白夜の炎

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薄煕来続報-すでに調査終了か?

2012-06-19 19:33:50 | アジア
「薄熙来事件、捜査終了か=殺人容疑の妻は精神疾患を理由に死刑を免れる?―中国

Record China 6月14日(木)5時47分配信

 12日、カナダの中国語ニュースサイト・加拿大家園は、今年になった失脚した中国の薄熙来元重慶市党委書記に関連する一連の事件について、すでに捜査が完了したと報じた。写真は薄熙来夫妻。
2012年6月12日、カナダの中国語ニュースサイト・加拿大家園は、今年になった失脚した中国の薄熙来(ボー・シーライ)元重慶市党委書記に関連する一連の事件について、すでに捜査が完了したと報じた。捜査結果は中央政府へ提出されており、共産党指導部が最終的にどのような決定を下すかという段階にあるという。米華字サイト・多維新聞が伝えた。

 各メディアの既報によると、一連の事件に対して中央政府は3組の調査グループを組織し、調査を行ってきた。薄熙来氏の妻・谷開来(グー・カイライ)容疑者によるものとされる英国人実業家ニール・ヘイウッド氏の暗殺事件を公安部が、薄熙来氏の腹心であった王立軍(ワン・リージュン)元重慶市公安局副局長による米領事館駆け込み・亡命未遂事件を国家安全部が、薄熙来氏本人の事件を中国共産党中央紀律検査委員会が、それぞれ担当したという。

 英国人実業家暗殺事件について、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの王祥偉(ワン・シャンウェイ)編集長は、「谷容疑者は統合失調症を患っているため、減刑の可能性が高く、死刑は免れるだろう」と指摘する。一方で、谷容疑者と共に殺害に関与したとされる薄家の元使用人・張暁軍(ジャン・シャオジュン)容疑者については、死刑が適用されるだろうと予想する。

 また、米総領事館に逃げ込んだ王立軍氏に関しては、多くのメディアが情状酌量による減刑を予測している。王氏は当初、前出の英国人実業家変死事件に関して不審を抱き、案件の調査段階で谷氏による関与の可能性に気づいた人物。薄熙来氏にそれを報告すると、両者の衝突が深刻なものとなり、王氏は公安副局長の職を解任された。最終的に自身の身の安全を守るために米総領事館に逃げ込んだと見られているからである。

 薄熙来氏本人の事件に関しては、最も複雑である。同氏は中国共産党中央政治局委員だっただけでなく、一時は、党総書記を筆頭に9人で構成される国家最高指導部(中央政治局常務委員)入りも噂されたほどの大物でもあったため。中共中央紀律検査委員会は、薄熙来氏の過去についても調査を実施したとされている。

 一方、中国のメディア関係者によると、上層部からの指示によって、一連の案件は報道が禁止されているという。これには、政治上の更なる混乱を避ける狙いがあると見られている。(翻訳・編集/HA)」

新潟県知事の定例記者会見/6月6日/から-がれき処理問題関係

2012-06-19 18:49:07 | 放射能
 新潟県の泉田知事は災害、そして今回の原発事故に関して、もっとも見識ある知事だと思います。

 以下に6月6日の定例記者会見の中から、がれきの受け入れ問題に関するところを貼り付けます。

 ちなみに新潟県は、県が政府・環境省の方針に疑義を呈しているのに対して、新潟市、長岡市、新発田市、三条市、柏崎市が、大槌町などからのがれき受け入れを宣言するという事態になっています。

 下記の記者会見は、5市の受け入れ方針と、その実現に向けての経過について、知事としての見解を述べている部分です。

 私は知事の言い分がまっとうだと思います。

「(震災がれきの受け入れについて)(文頭に戻る)
Q 
 昨日、(がれき受け入れを表明している)県内5市の市長が岩手県大槌町を視察しました。そこで安全性を確認した上で、(がれきの)受け入れに意欲を見せていますが、これについての知事の受け止めを教えてください。


