白夜の炎

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勝間和代氏の自己批判―拍手

2011-04-16 19:24:16 | 原発
 勝間和代氏が今までの原発問題に関する立場・発言を自己批判している。(下に引用)

 
 言い回しは何回であるが、提言部分も含め貴重な意見が出されている。

 いわゆる芸能人・文化人で原発PRに加担してきたものは多い。

 漫画家の弘兼憲史なんかもそうだろう。

 彼らは原発は「安全」という政府・業界の偽りの宣伝に加担し、原発が安全だという「神話」を広めるのに貢献してきた。

 この点について何の自己批判もないのはおかしいのではないだろうか。

 いかがでしょうか。



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 [勝間氏の発言]

 原発事故に関する宣伝責任へのお詫びと、東京電力及び国への公開提案の開示

Posted: 4月 15th, 2011

今回の福島第一原子力発電所の事故に関し、電力会社(中部電力)のCMに出演したものとして、また、電気事業連合会後援のラジオ番組に出演していたものとして、宣伝責任ある人間として、まずはみなさまの原子力に対する重大な不安への理解、および配慮が足らなかったことについて、そして、電力会社及び政府のエネルギー政策上のコンプライアンス課題を正しく認識できていなかったことについて、心からお詫びを申し上げます。

真っ先に反省をさせていただきたいことは、みなさんにご不安、ご心配をおかけしている事に対するお詫びです。私が、事故後のコメントにおいて、過去のデータや科学的根拠ばかりを強調したあまり、多くの方々が感じている将来への不安や精神的なダメージやに対する配慮を欠くコメントをしてしまったこと、また、不愉快と思われる発言を行ったことについて、重ねて深くお詫び申し上げます。

これまで、単なる事実としてのデータの積み上げだけではなく、その事故を受けたときに健康被害が出る可能性や、風評被害が出る可能性、あるいは精神的なショック全体における心理的なダメージを十分に推し量ることができなかったと感じ、反省をしております。人によって感受性の違いがある、なしではなく、「そう感じている人が多く、不安になっている」という事実こそが、過去データよりも重要であり、その点を十分に理解できておりませんでした。

今後の発言においては、心理面、及び将来リスクの点を十分に理解の上、コメントを行っていく所存です。

また、もう一つの強い反省は、政府及び電力会社が組織内に包含するコンプライアンスの課題を理解していなかったことです。

本来コンプライアンスとは、後で言い訳をするために決められたルールに形式的に従うといった悪しき「法令遵守」ではありません。天災と津波という大災害に対し、今回の原発事故のような有事の際には、まず事態を収拾することを最優先し、場合によっては平時のルールを破ってでも事にあたるのが本来のコンプライアンスであるはずです。

ところが、いま批判されているような東京電力による情報開示の遅れ、政府の指揮命令系統の混乱などは、有事であるにも関わらず、平時の「法令遵守」にこだわった結果として発生した人災です。このような、マネジメント上のリスクの顕在化が今回の事故の深刻化長期化を招いていることは否めません。

特に、初動における菅政権の対応には下記のような重大な問題がありました。

・冷却機能喪失に伴う燃料融溶リスクの過小評価と情報開示の遅れ
・燃料融溶に伴う水素爆発リスクの過小評価
・現場の混乱を助長した菅首相の現地視察
・SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)など気象データ開示の遅れ
・放射線量と健康への影響に関する不適切な情報開示

上記のことは、国会質問およびマスコミ等の追求により明らかになってきましたが、本来は政府が主導で情報開示をすべきことだったでしょう。

私は、原子力政策がコンプライアンス面において高いリスクを持っていたことについて、過小評価していたことを認め、認識の甘さを痛感しております。

これまで中部電力及び電気事業連合会の仕事を行ってきたことの責任を勘案し、私自身も当事者の一人として本件についてお詫びするとともに、東京電力及び業界全体の改善に向けた申し入れを積極的に行っていくことを約束します。

そして、私は今後の電力業界のあり方および政府の電力行政について、「私案」として、以下のような「公開提案」を行います。これはあくまで現時点での私の提言ですが、とり急ぎこの場を借りて開示させていただきます。


電力業界のあり方および政府の電力行政に対する公開提案 (勝間和代)

1.今回の事故の対応として(是正処置)
・東京電力役員総辞職
・福島第1原発の国家管理
・東京電力の分割(被害者補償会社と事業会社)
・全原子力発電所の徹底した調査(非常用発電機)
・電力会社にいる天下り官僚の総辞職
・原子力保安院の解体
・原子力安全委員の総辞職

