脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

奈良県のサッカーに振り向く

2009年09月09日 | 脚で語る奈良のサッカー
 9月に入り、奈良県社会人リーグもいよいよ佳境に入ってきている。12チームの各チームが残り2試合~4試合という状況。暫定首位をひた走るのはディアブロッサ高田FCフォレット(9試合消化)。それを僅差で追う2位の大和クラブ(8試合消化)。唯一勝点を20ポイント以上に乗せているこの2チームが県内の覇権を奪い合うのは必至の状況だ。

 奈良県リーグにはプレーオフがある。上位プレーオフとして1位と2位が対戦、そして3位と4位が対戦して、勝利チームが上位プレーオフの敗戦チームと戦う。それぞれの勝利チームは県代表として2チームが府県リーグ決勝大会に出場できる訳だ。
 そう考えると、前述の上位2チームの上位プレーオフ進出は堅いとして、3位、4位争いは非常に混沌としている。勝点3ポイント以内にAtletico、ポルベニルカシハラ、FC TAKADA 2001、FC橿原、FC KICKS 高取、法隆寺FCと6チームがひしめき合う大混戦。消化試合で1試合少ないAtleticoには多少のアドバンテージがある印象だが、なかなか先の読めない展開になってきている。昨季は2チームが関西リーグへの切符を掴んだだけに、次に続くチームが出てくるのかということは非常に興味深いポイント。実績からしてもAtleticoとポルベニルカシハラの2チームが地力でプレーオフの権利を勝ち取るのではないだろうか。

 そういえば、昨日NHK奈良で放送された「ならナビ」という情報番組が非常に面白い特集を組んでいた。奈良クラブの天皇杯出場を引き合いに出し、改めて奈良県内のサッカー事情を考察。一市町村あたりのクラブチーム保有率が0.35と全国最下位であるという現状を浮き彫りにしている。
 昨年の今頃はまだ奈良県リーグを戦っていた奈良クラブ。それを考えれば、10月には天皇杯の舞台でJ1のチームと対戦できる可能性があるというのは、革新的な出来事だろう。これまで奈良県代表が天皇杯でJリーグチームと戦ったのは8年前。奈良産大が鹿島と戦った時まで遡る。天皇杯の大会規定が変わったことも大きいが、地方の街クラブが全国トップレベルのチームと試合ができるのは希であり、それを考えればJチームの2回戦から登場というレギュレーションは、確かに奈良のような“サッカー過疎地域”にとっては有り難い話だ。

 これに続けと、他のクラブチームが関西リーグを目指し、大学、高校のカテゴリーまで含めた奈良県選手権が更なる活気を帯びれば、県内でサッカーをする付加価値は高まる。少なくともNHK奈良がこういった問題提起を番組内で取り上げてくれたこと自体にわずかな前進を感じられた気がするのである。これを機に少しでも多くの人が県内のサッカーに振り向いて欲しいものだ。