A 知 事

 何のために(視察に)行ったのか、意味がよく分からないです。

 5市の受け入れ基準は、1キロ当たり100ベクレル以下のがれきを受け入れるということに決めていたと思います。

 しかし、環境省の調査でも既に100ベクレルを超えるがれきが出ているのです。普通であれば、自分たちが決めた基準を守るために、「100ベクレル未満の他のがれきを探します」と言うのであれば平仄(つじつま)が合うと思うのです。100ベクレルを超えるものがあると分かっていて、「安全」ということを言いたいから(視察に)行っているのでしょうか。「基準超えのものがある」と環境省が言っているのに、どのように「安全」と説明するのでしょうか。全く理解ができません。

 それから以前から言っていますが、焼却灰と飛灰の関係を分かっているのでしょうか。

 昨日のBSNの報道でも、焼却灰を混ぜて燃やすと50ベクレルが60ベクレルになるような説明がされていましたが、飛灰はもっと濃くなるわけです。

 飛灰というのは30倍くらいの濃縮はあり得るわけです。それをどうするのかということです。

 (一般廃棄物と)混ぜるということなのでしょうか。報道機関もそうですが、飛灰が出たときにどう対応するのかという技術的な話を分かっているのでしょうか。平均で50~60ベクレル、高いものは100ベクレル以上で、空気中に飛んでいって濃縮されるのが飛灰ですから、基準値超えのものをどうするのかという部分を考えないで安全性をアピールするのでしょうか。

 「100ベクレルを超えたものが安全」とアピールしたいのか、何をやりたいのかが全く分かりません。見学して安全性をアピールしたいのであれば、視察先は原子力発電所だと思います。

 「(原子力発電所内では)低レベル放射性廃棄物をこのように処理しているので、我々は対応するのです」ということを原子力発電所に行って勉強するということです。

 もう一つの(視察先)は青森県の六ヶ所村です。「六ヶ所村で低レベル放射性廃棄物をどのように封じ込めているのかを勉強してきたので大丈夫です」と言って説明するのであれば分かるのです。自らが決めた(受け入れ)基準を超えているがれきが「安全です」と言いに行くというのは、一体何をしたいのかが全く理解できないということです。

 若しくは(受け入れるがれきを)選ぶということであれば、どのように選ぶのでしょうか。1つ1つを全量検査するということなのでしょうか。

 もっと分からないのは、(視察先では)空間放射線を計っていましたが、今は(受け入れ基準値の)100ベクレルについての話をしているので、サーベイメータで計測しても仕方ないのです。

 結局は、専門機器で計測しなければいけない部分の話をしているのに、なぜサーベイメータで計測して「安全」ということを言おうとしているのか。「ほとんど放射能については素人です」と言っているようにしか見えないです。全く理解に苦しむ視察だと思っています。

 もうひとつ申し上げると、内部被爆の問題、環境中に溶け出すことをどう抑えて封じ込めるかという話をするときに、(セシウム等のガンマ核種だけでなく、)アルファ核種やベータ核種を計測するのでしょうか。

 アルファ線が何かと言うと陽子2個と中性子2個から成るヘリウム原子核なのです。ヘリウム原子核が出るというのは、ガンマ線と違って電磁波ではないので直接的に原子核を攻撃(衝突)する形になるわけです。

 それよりエネルギーは小さいのですが、ベータ線は電子です。電子が原子核に衝突していくことになるので、アルファ線もベータ線も1ミリ厚のアルミニウム板で遮れるのです。

 ただし、透過力が強い中性子線を利用した中性子爆弾は、兵器を貫通して人間の体に中性子が当たることによって多くの人を殺傷する兵器です。陽子と中性子の違いは電荷を持っているかどうかで、これにより透過力が異なる等、核物理の知識を持った上で、今回視察されているのかどうかと。極めて疑問なのですが、「100ベクレルを超えても安全」と言いたいのか、一体何を言いたいのかが伝わってきません。アルファ核種やベータ核種は調査するのかどうか、封じ込めをするのかしないのか等を決めないで、どのように住民の安全理解を得るのかは全く理解できません。


Q 
 実際に現地を見ると、大槌町はがれきがまだ山積しています。何とかどこかで決着点を見つけ、処理が本当に必要なのであれば処理しなければいけないのかなと感じますが、その点についてはどう思いますか。

