たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

子どもをめぐる制度の新たな動き <いじめ防止対策推進法改正素案><児童虐待防止法・児童福祉法の改正案>などの動きを垣間見る

2019-03-01 | 教育 学校 社会

190301 子どもをめぐる制度の新たな動き <いじめ防止対策推進法改正素案><児童虐待防止法・児童福祉法の改正案>などの動きを垣間見る

 

昨夜見た録画、ブラタモリの武蔵小杉を扱った番組、高層マンションには関心がなかったですが、二ヶ領用水が家康によって開削された歴史には興味を持ち今日のテーマにしようかと思ったのですが、技術的な事柄について情報提供がなかったので、ちょっとウェブ情報を見たものの、参考になるほどのものが見当たりませんでした。1600年代初期に32kmもの大用水を大河川・多摩川から引水して(ただし当初は井堰を設置したわけではない)灌漑したのですから、100年後の紀ノ川での小田井用水と比較してもよいかと思うのですが、それは次の機会に譲ります。

 

さて本日のお題は、テーマに苦しんだあげく、表記のものにしました。気にはなりつつも、なかなかややこしいので、全体を有機的にとらえるといいましょうか、子どもの視点でどう考えればよいのか、難しい問題と思い腰が引けています。とりあえずいくつかの最近の記事をざっと並べて、思いつくことを書いてみようかと思います。

 

こどもがいじめや虐待、体罰を受けるといった場合、学校、養護施設といった公共空間と、家庭とが一応区分されるかと思います。その場合、前者では子ども同士の場合、あるいは教師や施設職員がまず想定されます。後者では両親ですね。本来は、なぜそのようなことが起こるかの背景をしっかり把握してその根本問題の解決に結びつく対策が望まれるのですが、どうしてもそこまでの制度作りが間に合わないようで、発生した事件といいましょうか事態にいかに適切に対応するかと言った、問題状況の即時的な対応に中心がおかれがちです。

 

毎日の227日記事<親の体罰禁止を明記 子どもに意見表明権も>親のしつけと称する体罰による死亡事件を受け、家庭内での法律である民法の「懲戒権」の是非が議論されつつも、民法それ自体の議論を回避して、児童福祉法に定めのある懲戒について体罰禁止を明記する改正案が検討されているとのことです。

 

また、「子どもの権利条約」で認められている子どもの「意見表明権」についても、幼い子どもの意見表明を権利として保障しても、児童相談所や学校、教育委員会など関係機関の大人はどうしても両親の意見に抗しきれず、実効的な保障が担保されませんね。それで<子どもの意見を丁寧に聞いたり、乳幼児の声を代弁したりする専門職や機関設置など体制構築に向け検討することを明記する。>

 

今回の事件では10歳と5歳の女児が不幸な犠牲者となっていますが、このような幼いこどものために、はたして特定の専門職を派遣することでうまくいくのか少し不安です。そこにたどり着くまでに関係機関の早期の対応がまず必要ではないかと思うのです。そして専門職にしても特定の機関としても、関係機関との連携なく活動しても継続的なサポートはできないと思われ、その連携システムを構築する必要があると思われるのです。

 

ところで、学校でのいじめを苦にした自殺の問題を受けて136月成立のいじめ防止対策推進法は<被害者家族への調査結果の適切な情報提供▽学校内にいじめ防止組織を常設▽重大な被害がある場合は警察に通報>などを内容とするものですが、その後もいじめもいじめ自殺も続いており、さらなる対応を求められ、同日の毎日記事<いじめ防止対策推進法改正案 対応「懲戒」賛否 重大事態を回避/現場が萎縮>では、<いじめに適切に対応しなかった教職員を懲戒処分の対象とする条文の明記を検討している。>とのことです。

 

その内容は<条文素案は、教職員はいじめに関する法令や通知などを熟知する義務があり「いじめを受けた児童等を徹底して守り通す責務」があると明記。その上で「いじめが疑われる事実を知りながら放置し、助長してはならない」と定め、違反した場合は懲戒処分の対象になるとのルールを自治体が定める>というものです。

 

これに対し、著名教育評論家が賛意を示す一方、教職委員や関係団体から<現場は萎縮する」と反発>という状況です。

 