2.リスクを軽減する恒常的な枠組みとして(予防措置)
・電力自由化の推進(発電、送電分離により、組織論理の独走を防ぐ)
・電気事業法改正(発電規制の緩和、売電自由化、分散化)
・全原子力発電所の冷却装置の改良(電力に頼らない冷却システム)
・軽水炉の新規建設の永久凍結。(その代わり、ガス冷却方式のウラン型原子炉やトリウム融溶塩炉のようなそもそも放射性廃棄物があまり出ないタイプの新しい技術については安全性を充分に検証した上で導入する。)

3.改められた仕組みの有効性(監査と監視)
・国際機関による定期的な査察
・保安院に代えて、リスクマネジメントに関する、総合的な意見聴取の場を国が新たに設け、メンバーには分野を問わず幅広い人材を登用する。(原子力発電に否定的立場を取る専門家でも、数字やデータで議論出来る人は積極的に登用する。この会の提言は強制力を単なる勧告ではなく、強制力を持った命令とする。)
・定期的なストレステストの実施。(当面は原子力安全委員会に専門機関を設ける形で対応し、将来的には国際機関など第三者によるテストが望ましい。)

上記はあくまで、私の草案ですが、これらの課題について、一部の専門家だけではなく、多くの専門家やユーザーが参加、情報をできる限りデータベースの形式で公開し、聖域なしに議論に参加できる環境を整えることが最優先と考えます。

これまで、電力会社は実質的な地域独占という仕組みが故に、過度な責任を持つことになり、結果として「安全神話」に囚われ、かつ、その担い手としてのリスクを背負い続けました。ところが、今回の事故も含め、これだけの大きな社会的使命とリスクをもった事業をひとつの閉じた系の中で完結させることは、むしろリスクを管理不可能にし、かつ、見えていないリスクについては「なかったもの」と排除させることになるでしょう。

今回は原子力×津波という形で新しいリスクが顕在化しましたが、どの発電方法においても、さらに、どのようなきっかけにおいても、これまで見えていないリスクは無限にあるはずです。だからこそ、リスクをないものとして扱うのではなく、リスクは必ず一定確率で存在するのだから、いかにそれを事故以前、事故の時、そして事故以後に最小化するのかという仕組みの構築こそが、コンプライアンスのあり方だと考えます。

繰り返しになりますが、私自身もその「閉じられた系」の中でしかリスクが見えていなかったことを大きく反省しており、その対応として真摯に今回の公開提案を開示すると共に、その実現に向けた最大限の努力を行っていきたいと思います。本当に申し訳ありませんでした。

投稿者:勝間 和代

武田邦彦への批判と評価

2011-04-16 18:56:04 | 原発


 http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20110318#p1

 このブログは武田氏の過去の発言にさかのぼりながら、武田氏を信頼できるか否かを検討しています。

 私も武田氏のブログを大いに引用してきたのでこのブログを読んでみました。

 ①このブログが指摘している範囲では、武田氏は確かに3.11以前には原発の安全性を信じた発言を行っている。その点で現在、以前から自分は異なる立場だったかのように感じられる武田氏の議論の展開には、問題があるとおもう。その点についての武田氏自身の説明が必要だと感じられる。

 ②ただこのブログでは、武田氏が提言しているいくつかのことは正確かつ有用であることも指摘している。例えば放射線を浴びるときに1時間あたりであることを明示することの重要性を指摘したことや、それに基づいて被曝時間を積算してリスクを簡単に計測してみること等である。

 このほかにもいくつかのことを指摘しているが、以下の点に関する言及については、私は武田氏に功績があると考えている。

 ①放射線リスクの可能性を指摘し、自ら検証できる方法を提案したこと。他にはこのようなことをだれも言っていないのではないのでは?

 ②放射性物質に汚染される可能性のある地域を指摘し、対応を示していること。

 ③政府関係機関-保安院や気象庁などの怠慢を厳しく批判していること。/この点について、3.11以前の発言と齟齬をきたす部分があることも認めつつ、大手メディアがはっきりと言わないことを指摘したことは評価したい。


 他にも武田氏に関しては批判があるかもしれない。

 そのような別の評価もあるということを前提に、このブログに引用された氏の意見を参照してください。

今何をすべきか―武田邦彦ブログより17

2011-04-16 18:46:48 | 原発

 いつも引用ばかりで我ながら能がないけれど、武田先生の文章は説得力があるので、以下にそのまま転載します。

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原発短信  原発の近況など


国がデータを隠しているので、いろいろな憶測が乱れ飛んでいますが、私は今、次のように見ています.