A 知 事
 低レベル放射性物質の封じ込めの対策をどうするかということについては、既に確立した技術があるわけです。それも15年ではなく、300年間封じ込めるやり方というのは、人類が知識として、「これだけやれば大丈夫だろう」というものはあるわけです。

 今回は原発事故ですのでセシウムだけが飛散しているわけではないのです。原子炉内の物質がおおよそ飛散しているということです。大槌町の件で言えば、山菜の採取制限エリアが現に存在しているわけです。そういったことを分かった上で(対策等を)行っているのかと。(震災がれきを)持ってくる以上は総量として増えるわけです。何万トンを持ってくるかは分かりませんが、微量だからと言って濃度規制だけを行ったとしても、結果として大量の放射能が入ってくるという事実には違いがないわけです。それを環境中に出さないための対策を講じて対応するということをなぜやらないのかということに尽きるのではないでしょうか。


Q 
 以前も聞いていますが、今回の広域処理の出発点として、「がれきが復興を阻んでいる」ということが言われています。広域処理の必要性、がれきが本当に復興を阻んでいるのかという辺りついて、知事はどう考えていますか。 

A 知 事
 協力できることは協力していくということです。県から申し上げているのは、放射能に対してしっかり対応するということです。


Q 
 「市町村には専門家がいない」、「専門知識を持った人がいない」という、これまでの知事の発言を受け、今回5市では検査官を連れて行ったり、専門家をアドバイザーとして迎えるという取組を進めるということですが、この辺りについては十分だと思いますか。

A 知 事
事務レベルでの折衝においても、(5市からは)答えが戻ってきていません。

 環境中に放射能が漏れるのを防ぐ意思があるのかどうかということです。

 ベータ核種のストロンチウムは骨に溜まるわけです。プルトニウムのようにアルファ線を出すようなアルファ核種の放射線物質がいかに危険かということを申し上げると、以前、ロンドンで(イギリスに亡命したロシアの元スパイ、アレクサンドル・リトビネンコ氏が)、ポロニウムという放射性物質を、ほとんど重さが分からないくらいの(ほんの僅かな)量をコップに入れられただけで、3カ月くらいで頭の毛が全部抜け、結局亡くなった(と推測されています)。

 放射性物質はそういうものなのです。したがって、放射性物質をしっかりと管理するということは、人類が人智を尽くしてやらなければいけない事柄であって、そこへの対応をやることなしに感情面だけで訴えても仕方がないです。やるべきことはやるということだと思います。


Q 
そうすると、5市は通常の一般廃棄物と同じような(取扱いの)姿勢ですが、そうではなく、少し強固なやり方、対策を強化するといった封じ込めになるのであれば、協力するということでしょうか。

A 知 事
 これまでも「協力する」と言っています。人類としては、どのようにすれば放射性物質を管理できるかということで知識を蓄えてきたわけです。国は専門家を置き、国だけでは信頼できない部分があるので、広域自治体である県が専門行政としてそれを二重チェックするという体制で日本は来たわけです。ですから15年や20年しかもたないような一般廃棄物処理場という形ではなく、きちんと封じ込めができるようなものでないと、「今までの規制は何だったのかということになります」ということです。ですから「しっかりとやりましょう」ということを言ってるだけです。


Q 
県内に、そういった場所があってもいいということでしょうか。

A 知 事
それを含めて合意を得る必要があるのではないでしょうか。ちなみに東京都では、東京電力の子会社が(震災がれきを)受け入れていますが、一番高いところは放射線管理区域並です。担当職員に聞いていただければ分かるのですが、北九州市でのがれき搬入の際、10メートル程度離れた場所で0.6マイクロシーベルトが計測されているという報告があります。そうすると、どの程度の放射性物質が付着しているかと言えばそれなりに付着しているわけです。トラックが行って来るだけで空間線量が10倍に跳ね上がるわけです。ですから、そういったものに対して放射能を防護しないという感覚の方が信じられません。


Q 
 「総量規制の方が必要」と知事は主張されています。がれきを受け入れるかどうかの話において、放射能の話が今回はどうしても関わってきてしまうわけですが、空間放射線量だけで見ても仕方がないというのであれば、総量規制のあり方はどのように考えるのでしょうか。

