白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

イランを攻撃したウィルス

2012-06-04 12:24:25 | 中東
「『NY Times』は6月1日付けで、コンピューター・ウイルス『Stuxnet』(スタックスネット)に関する詳しい記事を掲載した。

同紙の記者であるデーヴィッド・サンガーの近刊書『Confront and Conceal: Obama’s Secret Wars and Surprising Use of American Power』を元にする今回の記事は、Stuxnetは米国とイスラエルの両政府が開発し、実際に使用したとしている。このウイルスの目的は、イランの核施設における遠心分離機を破壊することであり、そのため、遠心分離機の回転速度に関わる制御システムに特定のコマンドを出したという。

Stuxnetはイランのナタンズにあるウラン濃縮施設内に留まるはずだった。同施設のネットワークは、施設外部のネットワークと隔離されており、簡単に出入りすることはできないはずだからだ。だが、ナタンズ核施設内にあるスタンドアローン型のネットワークと、公共のインターネット・ネットワークとの間をコンピューターやメモリーカードが移動する可能性は最初から存在していた。[Stuxnetは『Microsoft Windows』の脆弱性を利用しており、『Windows Explorer』で表示しただけで感染した]

「Olympic Games」というコード名で呼ばれたこのコンピューター・ウイルス計画は、もともとはジョージ・W・ブッシュ前大統領が許可したものだ。同計画は当初、ナタンズにあるウラン濃縮施設とその制御システムのデジタルマップを解読するのに成果を上げた。「ビーコン」コードが使用され、同施設内にあるすべてのネットワーク接続を解読し、それが米国家安全保障局(NSA)に報告されたのだ。数カ月をかけて、同施設の情報が収集されたという。

その後、米国の複数の国立研究所が、(どうやら作業の本来の目的を知らないまま)、同計画の各部分をテストした。イランの遠心分離機は、リビアのカダフィ政権が持っていたものと同じモデルであり、米国とイスラエルは、リビアから接収した核施設設備をStuxnetのテストに利用していた。

実際にこのマルウェアを核施設に導入するプロセスに関しては、おそらくダブル・エージェントが使われたと見られる。

問題のワームをナタンズ施設に導入させることは簡単なことではなかった。米国とイスラエルは、(スパイ、あるいは、自分では気付いていない共犯者となった)エンジニアやメンテナンス作業者などに頼らなければならなかっただろう。(略)「自分の手に持つUSBメモリーについてあまり考えないような間抜けが常にいるものだということが判明した」

実際のところ、Stuxnetの最初の変種が拡散するにあたっては、USBメモリーが重要な役割を果たしたようだ。後には、より洗練された方法が開発された。

大統領に就任したバラク・オバマはOlympic Games計画を継続した。だが2010年にStuxnetは、おそらく誰かのノートパソコン経由で、ナタンズ核施設から流出してしまった。外部のネットワークに接触したこのウイルスは、一般の世界に拡散するという、設計されてない動作を行ったのだ。

Stuxnetは米国を含む他国のマシンに拡散し、これらのマシンにも未知の障害を引き起こす可能性もあったが、作戦は継続された(結果的には、イラン以外では10万台以上のマシンに感染したが、それらのマシンには障害は発生しなかった)。

Stuxnetは、ナタンズ核施設のシステム管理者にはすべてが正常に稼動しているように見せかけながら、同施設の一部を機能停止させた。[約8,400台の遠心分離機の全てを稼働不能にしたとされる。2010年11月にはナタンズ核施設でのウラン濃縮が停止し、イランの核開発は「2年前に後戻りした」とされている(日本語版記事)]

なお、最近イランや中東で発見されているマルウェア『Flame』は、『Olympic Games』の一部ではないが、背後にある国については不明だとされている。[ネットワーク・トラフィックの傍受、スクリーンショットの保存、音声通話の記録、キー入力の不正送信といった複数の機能を備えている。サイズは20Mバイトで、Stuxnetの20倍とされる]」

(http://wired.jp/2012/06/04/confirmed-us-israel-created-stuxnet-lost-control-of-it/)

日本の原発輸出に反対したベトナム人に圧力-反対署名を

2012-06-04 12:12:16 | 原発
「日本の原発輸出に抗議したベトナム人に圧力  国際環境NGOが日越政府への国際署名を呼び掛け


 ベトナムへの原発輸出を進めている日本政府に対するベトナム人による抗議文書が5月21日、在ベトナム日本大使館と日本外務省に出された。文書は453名のベトナム人の連名で出されており、ベトナム知識人の間で著名な研究者グエン・スアン・ジエン氏らが呼びかけ人となっている。ところが、同氏に対する脅迫ともとれる事件が発生、同氏に対するはベトナム当局からの出頭命令も出され、同氏のブログが閉鎖されるという出来事が続いている。

 こうした事態を受けて国際的な環境保護NGOの日本組織「FoE Japan」は、日本政府に、この文書を誠意をもって検討し、その回答するよう求めると同時に、ベトナム政府に対し、文書を発出したことにより、グエン・スアン・ジエン氏ら署名者がいかなる不利益をうけないよう求める国際署名を呼び掛けている。(大野和興)

