白夜の炎

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浜岡5号機で深刻な事故

2011-05-16 16:13:31 | 原発
「<浜岡原発>「復水器」に海水400トン混入 5号機

毎日新聞 5月15日(日)21時40分配信


 中部電力は15日、原子炉を停止した浜岡原発(静岡県御前崎市)5号機で14日、水蒸気を真水に戻す「復水器」に約400トンの海水が混入し、原子炉にも流れ込むトラブルがあったと発表した。公表は発生の約19時間後だった。中部電は「放射性物質の漏えいはなく、法律に基づく公表基準にあたらないと判断した」(広報担当者)と説明している。←この姿勢が福島の悲劇を生んだ。浜岡は必ず日本破滅の原因になる。

【写真で見る】中部電力浜岡原発

 復水器は、原子炉の水蒸気を海水が流れる細管(直径約3センチ)で冷やす装置。中部電によると、トラブルは、この細管の破断が原因である可能性が高いという。

 5号機は14日午後1時に原子炉を停止。その3時間半後、冷却水の不純物濃度が急上昇しトラブルが分かったが、発表は翌15日午前11時45分だった。

 中部電はトラブルの約3時間後、別の注水ポンプを使って真水で原子炉の冷却を続け、15日正午すぎ、冷却水温が100度未満となる「冷温停止」状態になった。海水が原子炉に入ると内部の腐食が進むため、中部電は脱塩作業を進めている。

 浜岡原発は1~2号機が廃炉に向けた準備中で、3号機は定期点検中。4号機も13日に停止され、全面停止となった。【仲田力行】

武田邦彦氏のブログから―日本のメディアのあり方・そして原発の現状

2011-05-16 16:07:07 | 原発
「科学者の日記110516  福島原発1号機

福島原発1号機の「メルトダウン」の報道は、「これまでのこと、これからのこと」を考えるのに、鋭い断面をえぐり出しました。

この1号機のことを解説する前に、多くの方が心配している3号機のことに触れたいと思います。

3号機にホウ素を入れたので、「核爆発」の可能性があるということです。

(注1) 「ホウ素」という元素が中性子を吸収する.「ホウ酸」というのはホウ素が酸の形になっているということ。化合物としてはいろいろある。

(注2) 「核爆発」のことを「臨界を越えた」ということもある。「臨界」とは中性子の収支のことを言っていて、「燃え方」のことを意味しているのではない。表面的なことだけを理解している「専門家」の中には「臨界」という中性子の収支のことと、「爆発」という核分裂状態のことを混同している人もいる。あまり大した差異ではない。

 ですから、原子炉が破壊されていない状態でホウ素を投入するというのはかなり危険な状態を指しているが、今や3号機はかなり損傷しているので、今回、投入されたホウ素は「ごく小さい核爆発も止めたい」ということであり、問題はありません。

「ホウ素が注入されたが、逃げなくてもよい」

ということです。

安心してください。

福島原発は、これまで「60京ベクレル」というものすごい量の放射性物質を出していて、今はその1万分の1です。

仮に、福島原発で小さな核爆発が起きても、これまでに余りに多い放射性物質が出たので、それに比べるとたいした事はない(身近な放射線量が急に増えることはない)ということです。

奇妙なことですが、最初の一撃が大きかったので、すべて非常識に進んでいます.

・・・・・・・・・

ところで福島原発1号機が「メルトダウン」していたということで、今朝(2011年5月16日)の新聞、テレビは大騒ぎになっています.

でも、私は次のようなコメントを昨夜、あるテレビ局でしました(時間は後に調べて追記)。

1) 報道が「東電の発表」を信じるのは奇妙だ。

2) 1号機の燃料が破壊されているのは、3月下旬に判っている。

3) 日本の報道が、このことを報道しなかったのは「事実」より「正式な発表」を重視するという習慣のためだ。

4) 専門家は、水の循環ができなくなると、発熱量、水の蒸発熱、熱容量、燃料の融点や力学的性質などから、破壊までの時間を計算できる。

5) 従って、東電は3月11日午後4時36分に注水が出来なくなった時点で、午後7時30分には燃料が露出すること、午後9時には燃料が融点に達することの計算を終わっていた。

6) 外からデータを得ている一般の専門家(私など)は、「注水は部分的にしか出来ないから、数日中には燃料は破壊される」ということだけは判る。

7) 12日午後3時36分、水素爆発を起こしているが、1)から6)までのことが起こっているのが判れば、水素の発生量が判り、圧力から格納容器、建屋の水素量の変化が計算できるので、火源があれば、12日の午後には水素爆発が起こることを計算していたと考えられる.