A 知 事
 ですから「原子力発電所を視察するのが筋だ」と先ほどから言っているのです。被災地に行ってどうするのですかと。どのように放射能防護をするかというのは、青森県六ヶ所村と原子力発電所内で処理しているところを勉強し、それを行えばいいのです。そういうことだと思っています。


Q 
 総量規制というのは、例えばどのくらいまでは持ってこれるというような規制ですか。

A 知 事
 総量を把握しないといけないのです。何万トンを持ってくるかは分からないですが、(総量として)どれくらいの放射能になるのかということを認識した上で対策を取らなければ、結局は水溶性の放射性物質は雨が降ったら流れ出すわけです。水は低いところに溜まるので濃縮する傾向があり、ホットスポットができるのです。さらにそれを食べた動植物を通じて生物濃縮が起こるのです。公害病もそうです。水俣病等の公害病が起きたときは、濃度規制だけを行ったのです。企業がどうしたかと言えば、濃度規制なので水で薄めて流し、結果として公害病が発生したのです。そういった歴史の教訓に学ばないのでしょうか。


Q 
 確かに5市は、これからどれくらい(のがれきを)持ってくるのかについては説明していないかもしれませんが、例えば総量規制を行うことになった場合に、「どれくらいの量までは認めます」というようなやり方のことを言っているのでしょうか。

A 知 事
 放射能の管理の仕方というのは、確立したものが既にあるわけです。ですから、「視察先は被災地ではなく、原子力発電所と青森県六ヶ所村ではないでしょうか」と言っているわけです。技術的なことを知事に聞いても仕方がないので、専門家で話すべきだと言ってるのです。


Q 
 総量規制のイメージが湧かないのですが、どのようなやり方を知事は頭の中に描いているのでしょうか。

A 知 事
 技術的な話で、溶け出すと困るものがあるのでそれを管理する手法は原子力発電所を運営する中でルールが定まっているわけです。それに準拠してやるべきだと先ほどから申し上げています。


Q 
 それはやり方の問題で、規制のやり方を伺っているのですが・・・。

A 知 事
 同じです。管理するのが規制です。


Q 
 先ほど、「大槌町からがれきを運んでくるときに、大量の放射能を持ってくることは間違いない」と言いましたが、根拠は何でしょうか。大槌町の・・・。

A 知 事
 100ベクレル以上の放射性物質を含んだがれきがあるということです。大量に持ってくれば、がれきに付着している放射能も比例して増えていくというだけの話です。


Q 
 環境省の100ベクレルを超えたという公表は、ある一時期のあるどこかの部分のもので確かに出たのかもしれません。ただ、昨日も5市が空間放射線量を調べて、低い値が出ているということです。全部が全部そうではないと思いますが、そういう意味では、がれきをたくさん運んできても、本当にたくさんの放射能が一緒にくるのかどうかは分からないのではないかと思いますが・・・。

A 知 事
 がれきを運んでくれば必然的に、基本的には比例して増えていくわけです。(他の廃棄物と)混ぜるのかどうか分かりませんが、(放射性物質を含むがれきが)入っているのは事実です。量を増やせば当然(総量として)増えるわけです。


Q 
 入っているかどうかは調べてみないと分からない・・・。

A 知 事
 ですから、環境省の調査で入っていると公表されていると申し上げています。


Q 
 運んでくるときに放射性物質を測って、放射性物質が含まれていないのであれば・・・。

A 知 事
 どうやって測るのですか。


Q 
 検査をしっかりした上で・・・。

A 知 事
 ですから、どうやって測るのですか。全て測るのでしょうか。100ベクレルを測るためには、2キログラム(のがれき)で20分程度の時間を要するので大変です。2キロずつ持ってくるのでしょうか。


Q 
 知事が言うのは全部検査しないと意味がないという・・・。

A 知 事
 ですから、推定量というものがないと判断できないので、安全という前提でなく、基準を超えたものをどのように処理するかということを考えないで実施するのはリスクが大きいと申し上げているのです。