 べトナム政府は日本の支援のもとに中部に2基の原発を建設する計画で、日本政府はその原発の輸出を確保するための売り込みを、福島原発事故以後も続けてきた。このことにベトナム内部からはじめて反対の声が上がったのが、この抗議文で、共産党独裁体制下にあるベトナムでは言論の自由も制限されており、命がけの行動といってよい。

 抗議文書を出した後、呼びかけ人のグエン・スアン・ジエン氏の周辺で、次のような事態があったことをFoEJapanのブログ「避難の権利」は伝えている。

◆グエン・スアン・ジエン:今朝の出来事(2012年5月18日)
今 朝、2012年5月18日、「傷病兵」と自称する見知らぬ人々のグループがハンノム研究所内の私の研究室に侵入し、乱暴に私を威嚇した。彼らは非常に不躾 な言葉をがなり立てるばかりか、研究所幹部と私の前、仕事場の真ん中で寝そべってしまった。彼らは私の書いた文章「ベトナムの原発建設への援助に反対す る、日本政府への公開状」を削除するよう求めた。以下はRFIのインタビューへの私の返答である。

 今朝8時30分ごろ、私は職場にいていつも通り仕事をしていた。するとハノイの重度傷病兵代表を自称する6人が私の部屋に来て、私に向かって傷病兵局の者だと言った。話し始めからすぐに、ひどいヤクザな言葉使いで脅迫してくるもので、私はすっかり威嚇されてしまった。

 彼らは私が日本政府によるベトナムへの原発建設援助に反対する手紙をブログに掲載したことに反対すると言った。このような手紙を書くことは正しくない、現在 ベトナムでは電気が不足していてこの計画に反対することはできない、などと言った。彼らの言うには、原発建設援助の100億米ドルのうち、一部は彼らのも のになるのだそうだ...彼らは私の個人ブログからこの文書をすぐに削除することを要求し、ハンノム研究所に対しては私からコンピューターを取り上げ、私 を懲戒処分にすること等々を提案した。

http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/foe-j-1.html



こうした事態を受けFoEJapanは以下の国際署名を日越両国政府に出すことを提案している。

2012年6月  日
内閣総理大臣 野田 佳彦 殿
外務大臣 玄葉 光一郎 殿
ベトナム首相 グエン・タン・ズン殿

原発輸出に対するベトナム人有志から日本政府宛抗議文の取り扱いについて(要請)

 先日、グエン・スアン・ジエン氏らベトナム人有志453名が署名した抗議文書(注)が日本政府宛に提出されました。抗議文書の内容は、日本のベトナムへの原発輸出に関するもので、日本の技術を持ってしても事故を防げず、日本では多くの人々が原発に強い懸念を持っていると指摘、日本国内の商業用原発50基がすべて停止したことにも触れた上で、日本政府がベトナムの原発建設を支援するのは無責任、もしくは非人間的、不道徳な行動だ、などと批判しています。

 5月18日、同氏の勤務する研究所に傷病兵をなのるグループがが乱入し、同氏を威嚇、文書の削除を求めました。また、最近になって同氏に対してハノイ市の監察に出頭命令が出され、その後、同氏のブログが閉鎖されました。

 福島原発事故の悲惨で深刻な事故は未だ収束せず、多くの人々が苦しんでいいます。この事故の経験を踏まえ、私たち日本の市民は、再稼働に反対し、原発依存からの一刻も早い脱却を望んでいます。

 日本の国内において、原発の安全性に対する疑念が高まり、放射性廃棄物の処理の解決のめどはつかず、原子力ムラによる政治・経済の支配が横行しています。麻薬のような原子力依存から抜け出すことを求めて多くの心ある市民が声を上げています。

 ベトナムがこの危険な技術に手をだすことは大きな誤りです。原発はベトナムの国民ばかりか周辺国の住民に多大なリスクを負わせることになります。一部の日本の産業界の利益のために、ベトナムへの原発輸出を強行することは、日本にとっては大きな汚点となるでしょう。

 私たちは、グエン・スアン・ジエン氏らベトナムの市民たちが、勇気をもってこのような文書を日本政府に提出したことに深い敬意と共感の意を表明します。

 私たちは、日本政府に対しては、この文書を誠意をもって検討し、その回答を示すように求めます。また、日越両政府に対して、本文書を発出したことにより、グエン・スアン・ジエン氏ら署名者がいかなる不利益をうけないように必要な措置を講ずることを求めます。

 日本の市民社会・国際社会は、本件を注意深く見守っております。両政府が、この命がけの要請に対して真摯に対応することを切に要望いたします。

<呼びかけ/問い合わせ先>
国際環境NGO FoE Japan
〒171-0014 東京都豊島区池袋3-30-22-203
tel: 03-6907-7217 fax: 03-6907-7219
携帯:090-6142-1807(満田
)」