1.
福島原発は異常な状態ながら安定していて、徐々に放射性物質の漏洩も少なくなっていく.もう少し我慢する。

2.
爆発の可能性はまだあるけれど、それほど危険ではない。しかし、今、被ばくを避けておけば、万が一の時にも「被ばくの貯金(事故が起こって少し被ばくしても、それまでの被曝量が少ないと余裕がある。)」で安心。

3.
核爆発でも水蒸気、水素爆発でも、チェルノブイリの経験からはそれほど大きな違いはない.

4.
メルトダウンを起こしたとしても、これまでと同じぐらいの放射性物質がでるに止まる.このブログにメルトダウンは解説してあります.

5.
従って、原発から福島市までの帯状の地域、原発から茨城北端までの帯状の地域は待避する方が良い(子供は絶対に待避.郡山などでは、水、マスク、洋服を拭く、運動は止めるなど最大限の注意)、東京、仙台などは注意して生活し(水、雨に濡れる、食材)、青森、岩手、秋田、新潟、長野、山梨、静岡とその外側は普通通りの生活で大丈夫。

6.
「半径何キロ以内」は無関係です.福島原発を目(光)で見ることができないところは福島原発からの直接の放射線は来ません。
7.

東京、群馬、栃木、会津、山形、宮城、福島、茨城では、できるだけ早く家、玄関、道路の清掃(水を使う。拭く)が有効。絨毯や畳も可能なら頑張ってかなり湿ったぞうきんで丹念に拭く.3月に着ていた服は外でブラシをかける。連休までに怪しいものは洗濯などをしておく.特に子供のものは注意する.

8.
運動場、スポーツ施設、ビルの屋上、学校の校庭、畑は可能な限り表土を薄く取り、どこかに積み上げてビニールをかぶせておく(放射性物質を拡散させない)。

9.
お子さんも、1度や2度、雨に濡れても、水を飲んでも大丈夫(放射線障害は「被ばくの合計」だから、1)最初に待避、2)少しでも放射性物質に接しない、3)一時的に接したら、後は余計に注意する、4)余裕があれば汚染されていない場所に2,3日でも遊ばせる、などで大丈夫です.)

10.
福島と茨城の野菜や酪農品を出荷しない.(もし、売られていたら、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの量を聞いてから買う)。

11.
宮城、福島、茨城、千葉の海産物を出荷しない(どうしても買わなければならなければ、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの量を聞いて買う.大人は少しは良いが子供に与えない)。

12.
海洋の汚染(特にストロンチウム)を測定しない間は、魚は、北海道、日本海、九州沖縄、四国のものに限定して買う.ほとんど測定されていないので、かなり危険。

13.
連休明けまでだから、頑張る。

14.
福島原発は連休明けに一段落して、その後、秋まで「原発の作業」が続く。しかし、庶民にはあまり影響はなくなる.秋になると本格的な「終焉作業」が始まる.

15.
福島、茨城はできるだけ、除洗作業を進めた方が良い。もし除洗しないと本当に10年ぐらい畑が使えなくなるし、生活している人も長期に被ばくすることになるので、放射性物質がこびりつかない内に、洗い落とすのが福島の人にとってはとても大切。「放射線は健康に影響が無い」などということは今までの学問にまったく反対なので、それは今後の課題にした方が良い。

16.
郷土を愛している人たちは「たいした事はない」と思いたいのは判るし、「福島が汚れていると言ってもらっては困る」という気持ちも分かるが、勇気を持って事実を直視することが、子供達のためになる。除洗を急いで欲しい。その方が福島の郷土を守ることになる!!まして、福島の人を避難しているのではない.福島の人は被害者だが、事実は事実だから東電に負けるな!!汚したのは東電だから、それで子供を被ばくさせないで欲しい。

17.
原発は10年ぐらい経ったら解体が始まる。チェルノブイリは26年経ってもそのままだが、福島原発は解体が早いと考えられる.あまりコンクリートなどで固めない方がよいと私は思う。

放射線は目に見えません。また急性の病気は250ミリシーベルト以上の「急性白血球減少」ですが、それより低い被ばくでガンなどの症状がでることが知られています。

あまり「常識」や「大丈夫だよ.これぐらい」と考えずに、一生に一度しか起こらないので、後、数週間だけ頑張ってください。特に未来のある子供に注意。
(平成23年4月16日 午後10時 執筆)

武田邦彦

最大の原子力推進派へ

2011-04-16 18:25:58 | 原発

 自民党歴代トップ。

 経産省歴代トップ。

 電力会社歴代トップ。

 東芝・日立・三菱重工など原子力関係産業歴代トップ。


 君たちこそ謝るべきではないのですか?