8) 水素爆発で大量の放射性物質が漏洩するかどうかは、原子炉の破壊状態によるが、かなり危険だったことは東電は判っていた。


このコメントは時間枠もあって、あまり放送されないと思います。

また、今日(2011年5月16日)の朝、ある放送で次のコメントをしました。

1) 菅首相が斑目原子力安全委員長と福島原発を視察した時にはすでに1号機は破壊に向かっていた。

2) 菅首相は東京に帰った後「原子炉は大丈夫だ」と言っている。

3) このことは、菅首相がウソを言ったか、斑目委員長が間違ったか、それとも福島原発の吉田所長が事実を伝えなかったかである。

4) いずれにしても誰かが原子力基本法の公開の原則を破っている。

5) 1号機の燃料が破壊されていることが判った(メディアが昨日、判った)ことによって、工程表は変わらない.その理由は東電は工程表を作成するときに、すでに1号機の燃料が破壊されていることを知っていたから。

6) もし東電が1号機のことで工程表を替えたなら、東電は2重のウソをつくことになる.

これも時間枠の制限で、詳しくは放送されませんでした。

私は昨夜からなんとなく違和感を感じていて、この違和感が何によるのか考えていました。


今朝、それが判ったような気がします.

1) 日本のメディアは「事実」より、「公式発表」を重んじる.

2) すでに3月末には原子力学会始め、多くの専門家が「1号機の燃料は破壊されて原子炉の下に落ちているだろう」と言っていたが、「民間の専門家の言うことだから」ということで報道しなかった(のではないか)。

3) そして、東電が発表すると(事実としては取材の結果、知っていたのに)「メルトダウンしていた!」とビックリして見せた。

4) このような「お上主義」、「形式主義」が、日本人や日本文化に特有なことか、または最近の日本人の傾向かは今後、考えて行きたい。

5) 東電は「国民に危険なことを知らせてくれない企業だ」ということがわかった。



これから一つずつ、解きほぐして行きたい.
(平成23年5月16日 午後1時 執筆)

原子力情報資料室を支えよう

2011-05-16 15:42:12 | 原発
 このブログも大変お世話になっている、原子力資料情報室を支えましょう。

 彼らは日本では数少ない、原発に批判的な専門家集団を含む市民運動です。

 このような人々がいなかったら、今私たちは本当に闇の中でした。


 団体の主張と、支援方法については、同資料室のサイトから以下の文章を引用します。

 是非とも応援しましょう。


 「原子力資料情報室はこう考えます

【原発は早急に廃止されるべきです】

放射能災害の危険性、放射性廃棄物のあと始末のやっかいさ、核兵器への転用のおそれ……。多くの問題を抱えた原発の廃止は、できるだけ早く実施される必要があります。原発のある地域や原子力産業の労働者の暮らしなども視野に入れ、脱原発の具体策を考えます。


【再処理・プルトニウム利用は即刻廃止】

原発の使用済み燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して使用する計画は問題をより複雑にし、危険性を大きくするだけです。核開発への危惧をなくし、国際的な摩擦を回避するためにも、まず再処理のストップを!東海再処理工場(茨城県)の運転停止、六ヶ所再処理工場(青森県)の中止を訴えます。


【放射性廃棄物の管理は発生者の責任で】

放射性廃棄物の発生者が最後まで責任を持ち、管理していくことを求めます。安易に地下に埋め捨てて、責任を逃れようという「地層処分」は無謀です。後の世代への「負の遺産」を少しでも小さくするにはどうしたらいいか真剣に考える必要があります。

【エネルギーの使いすぎの危険から脱却を】
エネルギーの浪費が地球環境に深刻な影響を与えています。エネルギーの生産のしかた、利用のしかたを効率のよいものとし、分散化をすすめ、無駄を省いていくことは十分に可能です。自然エネルギーの利用は、消費の削減につながるエネルギー生産技術として、大きな意味を持ちます。地球温暖化防止のために二酸化炭素の削減が求められていますが、原発の推進ではこの削減はできません。エネルギーの浪費を減らすことこそがCO2 削減の途です。


【原発輸出は許されません】

国内で原発が作りにくくなったメーカーは、輸出をねらっています。海外への危険の押し付けに反対します。


【あなたの支えが大きな力に育ちます】

1999年9月に特定非営利活動法人(NPO)の認定を得たことで、新しい一歩を踏み出しました。これを機会に脱原発をめざす市民のための市民の機関としての役割を、いっそう確実に果たしていきたいと考えています。

あなたも私たちと一緒に、原子力のない世界への取り組みの輪に加わってくださいませんか?

