白夜の炎

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現在の原発耐震基準はどのように決まったのか―武田邦彦ブログより16

2011-04-15 19:24:38 | 原発



 「原発深層流002 危険な原発? 安全委員会速記録(1)


(原発を抱えている日本の親の責任として知っておかなければならないことでもあります。)
日本には、原発の「安全」を守るために「原子力安全委員会」という組織があります。

その安全委員会が数年前(平成18年の9月ですが)に、いかめしい書類「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」というのを出しています。

簡単に言うと「原発は地震でどうなるのか、どうしたら良いのか」を解説しているのです.
そこに、驚くべきことが書かれています.

1)
大きい地震が起こったら「想定外」として良い。
2)
想定外の地震が起こると「大量の放射性物質」が放散される。
3)
公衆に対して放射線被ばくが起こる。
4)
地震で極めてまれに津波が発生する.

・・・・・・・・・
私もこの説明を専門委員会で受けて、ひっくり返るほど驚いたものです。そして冒頭に次のように質問しています(第2回専門部会速記録から).

「この地震指針は、
1.
原子炉を守るためですか?
2.
運転を継続するためですか?
3.
付近住民を守るためですか?
なにが目的ですか」

バカらしい質問と言えば、バカらしいとも言えます.地震や津波から原子炉を守るのですから、原子炉や運転を守ることができれば同時に付近住民を守ることにもなるからです。

しかし、私の目の前にある書類には、「原子炉は守るけれど、原発全体は守らないし、付近住民など視野に入っていない」という内容だったのです。

たとえば、「原子炉の耐震性はよくよく考えるけ
れど、冷却するために必要な電源などどうでもよい」という感じでした。
今回の大震災の余震の時に、「震度4」で東通原発の電源がすべて(通常、予備、非常ディーゼル)壊滅してしまいました。また2007年の中越沖地震では東電の柏崎刈葉原発で変電所が高い黒煙をあげて燃えました。

原発が「震度4」で全部の電源を失うということは到底、日本人の常識に反するのですが、「原子炉だけは守るけれど、後は知らない」という内容だったのです.

この私の質問に対して、内閣府の課長はピントの外れた答え(わざとですが)を延々としました。
そこで、仕方なく、


と聞きました(ダブルクリックすると大きくなると思います)。

つまり、理屈は通っていても、地震が来ると付近住民が1万人死んでも関係がないということではないか?との質問でした。

これに対しても、ノラリクラリとやられたので、


と3回目の質問をしました。
会議では多くの委員が均等に発言するために、一人が3回も連続して発言するのはややルール違反ですが、このままでは「地震で倒れる原発ができる」と思った私は食い下がったのです.

全ての質問は官僚と学者の連合軍にあしらわれ、議長は他の委員を指名しました。

ここで「電力会社が間違えて原発を作ると、その結果、何が起こるか判らない」という「地震指針」が通ってしまったのです.

悔やんでも悔やみきれない瞬間でした。
今になってみると、その時に机の上に駆け上がって「反対だっ!」と叫んだら良かったのか、そんなことをしたら守衛につまみ出されるだけだったか、そうはいってもあのときに追求の手をゆるめたのが今度の事故になったと思うと残念でたまりません。

(平成23年4月16日 午前9時 執筆)

武田邦彦



やっぱり、放射線被害は深刻

2011-04-15 19:11:16 | 原発


 「日本の経済産業省原子力安全・保安院は4月12日、福島原発の事故を最悪の「レベル7」に引き上げた。

 1986年に起きたチェルノブイリ原発事故と同じレベルに相当する。

 米誌ニューヨーク・タイムズは12日に掲載した評論で、「日本が事故をレベル7に引き上げたことは、今回の原子力危機が人の健康および環境に重大で長期的な影響を与える可能性が高いと認めたことを示している」とした。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。


 報道によると、原子力工業の関係者は数週間前、日本の破損した原子力発電所は大量の放射性物質を排出したと指摘したが、日本政府はこの可能性を弱める姿勢をとり続けている。

 福島原発事故はこれまで、1979年のスリーマイル島原子力発電所事故と同じ「レベル5」とされ、「レベル7」に認定されたのは過去にチェルノブイリ原発事故だけだった。国際的な原発事故の認定基準に基くと、「レベル7」の原発事故は、「放射性物質が大量に排出され、広い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼし、原子炉内の燃料の多くが外部に漏れた」ことを意味する。

 「レベル7」への引き上げは日本政府が外部環境に排出された放射線量が新たなレベルに達したと認めたことになる。世界で2例目となる「レベル7」の原発事故は、世界の原発工業に大きな影響を与えると考えられる。また、現在の安全基準が不完全であることも示している。(編集担当:米原裕子)」

トリウム原子炉は本当に安全か?

