べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

とるにたりないことだけど

2008年08月16日 11時36分08秒 | 慰め種

たいせつなものをいっぱい失くして
そのかわり といってはなんですが
かけがえのない想い出を
たくさん たくさん
手に入れることができました
時はこちらの都合なんておかまいなしに
さっさと過ぎ去ってしまうもの
なんてことは
ミツバチの赤ちゃんだって知っている

自由に空を舞うために生まれてきた
愛らしい小鳥たちが
たとえ狭い籠にとじこめられても
美しく歌うことを忘れないのは
どうしてかってことを
考えてみたことあるかしら

モグラは人生の大半を
暗い地面の下で暮らしているけど
けっして
お陽さまの温もりがきらいなわけじゃなくて
ただそんなふうに
生まれついてしまっただけなんだってことにも
少しは思いを巡らせてみなくちゃね

芽吹いたばかりの木の葉の子供があくびして
空に浮かんだ雲の中では
生まれたての雨粒が泣きべそかいてる
けれどちょっとみたところ
そんなことにはまったく無関心を装って
星たちはきょうも
飽きることなく同じ軌道を描いてるの

きょうはきのうと変わらない
でもなにかが少し違ってる
たわいもないテントウムシの世迷言に
寝ぼけまなこのタンポポが
てんで気の抜けた相槌をうったりしてるけど
あしたはもう少し
なにかが変わっているかもしれないわ

だからこそ
たとえ
途方に暮れてしまうようなことがあったとしても
そよ風が吹けばやさしい気持ちになれるし
夕焼け雲を目にすれば
つい涙ぐんでしまうことだってあるのかもしれない
でもね
そんなことはよちよち歩きのカルガモの
小っちゃな女の子だって知っていること





★絵:アンドレ・ブリジャン★↓ポチッっとね
にほんブログ村 ポエムブログへにほんブログ村 ポエムブログ 自作詩・ポエムへ
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする