすい内容だろう。今は、人の方がミスを犯しやすいから負けることが多いという状況だと思っている。ただ、ソフトの欠点を突く勝負を見たいとも思わないので、電王戦の今後のあり方は難しいだろう。新書ということもあり、そういった踏み込んだ内容ではなく、概略を知るのに適した本だと言える。(☆☆☆☆)
読了日:9月11日 著者:松本博文
官能教育 私たちは愛とセックスをいかに教えられてきたか (幻冬舎新書)の感想
先に読んだ『男子の貞操』が100という理想に近付こうとする内容だったのに対して、本書は100を越えた先の話。『男子の貞操』の副題の「僕ら」に含まれていないと感じた私にとっては、本書の副題の「私たち」は異世界の存在のように見える。一夫一婦制や結婚というシステムが時代に応じて変化していくのは当然だろうが、その前提となる人々の意識は今の日本ではかなり保守的に感じるので、劇的な変化は相当先になるように感じてしまう。あと、新書だからか知らないが、説得力のある論理性は感じず。(☆☆)
読了日:9月12日 著者:植島啓司
晴れた日は図書館へいこう ここから始まる物語 (ポプラ文庫ピュアフル)の感想
日常の謎ではあるが、謎は必要なのかと感じてしまう。謎のためにキャラクターを動かしているように見えると少し興ざめ。「日常」成分がまだまだ足りないように思う。おもしろいだけに、もったいない印象。(☆☆☆☆☆)
読了日:9月19日 著者:緑川聖司
一〇年代文化論 (星海社新書)の感想
ディケイドで時代の特徴をつかもうとするのはいい。「残念」という概念に新たな要素が加わったことも確かだろう。ただこの本で語られていることは、若者文化の中でもごく一部だし、「残念」にこじつけたと感じるところも多かった。それが著者の信じた「物語」なのだろうが、そういう物語性から脱却することが21世紀的な視点だと私は思っている。(☆☆☆)
読了日:9月20日 著者:さやわか
読書メーター
6冊。下旬に体調崩したりしたので、伸びず。文庫・新書ばかりとなった。
『一〇年代文化論』は「残念」の新たな概念の広まりをキーとした現代文化論。着眼はおもしろいが、説得力不足の印象。ちなみに、2010年5月に「残念系美少女」という記事を書いた。本書ほどの積極的意味を見出してはなかったが、サブカルにおける新たなヒロイン像の構築としてはひとつのジャンルとなっているように思う。
今更ながら論理性の乏しさを強く感じることがある。ネット上の文章にそれを求めるのもどうかと思うが、新書などだけでなく新聞やTVなどでもさほど変わらない印象だ。
日本語が論理に向いていないという主張もあるが、私は教育が十分になされていないせいだと思っている。言葉を厳密に定義した上で論理を組み立てる訓練は学校で受けた記憶がない。最近は知らないが、昔はそうだった。私自身も論理性においては未熟もいいところだと感じている。
みながみな高い論理性を身に付けるなんてことは理想論だが、日本では実のある議論がほとんどなく、時間と労力の無駄遣いになっている。生産性の低さを高い勤勉性で補っているとしたら、勤勉であることはいいことなのか、みたいな。労働時間の長さがツケとして社会のあちこちに影響を与えているわけだしね。論理性と生産性は完全なイコールではないけれど、関係はあるし。
ネット以上にTVが、そうした論理性を高めることに対する障壁のように感じるのは前からだけど、TVに何かを求めてももう無理だろうし。生産性が低くても忠実で勤勉な人々を大量生産したほうが良いという社会モデルが戦後に作られ、いまだにそれを崩せていない。ゆとり教育や能力主義・成果主義も新たなモデルになりえていない。まあ年取った人は逃げ切れるからね。苦労するのは若者。当事者がどうにかしようとしなければ、誰かが助けてくれるわけもなし。
戯言だけど。
わずか3冊。
2014年8月に読んだ本
2014年7月に読んだ本
2014年6月に読んだ本
2014年5月に読んだ本
2014年4月に読んだ本
2014年3月に読んだ本
2014年2月に読んだ本
2014年1月に読んだ本
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1581ページ
ナイス数:72ナイス
基準値のからくり (ブルーバックス)の感想
日本では論理的に考える訓練が十分に行われているとは言えない。文系のみならず理系ですらそう感じる。それにつけ込むように不安を煽る人々がいる。一部のマスメディアは率先してそれを行っている。本書で語られている内容は有意義だが、日本で論理的にリスクについて議論ができるのか。本書と一般の人々の心情との隔たりは大きい。それを埋めていく方法論がいま求められているのだろう。(☆☆☆☆☆)
読了日:9月5日 著者:村上道夫,永井孝志,小野恭子,岸本充生
魔法科高校の劣等生 (14) 古都内乱編 (上) (電撃文庫)の感想