【参加・支援・購読をお願いいたします】

毎年の総会で議決に加わっていただく正会員の方々や、活動の支援をしてくださる賛助会員の方々の会費などに支えられて私たちは活動しています。

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少人数のグループ向けでも、全国各地に原子力資料情報室のスタッフが出張いたします。
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内容や日程など、まずは下記までお問い合わせください


■特定非営利活動法人 原子力資料情報室(CNIC)

Citizens' Nuclear Information Center

住所:〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL:03-3357-3800 FAX:03-3357-3801
*07年5月21日より移転いたしました*
郵便振替(番号00140-3-63145、加入者名「原子力資料情報室」)

[WEB] http://cnic.jp [EMail] 」

原子力資料情報室から―被曝を避けるために

2011-05-16 15:36:11 | 原発
「地震・事故:福島原発 : 被ばくを避けるために

投稿者: 原子力資料情報室 投稿日時: 2011/3/19 20:50:37


 被ばくを避けるためには、距離をとること、時間を短くすること、呼吸や食べ物から取り込まないことなどが必要だ。距離をとると言っても、誰もが避難できるわけでもない。

 また、環境の放射線が高くなりつつある中で、被ばくを避けるためにどうしたらよいのか、多くの人が直面している深刻な問題だ。ここでは、無用な被ばくを少しでも避けるための自衛の方法を具体的に考えてみたい。

 先に「放射線被ばくを考える」で自衛のための被ばくの計算方法をお伝えした。これも参考にしてほしい。

①各都道府県が環境放射線のモニタリングデータを公表している。
 http://atmc.jp/

 これによって自分の住んでいる地域の大まかな環境放射線量を知ることができる。モニタリングの位置、福島原発と自分との距離などを知るとよい。放射能は、一般には風下に薄まりながら広がっていく。

②天気予報を見る。

 天気と同時に風向きや風速を知るようにしよう。
(こちらも参照しましょう http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/kokusai_eer.html ・・・ブログ執筆者)

 海の方へ向って吹いていれば、放射能は飛んでこないと考えてよい。一日中同じ風向きという状態はないが、主たる風向きを知ることは大切だ。

 風速を知るのは、福島原発で再び火災が起きたり、爆発が起きたりした時に、どれくらいの時間で到達するかを知ることができる。

③雨に当たることを極力避けるようにしたい。

 雨が予想されるときには、降る前に予め買い物などを済ませておくとよい。どうしても外出する必要があるときには、フード付きの服、マスク、傘などで当たらないようにする。環境放射線の高い地域では、ゴミ袋を履いて、両足をくるむようにするのもよい方法だと思う。

④晴れた日でも環境放射線が高い地域は、買い物など時間を短くして、マスクやフード付きの服を着ていくとよいだろう。

⑤帰宅したら外出に使用したコートやズボンを玄関の所定位置に掛けておき、なるべく部屋に持ち込まないようにする

原発関連本の紹介

2011-05-16 15:20:05 | 原発
 昨日近所の本屋をのぞいた時目についたものを以下に紹介します。

 出版社は思わぬ事態で、言い方は悪いですが「張り切っている」ようです。

 でもそのおかげで読めなくなっていたものの際館等が進めばとてもよいことだと思います。

 以下のうち高木さんのものは素人が原発を考えるときの基本になってくれるものだと思います。

 恩田さんのものは珍しいもので、東電とメディアのかかわりなど、出版界がふれたがらない東電・電力業界の実態にふれています。


 高木仁三郎『なぜ原発事故は繰り返すのか』岩波新書

 恩田勝亘 『東京電力 帝国の暗黒』 七つ森書館 1300円


 広瀬隆 『原子炉時限爆弾』 ダイヤモンド社 1500円

 鎌田聡 『日本の原発危険地帯』青志社 1000円

 田中優 『原発に頼らない社会へ』ランダムハウスジャパン 1000円

 ネットで簡単に見られるもの-すでにこのブログで紹介済みですが。

 平井憲夫 「原発がどういうものか知ってほしい」http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

 高木仁三郎 「核施設と非常事態」『日本物理学会誌』vol50 no10 1995年
 http://ci.nii.ac.jp/els/110002066513.pdf?id=ART0002195281&type=pdf&lang=en&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1305527326&cp=