直ちに制度化して懲戒対象とするのがよいのかは、慎重に対応してもらいたいと思いつつ、一部の教職員の中には見て見ぬふりをするか、一緒になって気づかずにいじめをするとか、の事例が取り上げられることもあり、まだ啓蒙・認識が十分行き渡っていないのかと感じることがあります。ペナルティは最終的には選択肢になりうると思いますが、よりいじめ対応の徹底を教職員のなかで共有してもらいたいと思うのです。

 

なお、検討中の法案は以下の通りです。

<改正案で新設が検討されている条文

・いじめ対策は児童等の教育を受ける権利の保障のために欠くことができない学校において最優先に対応すべき事務であり、適切に行われなければならない

・教職員はいじめの防止に関する法令、基本的な方針、通知等に精通し、正しい理解の下に職務を行わなければならない

・教職員はいじめを受けた児童等を徹底して守り通す責務を有し、いじめまたはいじめが疑われる事実を知りながら放置し、または助長してはならない

・地方公共団体は教職員がこの法律の規定に違反している場合(教職員がいじめに相当する行為を行っている場合を含む)、懲戒その他の措置の基準および手続きを定めるものとする>

 

この内容が直ちに、教職員を萎縮させるかは、これだけでは判断しかねなると思います。ただ、条文化することが大事かというと疑問があります。

 

とりわけ<全国市町村教育委員会連合会の新海今朝巳事務局長は「現場の教職員が最大限努力しても(いじめに)気付かなかったということはあり得る。>というような事態であれば、本来、懲戒対象となりえないでしょう。このような批判的な主張は、教育委員会などに対する不信というか、相互の意思疎通の不十分なところに要因があるように思えるのですが。それはいじめ対応においてとくにそう感じます。

 

さて、こういう話題のとき、今朝の毎日記事<提訴「生徒から暴力、学校放置」 大阪の教諭、賠償求め>では、<大阪府四條畷市立中学に勤務する40代の男性教諭が、校内で男子生徒に殴られて重傷を負ったのに、学校側が救急車を呼ぶなどの対応をせず、公務災害の申請も妨げられたとして、市などに計約920万円の損害賠償を求める訴訟を28日、大阪地裁に起こした。>これが主張通りだとすると、とんでもない学校側の対応ですね。仮にそのような事実があれば、新海氏のような指摘も理解できることかもしれません。

 

これに対し<市教育委員会は「教諭に不安を与えたかもしれないが、対応は適切だった」としている。【戸上文恵】>といった説明では、訴訟になったとは言え、いかがなものでしょう、疑問ある対応です。

 

だいたい<文部科学省によると小中高での教師への暴力事案は2017年度で8627件に上る。>というのですから、こどもへのいじめや虐待を防ぐことはむろん一番に優先されるべきですが、教職員への暴力が野放しにされていいはずがありません。子どもが子どもへの暴力やいじめをするのが許されないと同様、教職員といった大人に対してすることも許さないこととして、しっかりした対応マニュアルを徹底してもらいたいと思うのです。

 

最後に、227日付け毎日記事<長崎の高2自殺いじめ主因、学校側疑義 第三者委は認定>を紹介して起きます。学校側がみずから設置した第三者委員会の報告について疑問をもち隠していたとのことです。これが事実であれば、学校も第三者委員会も対応が疑問です。

 

<長崎市の私立高2年だった男子生徒(当時16歳)が2017年4月に自殺し、学校が設置した第三者委員会が「同級生によるいじめが主な原因」とする報告書をまとめていたことが判明した。男子生徒の遺族が26日、記者会見し、経緯を明らかにした。一方で学校側は、報告書の内容に疑義を示して受け入れていないといい、生徒の父親(51)は「学校は真剣に向き合ってほしい」と話している。【今野悠貴、加藤小夜、松村真友】>

 

他方で、<県学事振興課によると、学校側からは17年4月末に生徒が自殺したとの連絡があり、同5月上旬には「いじめが原因と考えられる重大事態」として報告があった。県は学校側にいじめ防止対策推進法や文部科学省の調査ガイドラインに沿って調査を進めるよう指導。第三者委による調査結果の報告も求めているが、現時点で報告はないという。>

 

報告がないのか、記事にあるように<第三者委の報告書についても「全体的に説得力を欠く」などと受け入れず>として、報告したが学校側が疑問として、受理しないのか、明らかではありません。ただ、第三者委員会としては経過報告を公表すべきではないでしょうか。その論理が学校側が指摘するように説得力がないのかどうか公開して、調査が不十分か、結論に合理性がないかどうか、学校側の意見をも提供して、世論に問うていくのが望ましいのではないでしょうか。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


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