べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

これといってさしたる理由もないのに

2007年01月28日 10時24分02秒 | 叙情

深いため息と浅い眠り
人気のない遊園地
霧雨に濡れそぼつ裸樹
グラスの中ではじけ散るサイダーの泡粒

ふとわけもなく寂しさがこみあげるそんなとき
誰かにそばにいてほしい
それがきみならなおさらいいのだけれど・・・・・
言葉なんていらない
ただきみの横顔を
静かに見つめていられさえすれば

冷めた紅茶と香りの失せた輪切りのレモン
途絶えたままの日記
古びたノートの中で色あせてしまった押し花
壊れて音の出ないオルゴール

きみが悲しみにくれるとき
ぼくがそばにいてあげる
もしきみがそれを望んでくれるなら・・・・・
なにもできやしないけど
凍えてかじかんだかぼそい指先を
そっと暖めるくらいはしてあげられるから

深夜の街角で明滅する自動販売機の薄あかり
てのひらの上で消えてなくなるひとひらの雪
穴のあいた手ぶくろ
ため息まじりの白い吐息

これといってさしたる理由もないのに
ふと寂しくなることがあるものです
そんなとききみがそばにいてくれたなら
きみのそばにいてあげられたなら






☆絵:ジョー・モールトン☆
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