ソフトバンク・孫社長が菅首相と会食/支持を表明

2011-05-16 13:41:44 | 原発


 ソフトバンクの孫社長が菅首相と会食したという。

 きっかけは浜岡原発停止の決断である。

 孫社長はこの決断を支持。同時に菅首相支持を明確にしたという。

 民間企業のトップの行動としては異例のことだろう。

 この行動の背景には、どうにもならなくなった日本の原子力行政や、それを推進してきた官僚機構への怒りと絶望があると思う。もちろん全く私の億段にすぎないが。

 このブログでも紹介した、孫社長と原発技術者との議論では、本当に真剣に孫氏が原発のこと、人々のこと、そしてこの国の将来のことを考えていることがよくわかる。(孫正義 原発問題を熱く語る http://blog.goo.ne.jp/baileng/e/5a76b675de441f9321daa75e0f24db36)

 個人的にはまさにこのような人に日本財界の旗振り役をお願いしたい。


 これに対して、原発政策を推進してきた日本の官僚組織は、民主党政権つぶしの絶好の機会だと考えている。

 例によって検察特捜部による圧力を使いつつ(献金問題)、大手メディアによる政府批判によって、何とか菅政権をつぶそうと考えている。

 しかし原発の問題をここまで深刻にしたのは日本の原子力政策そのものであり、その推進役は経産省、自民党を中核とする日本の権力構造の中核部分である。

 経産省もその他の官公庁も、民主党政権成立以降サボタージュを繰り返していた。

 経産省だけではない。

 、研究費を制限し、人事に誌実情関与して、原発推進派以外の研究を不可能にし、教科書の内容をコントロールして、子供の時から日本人を洗脳してきた文科省。

 反原発集会に私服刑事を送り込み、写真を取り、職場や家族に圧力をかけ続け、嫌がらせを続けてきた公安や警察。

 彼ら全体が深刻にその責任を問われるべきことである。

 残念なことに、そのことについての本格的な反省は全くない。


 世界的に原子力の安全確保が大きなテーマになっている時、いまだに日本の電力会社は、今までの条件のもとでの運転再開を―休止中の原発について―求めている。

 今までの安全基準がほとんど安全確保の役に立たないことが、これほど劇的に証明されてもなお、である。

 彼らの眼中には国民はない。国民の命もだ。

 しかし国とは結局国民のことなのだから、つまるところ国のことも考えていないのだ。

 今までの事態を惰性的に引き継ぐことしかできない官僚と、関係業界と利権まみれでつながっている自民党政治家に、私たちの未来を渡してはいけない。


 孫社長や菅首相には-民主党政権にはいろいろ言いたいこともあるけれど-頑張っていただきたい。


 「東日本巨大地震:ソフトバンク孫社長と菅首相が会食

 「浜岡原子力発電所の運転中止は歴史的な英断だ」(孫正義ソフトバンク社長)

 「元気をいただいた」(菅直人首相)

 菅直人首相は14日夜にソフトバンクの孫正義社長と3時間にわたり会食し、互いに激励し合った。これは毎日新聞が15日に報じた。

 孫社長は東日本大震災後に100億円を個人的に寄付し、さらに10億円を投じ「自然エネルギー財団」を設立、原子力に変わる新たなエネルギー開発に取り組んでいる。孫社長は簡易投稿サイト「ツイッター」を通じ、政府による災害復旧のペースが遅いことや、福島第1原発周辺の住民の避難が遅れていることなどを激しく非難していた。

 しかし今回、両者が意気投合して会食までしたのは、菅首相が中部電力に浜岡原発の運転中止を要請したことがきっかけとなった。

 日本の財界では、菅首相が浜岡原発の運転中止を要請したことに不満の声が上がっているが、孫社長はこの決定を積極的に支持している。

 現在、野党だけでなく与党の民主党内からも、原発事故への対応のまずさから菅首相に辞任を要求する声が上がっている。しかし毎日新聞によると、孫社長は「船が嵐に見舞われる海を航行しているときに、船長を交代させることなどあり得ない」と述べ、菅首相への支持を明確にしたという。