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飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

オールドパイロット問題‥

2013-11-01 20:53:50 | ハング(hangglider)

ここ近年ですが、過去ハンググライダーをしていた方で、数年、数十年のブランクを経て、再びハンググライダーを始める方が増えてきています。

ハング人口が多くなることは大いに喜ぶべきことです。

しかし、同時に困った問題も起こり始めています。

それが「オールドパイロット問題」です。

これは何かというと、高齢者パイロットがご自分の判断だけでフライトしてしまい、その結果事故になってしまうという問題です。

もちろん高齢者の方皆さんがそうというわけではありません。

とても模範的な素晴らしい高齢者パイロットの方もたくさんいらっしゃいます。

しかし、往々にして高齢者のかたがご自分の判断だけでフライトした結果、事故につながってしまったケースがここ最近急増しているのです。

一件の事故で、当事者のみならず社会的に大きな損失を招くことは十分にあり、その結果、エリア閉鎖となる結果も考えられるため、何としてもこのような事故は防ぐ必要があります。

高齢者の方は、人生経験が多いため、当然ご自身にプライド、そして、自信があります。

これは大切なことではありますが、なかには過剰なプライド、自信をお持ちのために、インストラクターの意見を聞いていただけない方がいらっしゃるのも事実です。

これは私自身の経験ですが、そのような過剰なプライド、自信のために重大事故になってしまった身近な方が3名いらっしゃり、2名は死亡、一人は社会復帰が出来ない体になりました。

このような過剰なプライド、自信をお持ちのパイロットを、どうすれば事故を起こさないように出来るのか‥。

本当に悩んでおります‥。

私は思うのですが‥。

本当に偉い人って、隅々まで心配りが行き届き、なんの問題も起こさずに物事を進めることが出来る方だと思うのです。

たとえば、会社でもただ威張ってだけいる上司の下では、部下は無理や不満が発生してしまい、いずれは問題が発生してしまいます。

しかし、すべてを見通せる力のある上司ならば、部下が抱える問題に一つ一つ気を配り、組織全体がうまく動けるようにする力があると思うのです。

つまり、人間本当に偉くなるというのは、いろいろな問題の発生を察して、自分が何をすべきかを悟り、末端まで気配りが出来る力を持つこと‥。

そう私は思うのです。

「すべての水を支配する海は低き所になる」という言葉がありますが、まさにこの通り!

偉い人が縁の下の力持ちになれてこそ、すべてがうまくまわるように思えるのです。

これは私個人のブログなので好き勝手書きますが、はっきり言って事故を起こすようなオールドパイロットは、ただ年をとっただけで偉くなったと勘違いしているのではないでしょうか?

自分の意見だけを通そうとすることが、偉いと勘違いしているのではないでしょうか?

その結果、多くの方に多大な迷惑をかけてしまいます。

これでは偉くなったのではなく、はっきり言って子供に戻っただけです‥。

先にも言いましたが、本当に偉い方は、すべてを察して自分がどう振る舞えば良いかを悟り、そして、事故を起こさないようにする力を持っているはずなのです‥。

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私が乗ったハンググライダーの名機 6

2013-09-15 19:19:42 | ハング(hangglider)

ずいぶんご無沙汰だったこのシリーズ。再び投稿します。

今回は、初のキングポストレスグライダーである「トップレス」です。

Topless_id9 近代版のキングポストレスの中では最初に現れたのがこの機体です。

それまでは、翼の下にストラットをつけるという手法でキングポストレス機を作る方法がありましたが、この方法だとロールのコントロールが重くなり、しかも組み立てが大変になってしまい、その割には性能向上があまり見られなかったために、ずっとこの種の機体はお蔵入りとなっていましたが、トップレスではクロスバーの強度をあげて荷重に耐えさせるという新しい考え方で、見事にキングポストレス機を一般化することに成功しました。

この機体の発売当時は、秀でた性能を持っていたために、各メーカーが脅威を感じ、こぞってキングポストレス化を進めましたが、私はこの機体の評価は、性能だけでなく、そのハンドリングも高く評価しています。

とにかくハンドリングが素直で、特筆すべきは低速のネバリの持ちの良さでした。

サーマリング中いくら押し出しても失速に入らず、内側の翼端が見事にネバって持ちこたえてくれるので、ほかのどの機体よりも小さくまわれ「浮き」が良かったのです。

正直、このトップレスで上げられないサーマルは、他のどの機体も上げられない‥。と思えました。

これだけ高い性能を持ったトップレスでしたが、他メーカーの機体も向上してしまい、いつの間にかその影をひそめてしまいましたが、私はとても好きなグライダーでした。

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T2C試乗記 3

2013-07-11 09:09:27 | ハング(hangglider)

T2Cは、癖のない扱いやすいサーマリング特性を持っていましたが、それでは、グライドについてはどうか?

