べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

立ちこぎぶらんこ

2007年01月29日 23時45分52秒 | 叙情

両足にぐっと力をいれると
地面がゆれた

さらに力をこめると
もっと大きくかたむいた

ぼくはなんどもくりかえす
なんども  なんどもくりかえす

と、思う間もなく目の前に
青い青い空がひろがった
それは  どこまでも底なしに青い空だった

と、つぎの瞬間
天と地がひっくりかえって
草色の大地が目の前をおおった

景色がとんだ
前へ後ろへ
公園の木立が  家々の屋根が
電信柱が  お店の看板が
赤いポストや  神社の鳥居が
遠くの山や  真っ白な綿雲が
人も  自転車も  公衆電話も
ものすごい速さでとんでゆく
まるで高速回転の万華鏡のように

ぼくは
大空と大地の間をいったりきたり
まるで大時計の振り子のように
いったりきたりをくりかえす
一心不乱に  なにもかもぜんぶ忘れて

そうやって時を刻んでいたんだね
知らないうちに
そうやって時は流れていくんだね
気づかないうちに

いつのまにか季節は移ろい
ぼくはひとり
だぁれもいない公園にただひとり
ぽつんと置き去りにされていた
かはたれどきのうす闇の中に





☆絵:サム・フランス☆
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