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たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

医療の進化と情報の壁 <キズとカタチの総合医 「何針縫う」はナンセンス・・・>などを読みながら

2017-11-26 | 医療・医薬・医師のあり方

171126 医療の進化と情報の壁 <キズとカタチの総合医 「何針縫う」はナンセンス・・・>などを読みながら

 

昨日、白鵬関が早々と優勝を決め、40回目という隔絶した天井を開けて新たな世界を一歩踏み出したようです。

 

他方で、日馬富士暴行事件の行方が今後関心の的になるというのも皮肉なものでしょうか。そんな中、今朝の毎日記事は、<キズとカタチの総合医 「何針縫う」はナンセンス=桜井裕之・東京女子医科大学形成外科教授>という内容で、外科医の世界では常識かもしれませんが、縫合技術の進化をビジュアルに説明されていて、参考になりました。私自身、この年になるまで縫合の経験は中学生くらいに一度あった程度で、ほとんど記憶はないですが、ここで語られている縫合後の消毒のため毎日のように通院したり、抜糸の際の痛みを思い出しました。

 

桜井医師もあえて指摘していますが、いま騒がれている日馬富士暴行事件では、東部裂傷について10針縫ったとかの情報がどこからともなく流れていて、その重症性が話題の一つになっています。そのことと関連して、10針も縫っていたとしたら、当日、巡業に参加した貴ノ岩関が元気に相撲をとっているだけでなく、髪結いがきちんとされていることから、その際頭髪を強く引っ張るので、果たして縫合していたのだろうかとか、縫合していたらとても痛くてきちんと髪結いができないのではないかとか、いろいろな意見があったのをTVで垣間見ました。

 

でもこの点は桜井医師の話では、<確かに、治すだけが目的で、どんな傷も同じ針や糸を使っていた時代では、何針縫ったかは、けがの大きさの指標でした。しかし、その点で、今や意味のない数字になったと言ってもいいでしょう。>とのこと。

 

<現在の形成外科医は、細い糸で表面の縫合部分をピタリと合わせ、下層の組織も別の特殊な糸を使って丁寧に合わせます。この特殊な糸には、組織に残っても徐々に分解される性質があります。>

 

私が受けた負傷の縫合例は50年前のもので、現在では細い糸で皮膚の深くまでする必要がないため、目立たないようです。その比較の断面図も示されています。

 

ただ、夜間に急患で訪れた?貴ノ岩関に対して、大学病院や専門医が対応したら、上記のような最新の技術が採用されたかもしれませんが、どのような治療方法がとられたかは、担当医が判明していないので、まだおぼろげです。ただ、たしか三日後に広島の医師の診断を受けていることから、毎日消毒のため通院するような古いタイプは当然使われていなかったのでしょう。

 

で、もう一つの問題点、髄液漏の疑いについて、別の医師のいろいろな発言があり、これは確定診断だといった話を取り上げている記事もありました。え、それほんとと思ってしまいました。実は交通事故で、脳脊髄液減少症・脳脊髄液漏出症の勉強を始めたばかりで、先日も専門医の医師から教授を受けてきたばかりでして、多少の知識を培養中の私としては、その確定判断という医師の説明に?を感じてしまいました。

 

従前、外圧による(起立性)頭痛やめまい、耳鳴り、視力の低下、四肢の痺れなど多様な症状が起こることはない、とりわけ頭痛との因果関係は医学界は否定的でした。

 

国際頭痛分類では、従前は外圧によるものは認めていなかったそうです。それが交通外傷などで頭痛など上記の多様な症状の患者について、MRI見えろグラフィーや脳槽シンチグラフィー、CTミエログフィーによって、髄液の減少とか、低髄液圧といった診断が少しずつ広まっていき、その症状を改善するため、ブラッドパッチの措置をすることで軽減することが各地で先進的な医師によって成果があがるようになったそうです。

 

ただ、大半の医師は、その事実を認めず、画像診断でも否定的な意見が出たため、交通事故外傷などで、各地の裁判所で後遺障害の有無程度が争われてきました。

 

まだ裁判例の多くを調べていませんが、平成2961日の名古屋高裁判決では、一審名古屋地裁が全面否定した結論の一部を認め、脳脊髄液減少症を認め、後遺障害等級も変則的に、症状固定後7年間を9級相当、その後14年間を12級相当とする画期的判断をして、原告は主婦ですが、相当高額な損害を認めています。

 