2011-04-15 18:50:22 | 原発

 トリウム原子炉に注目が集まっています。

 安全で、放射能の危険も比較的低く、なおかつ核兵器材料の生成に向かない―だからこそ今まであまり利用されてこなかった―。

 いいことづくめのようですが、本当なのでしょうか。

 素人なのでよくわかりません。

 情報をお持ちの方はお教えください。

 
 下のサイトはWIRED VISION日本語版に載った記事です。中国では本格的実用化に向かっているようです。
   ↓
 http://wiredvision.jp/news/201102/2011021622.html


 http://blog.canpan.info/kazenofune/archive/269 はかなり詳しく仕組みを説明しています。

 確かドイツも西ドイツ時代に研究していてそれが中国の技術の基礎になった。

 そして西ドイツでは事故があった、というような話をテレビのドキュメンタリーで見た記憶があります。

 確かではありません。

 日経ビジネスも注目して記事にしています。
  ↓
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110225/218599/?rt=nocnt


 日本でも積極的に進めようという人たちもいるようです。
  ↓
 古川和男『原発革命』文春新書 http://www.amazon.co.jp/dp/4166601873?tag=amazon-okazunao1-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=4166601873&adid=1DQ4S75QWA927NBRDCN5&

 

The Song to Promote Nuclear Power Plants. 原発推進の歌 (by Vocaloid Hatsune Miku)

2011-04-15 18:38:11 | 原発
The Song to Promote Nuclear Power Plants. 原発推進の歌 (by Vocaloid Hatsune Miku)


 石原都知事が東京の金を他に持っていくのはけしからん、と言っていたようだが、それなら地方で作っている電力を東京に送るのはやめよう。

 東電福島だって東京向けだろ。

 ディズニーシーの隣に原発を作りなさい。

福島原発の現状

2011-04-15 18:28:04 | 原発


宮崎学氏のブログ( http://miyazakimanabu.com/ )に掲載された氏の知人の4月11日付の手紙によると、

 「・・・原発4号機あやうし。(テレビはウソ)点検時の図面を出したらしいが現状は話の外。

  フタが外れパイプも外れ、たれ流しを見てるだけらしい。・・」とのこと。

 また第一原発で詐欺用にあたっている人たちについては、

 「第一原発の作業員は心身共に限界を過ぎている。 釜の爆発より作業者達の爆発が先か?」だそう。


 もはや手の打ちようがないのでは…との疑念が浮かぶ。

 それにしても原発労働者の9割は電力会社以外のはず。

 日常の点検業務や保守管理も、ハローワークで募集した、「経験・学歴・年齢不問」の人たちでやっていたはず。

 今どうなっているのか。

全く信用できない政府・保安院―武田邦彦ブログより16

2011-04-15 18:02:57 | 原発


 「原発深層流001 信用できる人、できない人 その1
 
福島原発の事故から1ヶ月が経ちました.

放射性物質は「半減期」というのがありますから、原発の西北や南の近い場所を除いて、これまでなら普通の生活に戻れるところですが、事故後の処理に手間取っているので、連休明けに向けて準備をする期間です.

とりあえず、汚染された身の回りのものや部屋を綺麗にしておくことで、念のため洋服なども外でブラシをかけておくなどの後始末をすることが有効です.

また、連休明けからの水や食材の選択などは来週ぐらいから書きはじめますが、これからの準備の一環として、少し深く理解をしておきたいと思います。

その参考にしていただくために「原発事故の深層」を覗いてみます.

・・・・・・・・・

原発について「日本政府」はまったく信用できません.

福島の教育委員会は「政府が安全と言っているから、児童生徒を被曝させても良い」などと言っていますが、困ったものです。


政府が信用できないのは、主として次の2つの事実です.

第一・・・・・・・・・

3月20日には判っていたのに、4月10日頃になって「福島原発の事故はレベル7」と発表したこと、

第二・・・・・・・・・

原発の傍の海から規制値の3355倍の放射性ヨウ素が検出されたのに「健康に影響が無い」と言ったこと、
の2つです。


福島原発のことについて、政府、原子力安全委員会、保安院の言ったことはすべて信用できません.もっとも良いのはテレビなどでの彼らの会見を聞かないことです。

人間は、ウソと判っていても繰り返し聞くと、ついつい信用してしまいます.また、ウソの中でも「自分が納得するもの」を「本当のこと」と思ってしまうことがあります。

・・・・・・・・・

原発事故にはレベルをつけることで、直感的な整理や判断をするようになっています。一つ一つの事故をよくよく考えることができれば、レベルなどを設定しなくても良いかも知れないのですが、多くの人が関係する世界的なことはレベルを決めて分類したり、整理したりすることが大切だからです。