今回はその辺をレポートしてみます。

002 サーマルをトップアウトした後、VGを引き締めグライドに入ってみます。

VGは最近のどのグライダーも軽く引けますが、T2CもやはりVGは軽い!

いきなり100パーセント引き込んでグライドをかけてみます。

これだけVGを引いても意外にコントロールは効きます。

もちろん若干のアドバースヨーは出ますが、私の技術でもなんとかコントロールできるレベル‥。

これならグライド中不意にサーマルを見つけても、なんとかなりそうに思えます。

VG100パーセントでのピッチのバープレッシャーは、鋭利な刃物のごとく鋭さを感じる、とても軽いものです。

そのバープレッシャーに無駄な余裕はあまり感じられず、さすがはレーサー機らしい味付けです。

私だったらウデもないので、もうこれ以上ダイブスティックやリミッターを落とそうとは思いませんでした。

VG100パーセントでのグライドの安定性ですが、さすがはウイルス!。

かつてウイルスのグライダーで、直進安定性に不満を感じたものはありませんでしたが、やはり、T2Cもその例外ではありませんでした。

気持ちよく、まっすぐに飛んで行ってくれます。

意地悪にわざとヨーイングのきっかけを作ってみても、普通に飛ばしていれば収まってしまいます。

ハンググライダーの技術革新は、実は10年ほど前から進んでいません。

しかし、競技などで飛び比べてみると、最近のグライダーは少し前の機体に対して、滑空比は同じものの、明らかに巡航速度が速くなっています。

3~5Km/hほどは速いでしょうか?

これは、私は各メーカーの細かなチューニングの煮詰め、とりわけ、リブの寸法の煮詰めがうまくいっているからかと考えています。

リブが理想的に設定されていれば、それだけピッチも安定し、ウォッシュアウト(ねじり下げ)も減らせるため、理論的に高速グライド性能が良くなる筈です。

リブについては、私はまだまだ改良の余地は残されているように思えます。

(私がメーカーにいたら、いろいろと試してみたいことがあるんですが‥。)

さて、今度はT2Cの低速性能を試してみます。

VGオフでゆっくりベースバーを押して行ってみます。

マッシングの後、一気に風の音が小さくなり、ベースバーのバープレッシャーが急に大きくなって、通常のグライド速度にグライダーが戻りたがろうとします。

それでも更にベースバーを押し出してやると、T2Cはハンマーヘッドストール(頭をストンっと落とす失速)には入らず、沈下速度を増すだけでそのままの姿勢を保ちます。

とても安全性の高いものです。

これはハンググライダーで理想的な失速特性と言え、実は、ウイルスが昔からかたくなに守っているポリシーでもあります。

T2Cはすべての面において、高性能ながら、ウイルスらしくすべてがまとめあげられたグライダーでした。

是非次の自分のグライダーの候補に加えたい‥。そんな気持ちにさせてくれました。

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T2C試乗記 2

2013-06-30 09:24:45 | ハング(hangglider)

たまたまテストフライトの依頼を受けて乗ってみた、ウイルスウイングの最新鋭機T2C。

今回はいよいよフライトレポートです。

Prod_t2_sub2_390_210 最近のグライダーはどれも良く出来ています。

もちろんT2Cもその例外ではありません。

テイクオフしてしばらく飛んでみますが、ロールのコントロールはレスポンスも良く、さりとて、フラフラもしないウイルスらしい、「落ち着きのある軽さ」です。

ピッチの反応もよく、理想的と言えるバープレッシャーの軽さが感じられます。

このT2Cと前作のT2。そのもっとも大きな違いは、リアスパーがカーボンになったことです。

カーボンにした目的は、ロールのコントロールのレスポンスをよくするためと、リーディングエッジの剛性を高めることによる高速性能の向上です。

これらはハンググライダーの高性能化にとっては重要なことですが、しかし、ハンググライダーのリーディングエッジは、固すぎるとコントロールが重くなり、そして、乱流の中では翼が風を吸収しきれずにフラフラする傾向があります。

加えて、低速の粘りもなくなりがちです。

今回のT2Cでは、それらの問題がどのようになっているのかが、個人的にはとても興味がありました。

して、それらの問題なのですが、結果的にすべてうまくまとめあげられていました。

フライトしてしばらくは、このT2Cのリーディングエッジはカーボンであることを忘れていました。

そのくらい柔らかなタッチだったのです。

気を付けると、やっぱりリーディングエッジ全体にわたる「固さ」は感じ取れますが、翼端のチップロッド並びにセール全体が柔らかく風を吸収している感じで、乗り味としては全く翼の固さを感じず、私好みの翼の固さです。