Q 
 知事は以前から、「がれきの受け入れについては否定していない」、「放射能の問題はしっかりしないといけない」と言っています。がれきを受け入れるために、県は積極的に何をするのでしょうか。

A 知 事
 ですから管理の仕方を情報提供しているわけです。「原子力発電所で低レベルの放射性物質の管理はこのようにやっています」と何度も事務局レベルで情報提供をしているわけです。ですから視察に行くのであれば被災地ではなく、原子力発電所と六ヶ所村に行くべきでしょうと。なかなか反応がないと聞いていますので公文書を出します。


Q 
 5市に対してですか。

A 知 事
 はい。


Q 
 それは近々・・・。

A 知 事
 今日の午後を考えています。


Q 
 どういった内容の文書になるのでしょうか。

A 知 事
 今説明したことをしっかりと行政文書にして出します。


Q 
 六ヶ所村等に視察に行くようにというような・・・。

A 知 事
 原子力発電所内で確立された手法がありますので、きちんと放射能の封じ込めをお願いするという文書になると思います。


Q 
 そうした封じ込めというのは、しっかりと視察した上であれば、5市でも対応できるのでしょうか。

A 知 事
 ですから、本来であれば国の責任ではないかと言っているのです。


Q 
 そうすると、(5市では)できないということでしょうか。

A 知 事
 これから協議することになると思います。ですから専門家同士の話し合いだと言っているのです。


Q 
 行政文書の話ですが、今、事務レベルで継続して協議してきている中で、あえて公文書を送るという判断に至った理由は何ですか。

A 知 事
 (県側から)言ってもなかなか(市側から)反応してもらえないということです。ですから先ほど言いましたが、食料で基準値超えのものが検出されたら出荷自粛しているわけです。がれきで基準値超えのものが検出されたら、基準値超えが出ていないところを探すのが普通の対応ではないでしょうか。自分たちで(受け入れの基準を)100ベクレル以下と決めたのです。


Q 
 協議を続けている中で、あえて文書を出さなくても、事務レベルでの話し合いや、場合によっては首長同士の話し合いで打開策のような方法は・・・。

A 知 事
 基本方針が違っているわけではないですので、首長同士の話ではないと思います。」

がれき受け入れ問題に関する新潟県の考え方

2012-06-19 16:02:40 | 放射能
「環境大臣に対し、東日本大震災により生じた災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関する再質問を行います。

2012年05月21日

 先日、環境大臣から、本県が4月6日に提出した、「災害廃棄物の広域処理の必要性及び放射能対策に関する質問」に対する文書回答(別紙)があったところですが、従来の説明の域を超えない内容であり、県としては、依然として、受入れを決められる状況に至っていないことから、災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関して、別紙のとおり再質問します。
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放対第13号

廃第377号

平成24年5月21日

環境大臣 細野 豪志 様

新潟県知事 泉田 裕彦

 東日本大震災により生じた災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関する再質問について


平成24年4月6日付け廃第73号により提出した質問に対して平成24年5月10日付け環廃対発第120510001号で回答をいただいたところです。

しかしながら、従来の説明の域を超えない内容であり、県としては、依然として、受入れを決められる状況に至っていないことから、災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関して、別紙のとおり再質問します。


 (担 当)
 防災局 放射能対策課
 TEL:025-282-1693
 県民生活・環境部 廃棄物対策課 
 TEL:025-280-5159
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1 放射性物質に関する国の認識について

 原子力発電所等の施設から排出される低レベル放射性廃棄物は、ドラム缶等に封じ込め、放射性廃棄物を処分するために整備した我が国唯一の最終処分場において処分するという厳格な対応をとっている。また、環境中への放射性物質をやむなく放出する場合においても、厳格な基準を遵守し、その基準を満たすことを確認するための排ガス等の常時監視などの措置をとることとされている。放射性廃棄物を処分するために整備された青森県六カ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにあっては、埋設を行う放射性物質をセメント、アスファルト等で固化することなどを規定し、埋立総量も上限を定め、更にその周辺の放射線モニタリングを徹底し行うことで国から事業許可を受け、事業を行っている。

