飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハンググライダーの進化の歴史 7

2012-05-19 19:58:17 | ハング(hangglider)

初めてダブルサーフェースをもった「マライヤ」は、画期的なグライダーで、当然一番の性能を持っていました。

しかし、しばらくすると、謎の墜落事故がマライヤに起きはじめたのです。

それは、マライヤが荒れた風の中や、特に高速を出しているときに、タッキング(前転)に入ってしまったのです。

当時、この原因はなかなかわからず、手を焼いたのですが、そのうちとうとうその原因をつかむことが出来のです。

それは以下の図に示した現象でした。

001 通常の迎え角で飛んでいるマライヤは、全く問題のない翼断面(翼型)を持っていました。

しかし、何らかの要因で迎え角マイナスになった時、ダブルサーフェイス、つまり下面のセールが、負圧で下方に膨らみ、それが原因で翼の風圧中心位置が一気に変わり、更に下に引き込まれる力が発生していたのです。

これが一度起こってしまうと、加速→下面の膨らみ→更に加速→さらなる下面の膨らみ‥と、悪循環を繰り返し、一瞬のうちにタッキングに入ってしまっていたのです。

このことが分かったため、その対策が生み出されました。

それが「アンダーバテン」だったのです。

ダブルサーフェースに、負圧が生じても膨らまないように、棒、つまりアンダーバテンが差し込まれたのです。

固いものがあれば、セールの膨らみはかなり押さえられるはずです。

そうして、マライヤは後世のグライダーにも引き継がれる、大事な「改良」が加えられ、安全な機体へと生まれ変わりました。

そして、他のメーカーも、そのアイデアを導入し、ハンググライダーの性能は一気に向上して行ったのです。

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