低速の粘りもそれなりにはあり、ピッチのコントロールの幅も、ものすごく広い!とまではいきませんが、それなりにはコントローラブルで、乗りにくさを感じるようなものではありませんでした。

うまくバランスのとれた翼です。

サスガはウイルスウイング。40年の歴史と経験がなければ作り出しえない翼と言えます。

試乗した当日は、たまたま渋い条件の日でしたが、こんな日だったからこそ、このT2Cの高性能を体験する出来事がありました。

まわりにはそれなりの腕をもった他のフライヤーたちも飛んでいたのですが、このT2Cの特性として、サイズが小さい割には旋回中にバンクが食い込む傾向が少なかったため、試しにVGを1/3ほど引いて、ベースバーをもつ手の位置を、目いっぱい外側にオフセットさせて、ハイサイド姿勢をとりながら低速を効かせてセンタリングしてみました。

マンフレットルーマーが良く使うセンタリング方法です。

すると、T2Cは低速でもそれなりに翼を持ちこたえてくれ、沈下速度を抑えながら回ってくれたのです。

渋いサーマルの中でこれをやり続けると、他のフライヤーよりも沈下速度が若干抑えられ、ゆっくりですがガーグルの頂点に上り詰めることが出来ます。

そうして、私のこの日のフライトは、常に人よりも上に位置することが多くありました。

T2Cはその翼の性能を使い切ってやると、素晴らしい「浮き」を見せてくれるのです。

この特性は、コンペにおいて最後まで粘り抜くには有利な特性であることはもちろんですが、タイムを縮める意味でも、ライバルより早くサーマルをトップアウト出来るため、常に有利に競技を進めることが出来ると思います。

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T2C試乗記

2013-06-26 21:31:00 | ハング(hangglider)

かねてより乗ってみたいと思っていた、アメリカはウイルスウイング社のT2C、それも最新の136サイズにとうとう乗れましたので、ちょっと試乗記を書いてみます。

001 この機体は、ハング界の老舗ウイルスウイング社が作り出した最新鋭機!ですが、日本人にとって適正サイズと言える136サイズは、まだあまり国内には出回っていませんね!

今回は、たまたまテストフライトの依頼があったため、試乗することが出来ました。

セットアップ

グライダーケースを開いてみると、ほとんどのセールが黒‥。

今回試乗したのは、一番高い?テクノーラセールオプション機でした。

軽くて伸びがないことが謳い文句のこのセール。

ハンググライダーは白い!なんてのは昔の話‥。

今は黒が全盛期の時代となった感があります。

セットアップは特に変わったところもなく、普通に組み立てられますが、ちょっと注意としてスプログがサイドワイヤーに引っかかりやすいことがあげられます。

もっとも、クロスバーテンションを張るときに、異様に重くなるのですぐに分かりますが‥。

今回の機体は軽量7075バテン仕様ですが、とにかくこのバテンの軽さと言ったら‥。

私の個人機はカーボンバテン仕様ですが、正直言ってカーボン仕様よりも軽い!

カーボンバテンは、いろいろとトラブルが起こる可能性もあることから、むしろ、この「焼き」の効いた7075バテンの方が良いものになると思えました。

そして、セットアップ中一番私の気を引いたのが、翼端のチップロッドの角度調整機構。

スパナ一本で簡単にチップロッドの角度が変えられる機構になっています。

チップロッドは左右のとられ、そして、全速度域にわたってのピッチのバープレッシャーを調整できますが、今までの翼端のカラーを回転させる方法と違い、シンプルに上下方向しか動かないもののため、チューニングが簡単明解!

とても扱いやすくなっています。

セットアップしたグライダーを担いでみると、ウイルスらしく若干のテールヘビーを感じますが、もちろん問題になるようなものではありません。

これならば、ストレスなくテイクオフできそうです。

尚、グライダーを手に入れて一番最初にする儀式、リアスパーの挿入ですが、ちょっとT2Cはムズカシイ‥。

まず、スパーを入れるときは、クレセントスペーサーがずれないように注意して挿入する必要があります。

そして、翼端のセール留めにセールを取り付けるとき、今までと違いT2Cはボルトをスパーのボルト取付け部に挿入し、ナットを締める構造になっていますが、とにかくこの作業がキツイ!

なかなか取り付けられませんが、以下の方法で簡単に行うことが出来ますので心配ご無用。

まず、ノーズ側のセール留め(+スクリュー)を外してしまってください。

次に、問題の翼端部のボルト、ナットを取り付けてください。この時、ノーズ側が外れているため、セールは容易に後ろにずらせるはずです。

翼端が取り付けられたら、次に翼を少し広げて先ほど外したノーズ側の+スクリューを再び取り付けてください。

翼を広げることにより、セールが前に移動していくはずです。

この方法をとれば、それほど問題なく組み立てられる筈です!

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