(1)震災後制定された法令により、放射性廃棄物の処分を想定していない市町村の廃棄物処理施設で放射性廃棄物の焼却や埋設等の処分を可能とし、排ガス、排出水中の放射性物質濃度を常時監視しないなど、震災以前の規制を緩めたことは、環境への放射性廃棄物の漏洩・拡散のリスクを高めることを許容したということでよいか。
 その場合、その考え方は何か。
 また、決定に至る議事録等を示されたい。

(2)ICRPの1990年勧告では、低線量・低線量率の発がん確率について「線量反応関係には真のしきい値を想定しうる十分な証拠はない。」とされているが、国の放射性廃棄物に関する規制値の設定の考えは、このICRPの考えを維持しているのか。
 また、そうであれば担保している根拠を示されたい。
 一方、維持していないのであれば、その理由を明らかにされたい。

(3)放射性物質を扱う専門組織及び専門職員が存在しない市町村に、放射性物質の管理をさせることの妥当性をどう考えているのか。
 環境省は、市町村が行う放射性物質の管理に係る予算措置や職員の教育訓練を実施しないのか。また、管理の実効性を確保するためにどのようなことを行うつもりか。

(4)震災後制定された法令では、放射性廃棄物を含む焼却灰等を市町村最終処分場で埋立可能とする濃度を8,000Bq/kg以下とし、濃度規制だけをもって規制しているところであるが、放射性物質の貯蔵については、その量を国に許可・届出することが義務づけられていることに対し、当該処分場に埋立できる放射性物質の総量を規制しない理由を示されたい。

(5)福島県内の災害廃棄物の処分の方針を決定するために重要な安全評価を行う「災害廃棄物安全評価検討会」を非公開とすることについて、環境大臣が「不安をあおらないやり方」と発言した旨公表されているが、どのような部分が不安をあおると考えたのか。


2 放射能対策についての技術的問題について

(1)最終処分場の排出水から放射性物質が出ることを前提としてゼオライトで対応することを指示することは、国が示した処理基準では完全に放射性物質を封じ込めることができないことを示唆しているのか。

(2)ゼオライトの設置が事故の発生を想定したものであれば、法令や基準にその設置や措置方法を規定しない理由を示されたい。

(3)ベントナイトによる雨水の浸透の防止能力の科学的検証を示されたい。

(4)土壌層による放射性セシウムの吸着能力(量・期間)の科学的検証を示されたい。

(5)大雨により処分場が冠水した場合の安全性の検証について示されたい。

(6)浸出水が漏洩した場合、周辺環境への影響の把握など恒久的な対応方法をどうすべきか国の考え方を示されたい。

(7)環境省の資料では、「排ガスは冷やされて、気体状あるいは液状のセシウムは、主に塩化セシウムとして固体状になり、ばいじんに凝集したり吸着する。」とあり、全てのセシウムが塩化物となることを想定していると考えられる。
 市町村の廃棄物処理施設で焼却した場合、セシウムは何%が塩化セシウムになるのか、また、ガス化するセシウムはないのか、科学的検証を示されたい。

(8)震災がれきを焼却している施設では、国の指導に従って通常の測定方法(JISZ8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」)により検体を採取、測定し、排ガス中の放射性セシウム濃度としているが、ガス化している放射性セシウムがある場合は正確な測定でない可能性があるが、これに対する科学的検証を示されたい。

(9)静岡県島田市の災害がれきの試験焼却の結果において、公表されているデータによれば、焼却から発生する排ガス、ばいじん等の一連の行程での放射性セシウムの物質収支量を見ると、4割の放射性セシウムが所在不明となっているが、その原因と理由を示されたい。


3 放射能対策についての管理面の問題について

(1)震災以前は厳格に国が規制していた放射性廃棄物の処分について、これまで放射性廃棄物の処分の経験がなく、また、放射能に関する専門職員及び組織を持たない市町村に委ねることは、放射性物質の漏洩によるリスクを高め、本来国が負うべき責任を市町村に転嫁しているように見えるが、トラブルが生じた場合、国はどのような具体的な責任をとるのか。(現に国の基準を満たした焼却灰を埋め立てたにも拘わらず、その排水から放射性セシウムが基準を超えた事例が見られている。)