そして、人はそのレベルを見て、「どのぐらいの事故だ」と判断し、自らの行動に活かすのです。

仮に政府が国民のことを考えていれば、3月20日に「レベル7」を宣言したでしょう.そうしたら、多くの人がより早く遠くに移動して被曝を避けられたかも知れません。

また近くの小学校などでも開校を遅らせたりする根拠が得られますから、子供達の健康を守ることができたかも知れないのです。

しかし、現実的には日本政府は20日も隠していました。その理由として官房長官は「(日本人が被曝することより、)パニックが怖かった」という趣旨の事を会見で言っていました。

もし、自分の子供が原発の近くにいて、自分の手元に「大量の放射線がでた」という報告が来たら、奥さんに電話するでしょう。つまり、日本政府は日本人を守ろうとはしていないのです。

・・・・・・・・・

原発の近くの海から基準値の3355倍の放射性ヨウ素が検出されたとき、保安院は記者会見で「健康に影響がない」と言いました。

このような「真っ赤なウソ」が白昼堂々とテレビで放映され、ニュースで流れるという現状を「信用しろ」と言っても無理です.


 規制値や基準値と言われるものは若干の安全性を含んでいます.

それは、社会には赤ちゃんや妊婦、それも病気で治療や検査のために放射線をあびたばかりという方もおられます.だから、「やや安全サイド」で数値が決まっていますが、極端に安全側ではありません。

たとえば、一般の人の被曝線量の限界は1年間に1ミリシーベルトになっていますが、その3355倍というと、3シーベルトを越え、50%の人が即死(急性疾患で死亡)するような放射線量になります。

基準値の10倍ぐらいまでなら、短期間に被曝しても回復することができますが、さすが3355倍ではどうにもなりません。会見で「健康に影響ない」と発言した人は、まず自分のお孫さんをその海に入れてください。

私は普通はこのようなことを言いません。どこの親でも自分の子供や孫は大切で、万が一のことを考えるからです.でも、今回ばかりはどうしても言いたいのです.

怒りがこみ上げてきます.

保安院の審議官は、日本国民を人間と思っていないのです。ただ、自らの保身のために「自分の言ったこと(3355倍は安全だ)を信じて、赤ちゃんを海水浴させて死んでも良いです」と言っているのです.


保安院が解散されないのが実に不思議ですし、あのときの会見は「表現の自由」に基づくものではなく、「国家権力を使った騙し」ですから、検察は直ちに逮捕しなければならないでしょう。


・・・・・・・・・

政府の発表は空間線量も含めてまったく信用できません。

空間線量はできるだけ計測器を持っている人がネットで発表し、それを使いたいと思います.1時間で0.6マイクロシーベルトより高いところには近づかず、1時間で0.11マイクロシーベルト以下のところは安心して生活するという「ケジメ」をハッキリつけたいと思います.

若い女性も放射線の感度が高いのですが、それでも「スーパーに行けば自分で安全なものを選ぶことができる」のですが、子供は一切、できません。

教育委員会のように「政府を信じたのだから、子供が病気になっても責任はない」などという無責任なことにならないように、「信用できない政府」を「信用しないこと」が大切でしょう.

・・・・・・・・・

(政府の小さなウソの一例・・政府の発表を信じていると、奇妙なことになって困っている人が多いから)

1)
自然放射線は年間1.4ミリシーベルトなのに、2.4ミリシーベルトと言った(多く見せるウソ)。

2)
東京―ニューヨーク間の航空機の被曝は普通は100マイクロシーベルトなのに、特殊例で200マイクロシーベルトと言った(多く見せるウソ)。

3)
1年間100ミリシーベルトは職業人の被曝限界なのに、一般人(赤ちゃんを含め)に「健康に影響がない」と言った(法律違反).

4)
CTスキャンなどは医療行為でやむを得ず被曝する(それだけの危険を冒す必要性を医師が判断した場合に限る)のに、一般人が被曝する量をCTスキャンと比較した(違うものを比較).

5)
炉心が破壊されていないとでない核種が検出されているのに、「炉心は破壊されていない」と言い続けた。

6)
魚に蓄積するもっとも危険なストロンチウムを測定せずに、「魚は安全だ」と言った。

7)
放射性物質で汚染された土地の作物は汚染されているのに、官庁の食堂で出したり、販売を促進したりした。

8)
福島第一の1号機、3号機、4号機の爆発の映像の発表を、(おそらく)NHKはじめマスコミが報道しないように圧力をかけた(国民が原発の状態を知るもっとも大切な映像をメディアは流さなかった。ネットで見ることができるが)

9)
その他、数え切れない.


(平成23年4月15日 午前11時 執筆)

武田邦彦」