 特に谷垣さん。あなた人のことを言える立場ではありませんよ。


 あなたが原因です。

 あなたの先輩方全員が「戦犯」ですよ。


 違いますか?

原子力推進派の自己批判②

2011-04-16 18:24:07 | 原発

 自己批判の文章を以下にのせます。

 「【福島原発事故についての緊急建言】

 はじめに、原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝いたします。

 私達は、事故の発生当初から速やかな事故の終息を願いつつ、事故の推移を固唾を呑んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、今日に至るも事故を終息させる見通しが得られていない状況である。既に、各原子炉や使用済燃料プールの燃料の多くは、破損あるいは溶融し、燃料内の膨大な放射性物質は、圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている。

 特に懸念されることは、溶融炉心が時間とともに、圧力容器を溶かし、格納容器に移り、さらに格納容器の放射能の閉じ込め機能を破壊することや、圧力容器内で生成された大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである。

 こうした深刻な事態を回避するためには、一刻も早く電源と冷却システムを回復させ、原子炉や使用済燃料プールを継続して冷却する機能を回復させることが唯一の方法である。現場は、このために必死の努力を継続しているものと承知しているが、極めて高い放射線量による過酷な環境が障害になって、復旧作業が遅れ、現場作業者の被ばく線量の増加をもたらしている。

 こうした中で、度重なる水素爆発、使用済燃料プールの水位低下、相次ぐ火災、作業者の被ばく事故、極めて高い放射能レベルのもつ冷却水の大量の漏洩、放射能分析データの誤りなど、次々と様々な障害が起り、本格的な冷却システムの回復の見通しが立たない状況にある。

 一方、環境に広く放出された放射能は、現時点で一般住民の健康に影響が及ぶレベルではないとは云え、既に国民生活や社会活動に大きな不安と影響を与えている。さらに、事故の終息については全く見通しがないとはいえ、住民避難に対する対策は極めて重要な課題であり、復帰も含めた放射線・放射能対策の検討も急ぐ必要がある。

 福島原発事故は極めて深刻な状況にある。更なる大量の放射能放出があれば避難地域にとどまらず、さらに広範な地域での生活が困難になることも予測され、一東京電力だけの事故でなく、既に国家的な事件というべき事態に直面している。
 当面なすべきことは、原子炉及び使用済核燃料プール内の燃料の冷却状況を安定させ、内部に蓄積されている大量の放射能を閉じ込めることであり、また、サイト内に漏出した放射能塵や高レベルの放射能水が環境に放散することを極力抑えることである。これを達成することは極めて困難な仕事であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない。

 さらに、原子炉内の核燃料、放射能の後始末は、極めて困難で、かつ極めて長期の取組みとなることから、当面の危機を乗り越えた後は、継続的な放射能の漏洩を防ぐための密閉管理が必要となる。ただし、この場合でも、原子炉内からは放射線分解によって水素ガスが出続けるので、万が一にも水素爆発を起こさない手立てが必要である。

 事態をこれ以上悪化させずに、当面の難局を乗り切り、長期的に危機を増大させないためには、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、関係省庁に加えて、日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取組みが必須である。

 私達は、国を挙げた福島原発事故に対処する強力な体制を緊急に構築することを強く政府に求めるものである。

平成23年3月31日

青木 芳朗  元原子力安全委員
石野 栞   東京大学名誉教授
木村 逸郎  京都大学名誉教授
齋藤 伸三  元原子力委員長代理、元日本原子力学会会長
佐藤 一男  元原子力安全委員長
柴田 徳思  学術会議連携会員、基礎医学委員
住田 健二  元原子力安全委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
関本 博   東京工業大学名誉教授
田中 俊一  前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長
長瀧 重信  元放射線影響研究所理事長
永宮 正治  学術会議会員、日本物理学会会長
成合 英樹  元日本原子力学会会長、前原子力安全基盤機構理事長
広瀬 崇子  前原子力委員、学術会議会員
松浦祥次郎  元原子力安全委員長
松原 純子  元原子力安全委員会委員長代理
諸葛 宗男  東京大学公共政策大学院特任教授」

原子力推進派の自己批判①

2011-04-16 18:20:49 | 原発


 「東京電力の福島第1原子力発電所の深刻な事故を受け、政府の原子力安全委員会の歴代委員長を含む原発推進派学者の重鎮たちが原発の「安全神話」崩壊に懺悔を繰り返している。特に元原子力安全委員長の松浦祥次郎氏や前原子力委員会委員長代理の田中俊一氏ら原発推進の学者16人がこのほど、異例の緊急提言を行った。