(2)放射性廃棄物の処分のために設置されている青森県六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、管理期間を概ね300年と見込んでいる。
 放射性セシウムの半減期は30年であるが、市町村の一般廃棄物最終処分場で封じ込む期間や封じ込めのレベルをどの程度と見込んでいるのか。
 また、市町村最終処分場の埋立期間は概ね15年とされているが、その期間を超えた後、どのようにして管理するつもりか(「廃棄物最終処分場の性能に関する指針(平成12年12月28日付け)(環境省)」第四1(1)性能に関する事項に「埋立処分を行う期間内(十五年間程度を目安とし、……)とされている。)

(3)群馬県伊勢崎市の最終処分場や千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から、国が示した排水基準の目安を超える放射性セシウムが検出されるなど、実際に放射能の漏洩等、現に管理できていない事例が見られる。
 放射性物質の取り扱いの経験のない多数の事業主体が、なぜ厳格に管理できると考えているのか、本来、国で一元的に管理すべきではないか、根拠を示されたい。


4 「がれき処理の全体計画の明示」について

(1)5月10日付けの回答では、「岩手、宮城両県の災害廃棄物の発生量、処理量等について見直しを行っているところであり、広域処理の必要量についても改めて精査が行われる予定」とのことであるが、これらが未確定な中では広域処理の必要性について明確にならないと考えられるので、これらを明らかにした上で、改めて4月6日提出の質問に回答いただきたい。また、その際、岩手県及び宮城県における可燃物の発生量についても示されたい。

(2)今回回答いただいた参考資料及び環境省ホームページ等を基に推計(別表参照)すると、平成26年3月末における地元未焼却量の推計は98.4万トンとなり、これは、広域処理を行わなくとも、平成26年3月末から岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で焼却処理が終わる量である。一方、4月17日付け環境省資料によれば、既に162万トンの広域処理が現実的なものとなりつつあるとのことなので、これ以上の広域処理は不要ではないか。

(3)仮設焼却炉を岩手県で2基、宮城県で29基、合計31基が稼働中又は設置予定であるとのことだが、これらによって全ての災害廃棄物を本当に域内処理できないのか、改めて明確な根拠を示されたい。

(4)今回回答いただいた参考資料では、宮城県で災害廃棄物を処理する焼却炉に既存の焼却炉がないが、なぜ既存の焼却炉も活用しないのか。地元で埋立の反対運動があったことが原因なのか。

(5)仙台市では地域内の処理が進み、他地域の災害廃棄物についても10万トンの処理を引き受ける一方、来年12月までには焼却処理を終了するとのことである。

 国は、被災地の災害廃棄物処理を全体的に見通しつつ、被災地域間の災害廃棄物処理の進捗の違いを調整して、できるだけ域内処理できるよう調整すべきと考えるが、現在どのような調整を行っているか。また、そうした調整を行っていない場合は、その理由を示されたい。

(6)阪神淡路大震災においては、仮設焼却炉は発災後約3か月後には設置され始めていたが、今回仮設焼却炉の大半の設置が約1年後以降と著しく遅れているのはなぜか。

(7)阪神淡路大震災では、兵庫県内において、可燃物の23%程度が埋立処理がされたが、なぜ、放射性物質の濃縮の危険がある東日本大震災の可燃物の埋立処理を行わないのか。

(8)このように、広域処理の必要性が明確でない中では、むしろ広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。

(例)岩手県のホームページによれば宮古地区広域行政組合の処理単価が1トン当たり16,300円なのに対し、財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は1トン当たり59,000円となっている。広域処理引受量162万トンで差額を算出すると、約700億円となる。)

(9)なお、環境省は、5月21日に、岩手県、宮城県の広域処理必要量の見直し結果を発表しているが、従来の必要量はどのように見積もったのか、また、今回見直しの理由と内容について、改めて明確に回答願いたい。

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◇このページに関するお問い合わせは
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住所: 950-8570 新潟市中央区新光町4番地1
電話: 025-280-5160 ファクシミリ: 025-280-5740 」