「さすおに」は下巻に持ち越しって感じだが、やはり上下巻くらいの緩い展開の方がこの作品には合っている。13巻は余裕がなくてストーリーしか描けてなかったしね。ストーリーはベタなので、その端々にあるエピソードを楽しむのが基本。サブキャラが非常に多いのでその生き残りレースとして見るのも面白いけど(笑)。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:9月10日 著者:佐島勤
ルポ 電王戦―人間 vs. コンピュータの真実 (NHK出版新書 436)の感想
第3回電王戦までのコンピュータ将棋の歴史をうまくまとめている。棋譜や難しい用語は使わず、初心者には読みやすい内容だろう。今は、人の方がミスを犯しやすいから負けることが多いという状況だと思っている。ただ、ソフトの欠点を突く勝負を見たいとも思わないので、電王戦の今後のあり方は難しいだろう。新書ということもあり、そういった踏み込んだ内容ではなく、概略を知るのに適した本だと言える。(☆☆☆☆)
読了日:9月11日 著者:松本博文
官能教育 私たちは愛とセックスをいかに教えられてきたか (幻冬舎新書)の感想
先に読んだ『男子の貞操』が100という理想に近付こうとする内容だったのに対して、本書は100を越えた先の話。『男子の貞操』の副題の「僕ら」に含まれていないと感じた私にとっては、本書の副題の「私たち」は異世界の存在のように見える。一夫一婦制や結婚というシステムが時代に応じて変化していくのは当然だろうが、その前提となる人々の意識は今の日本ではかなり保守的に感じるので、劇的な変化は相当先になるように感じてしまう。あと、新書だからか知らないが、説得力のある論理性は感じず。(☆☆)
読了日:9月12日 著者:植島啓司
晴れた日は図書館へいこう ここから始まる物語 (ポプラ文庫ピュアフル)の感想
日常の謎ではあるが、謎は必要なのかと感じてしまう。謎のためにキャラクターを動かしているように見えると少し興ざめ。「日常」成分がまだまだ足りないように思う。おもしろいだけに、もったいない印象。(☆☆☆☆☆)
読了日:9月19日 著者:緑川聖司
一〇年代文化論 (星海社新書)の感想
ディケイドで時代の特徴をつかもうとするのはいい。「残念」という概念に新たな要素が加わったことも確かだろう。ただこの本で語られていることは、若者文化の中でもごく一部だし、「残念」にこじつけたと感じるところも多かった。それが著者の信じた「物語」なのだろうが、そういう物語性から脱却することが21世紀的な視点だと私は思っている。(☆☆☆)
読了日:9月20日 著者:さやわか
読書メーター
6冊。下旬に体調崩したりしたので、伸びず。文庫・新書ばかりとなった。
『一〇年代文化論』は「残念」の新たな概念の広まりをキーとした現代文化論。着眼はおもしろいが、説得力不足の印象。ちなみに、2010年5月に「残念系美少女」という記事を書いた。本書ほどの積極的意味を見出してはなかったが、サブカルにおける新たなヒロイン像の構築としてはひとつのジャンルとなっているように思う。
今更ながら論理性の乏しさを強く感じることがある。ネット上の文章にそれを求めるのもどうかと思うが、新書などだけでなく新聞やTVなどでもさほど変わらない印象だ。
日本語が論理に向いていないという主張もあるが、私は教育が十分になされていないせいだと思っている。言葉を厳密に定義した上で論理を組み立てる訓練は学校で受けた記憶がない。最近は知らないが、昔はそうだった。私自身も論理性においては未熟もいいところだと感じている。
みながみな高い論理性を身に付けるなんてことは理想論だが、日本では実のある議論がほとんどなく、時間と労力の無駄遣いになっている。生産性の低さを高い勤勉性で補っているとしたら、勤勉であることはいいことなのか、みたいな。労働時間の長さがツケとして社会のあちこちに影響を与えているわけだしね。論理性と生産性は完全なイコールではないけれど、関係はあるし。
ネット以上にTVが、そうした論理性を高めることに対する障壁のように感じるのは前からだけど、TVに何かを求めてももう無理だろうし。生産性が低くても忠実で勤勉な人々を大量生産したほうが良いという社会モデルが戦後に作られ、いまだにそれを崩せていない。ゆとり教育や能力主義・成果主義も新たなモデルになりえていない。まあ年取った人は逃げ切れるからね。苦労するのは若者。当事者がどうにかしようとしなければ、誰かが助けてくれるわけもなし。
戯言だけど。
奇天の本棚 - 2014年09月 (3作品)
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わずか3冊。
2014年8月に読んだ本
2014年7月に読んだ本
2014年6月に読んだ本
2014年5月に読んだ本
2014年4月に読んだ本
2014年3月に読んだ本
2014年2月に読んだ本
2014年1月に読んだ本