「原子力の平和利用を先頭だって進めてきた者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝する」との謝罪を前面に掲げた提言の内容は政府や東電の発表よりも今回の事故を深刻に受け止めており、緊迫感が伝わってくる。

大量の放射能を閉じ込めるのは極めて困難、と認める

「私たちは事故の推移を固唾を飲んで見守ってきた。しかし、事態は次々と悪化し、事故を終息させる見通しが得られていない」「膨大な放射性物質は圧力容器や格納容器内に拡散・分布し、その一部は環境に放出され、現在も放出され続けている」 「特に懸念されることは溶融炉心が圧力容器を溶かし、格納容器に移り、大量の水素ガスの火災・爆発による格納容器の破壊などによる広範で深刻な放射能汚染の可能性を排除できないことである

提言は、水素爆発などで格納容器が破壊され、放射性物質が長期にわたり国土を汚染する可能性を指摘している。日本を代表する学者たちが、チェルノブイリ原発事故級の最悪の事態を想定していることがわかる。

16人は東京大学名誉教授、京都大学名誉教授、東京工業大学名誉教授など錚々たるメンバーで、原子力安全委員会や原子力委員会の歴代委員長や委員を務めるなどした日本を代表する原子力の専門家たちだけに、発言には重みがある。

特に気になるのは、「当面なすべきことは原子炉及び使用済み核燃料プール内の燃料の冷却を安定させ、大量の放射能を閉じ込めること。これを達成することは極めて困難であるが、これを達成できなければ事故の終息は覚束ない」と述べた点で、有効な解決策を見いだすのが難しいことを自ら認めているとも受け取れる発言だ。

2011年4月1日、会見した田中俊一氏は「原子力の平和利用を進めて、まさかこういう事態、これほど国民に迷惑をかけるような事態は予測していなかった。結果的にこういうことになっていることについて、原子力を進めてきた人間として、国民に謝らなくてはならないという気持ちは、みんな持っていると思う」と心境を明かした。

田中氏は提言をまとめた理由について「(我々は)余計なことを言わなくてもいい年齢だけれども、黙っていられないと。とにかく早くこの状況を抜け出して頂きたいという思いでまとめた」と述べた。学会で地位も名誉もある学者たちが、自分たちのこれまでの仕事を全否定するような今回の提言や会見が、事故の深刻さを物語っている。

原子力安全委員会では、歴代OB、現役首脳も自己批判

提言は、最後に事態打開策について「当面の難局を乗り切るためには、関係省庁に加え、産業界、大学等を結集し、我が国がもつ専門的英知と経験を組織的、機動的に活用しつつ、総合的かつ戦略的な取り組みが必須である」と指摘する。

提言に加わっていない原子力安全委員会前委員長の鈴木篤之氏(日本原子力研究開発機構理事長)も4月6日、衆議院経済産業委員会に招致され、「国民にたいへん申し訳ない。私にとって痛恨の極みだ。この事故を反省し、よく考えていかないといけない」などと反省の弁を述べている。

原子力安全委員会では、歴代OBに限らず、現役首脳も自己批判に追い込まれている。斑目春樹委員長は、やはり6日の衆議院経済産業委員会で、「今回の事故を深く反省し、二度とこのようなことが起こらないよう指導していきたい」などと弁明に懸命だった。」

日本の原子力開発の危うさ

2011-04-16 18:04:22 | 原発


 http://skazuyoshi.exblog.jp/

 いわき市議の佐藤かずよしさんのブログです。

 日本の原発開発の歴史を振り返り、その危うさを指摘した、神戸大学名誉教授の石橋さんのインタビューが載っています。

 是非一読を。

小林恭子さんのブログ―イギリスの報道が伝える震災と原発

2011-04-16 17:27:28 | 原発

 小林恭子さんはイギリス在自由のジャーナリストで、個人でイギリスの情報を日本に伝えてくれています。

 http://news.livedoor.com/article/detail/5492049/


 私が今まで小林さんのブログを読んだ限りでは、とてもフェアで質の高い情報を、わかりやすい表現で伝えてくれています。

 今回の震災についてはしばらく発信がないと思っていたら、上記のように詳細な記事が発表されました。

 イギリスの記者が現場に対して「個人」として向き合う姿勢を示し、経緯と被災者への共感の念を持っていたこと。

 同時にイギリスのメディアが日本政府の発表にも、メディアの閉鎖性にもともに不信感を持っていること。

 事故直後、日本政府や関係者自身が、動揺し、混乱していたであろうこと等を指摘しています。

 是非一読を。