この裁判長の藤山氏は、東京地裁時代にいろいろ小田急線連立事業訴訟、圏央道土地収用事件訴訟など多数の著名事件で、原告勝訴の画期的判決を下しており(国や行政を敗訴させている)、なかなかの判断をされる方です。私も土壌汚染事件で、和解を強力すすめていただき、大満足とは言えませんが、この種の事件としては画期的な和解をしてもらった記憶があります。優秀な方なので最高裁判事にならなくても、どこかの高裁長官にでもなっているかと思っていたら、まだ現役で活躍でした。最高裁の人事からすると、出世コースには乗らない方でしょうね。他方で、別の事件で担当した方は、有能かつ審理も如才なかった方は、最高裁判事になっています。こういうのを見ると、違いが最高裁のメガネにかかるかどうかがわかる感じがします。

 

いろいろ脱線しました。NHK囲碁戦を垣間見ながら書いているので?、脇道に堂々とそれています。

 

で、本論に戻りますと、この髄液漏出については、2000年代に入り、次第に厚労省も医師会も対応を迫られていたようです。それで、まず2007年に、厚労省は、<脳脊髄液減少症ガイドライン2007>を発表して、「減少症」という診断の基準を示しました。

 

しかし、診断をめぐっては反対派も賛成派もさらに議論が起こったようでして、続いて厚労省が厚労省研究班により、<CTMRIなどによる漏出所見で診断「脳脊髄液漏出症」の診断基準>をまとめ、従来の減少症などの科学的根拠がないとして、「漏出症」で統一したわけです。

 

その基準<脳脊髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準>は、画像そのものがないため、定性的な基準の記載で診断するような意味合いになるかと心配します。少なくとも素人の第三者的な視点は排除されています。というか、画像自体は、先日に相談させていただいた医師が指摘する画像の中に漏れ認めることができるのです。

 

それは上記画像判定基準でいえば、<硬膜外に脳脊髄液の貯留を認める。」というのは次の場合ですが、

 

    硬膜外に水信号病変を認めること。

    病変は造影されないこと。

    病変がくも膜下腔と連続していること。

 

   だけだと、「疑」所見

   だと、「強疑」所見

   も「強疑」所見

さらに②と③があれば、「確実」所見とのこと。

 

で、貴ノ岩の診断書は「疑」ですね。これは上記判定基準からすると、レベル的にはまだ疑いにすぎず、主治医が相撲協会に対する回答では、脳脊髄液漏出を認めたわけでなく、疑いに過ぎず、そんな重傷とは考えず、相撲をとることは可能との判断を示したとのことでしたか。

 

たしかに判定基準に従えば、そのとおりかもしれません。入院も検査入院で妥当なものでしょう。

 

しかし、先の私が相談した専門医によると、この判定基準は、この症状について消極派が体勢を占めた研究班により意思形成がなされ、そのため、基準はきわめて厳しい内容となり、本来なら脳脊髄漏出症の症状があり、画像判定でも認めることができるのに、ハードルが高くなってしまったと批判的に述べられていました。

 

となると、貴ノ岩の症状がいまだにはっきりしませんが、安易に2度目の医師の協会に対する回答(しかも協会が伝え聞いた内容)だけで、相撲が取れるはずだとか、休業届けは虚偽であるとか、そういった安易な判断はさけるべきではないかと思います。

 

私の依頼者も事故当初はさほど重くない症状でしたが、その後ひどくなり、たちくらみ、視野がぼける、重い頭痛、耳鳴り、吐き気、手の痺れなど、多様な症状が持続的に続いています。ようやく専門医の診察を受け、平成284月から保険適用となったブラッドパッチを施行して、かなり軽減してきたということです。

 

このような従来の医学基準で診断が容易でない(認められにくい)症状はたくさんあります。私たちも報道などのさまざまな情報によって安易な結論や意見を述べるのは避けたいものです。たとえば、報道では、診断書など・・・として、診断書と別の情報源を一緒くたにして、いろいろ症状を重く述べたり、軽く見たりしていますが、これは不適切な記事です。私も「など」を使いますが、それは情報源をアバウトにしたいとか、内容自体に漠然差が必要なときなど、さまざまな理由で使いますので、要注意ですね。

 

とながながといろんなことを書いて、またまた論旨不明瞭となりました。ま、ブログですのでご勘弁を。もし手の痺れが強くなければ、少し休んでもう一件書いてみようかと思います。続きがなければ、今日はこれでおしまいです。


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