脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

久保がいなくても宮吉がいる -京都vs湘南-

2011年11月02日 | 脚で語るJリーグ
 先週の29日(土)に西京極ではJ2第33節が行われ、13位の京都が8位の湘南と対戦。つい3日前の水曜にも震災による延期分で対戦していたこの両者。膠着する試合は宮吉の1点によって決着がついた。これで京都は4連勝。対する湘南は京都に1週間で0-1の2連敗。11位に順位を落としてしまい、10位へと浮上した京都に抜かれる形となった。

 

 前回、水戸戦を観に来て以来となったこの試合。あの後、京都は連敗を喫したもののそれを2でストップ。上位陣の徳島に0-2で敗れたのは痛かったが、続く札幌、大分に連勝すると、水曜日にはアウェイ・平塚で湘南に1-0と勝利。しかもその1点は皮肉にもかつて京都に在籍した田原のオウンゴール。勢いを取り戻した京都はU-18代表招集で久保を欠くものの、湘南を2タテすべくここ4試合で3得点と絶好調の宮吉を軸に据えて守備陣は4バックになっていた。前回観戦した水戸戦に比べると、駒井や伊藤がベンチに下げられており、新たな選手たちが名を連ねている見慣れない布陣。福村、酒井が左右のサイドバックを務め、内野と秋本で中央を形成。中盤は中村充とチョン・ウヨンのボランチコンビに中山、工藤がサイドハーフを務めた。宮吉とコンビを組むドゥトラは前節に続き2試合連続の先発となった。
 対する湘南はミッドウィークの雪辱をと1人もメンバーは変更なし。個人的にも約1年ぶりの湘南を見るのは楽しみであったことで、同席させてもらった湘南サポーターの方から解説を聞きながら試合に見入った。今季から磐田でプレーしていた大井が最終ラインに入り、前線は田原をサポートするように坂本がコンビを組む。注目は昨季特別指定選手ながら11試合に出場したボランチ・永木と昨季の関東学生2部リーグで得点王に輝いた高山。この2人の精力的なプレーで京都へのリベンジを狙った。

 
 かつて京都でもプレーした田原。
 湘南では3シーズン目。昨季は4得点とJ1で苦しんだ。

 
 大阪桐蔭高出身の福村が京都は先発。
 本職の左サイドで2年目とは思えない落ち着いたプレー。

 京都は序盤から丁寧に繋ぎながら湘南の守備をこじ開けようとする。対する湘南も体躯的に前線の起点となり得る田原にボールを集めてチャンスを作りたい。しかし、京都の守備陣がこれを許さない。湘南の守備陣も同じく京都のゴール前の攻撃を弾き返した。

 
 びわこ大から苦心の練習生を経て入団した内野。
 すっかり大木監督の信頼を掴んだ様子。

 
 湘南のGKは今季から加入の西部。
 まだJ2では十分すぎる能力の選手。

 後半に入ってもスコアレスの展開は続く。徐々に両者長いボールを多用するサッカーへ。京都は中村充に代えて加藤を投入。湘南も田原をあきらめ、ルーカスを投入する。運動量の消耗が見られてきた終盤に双方のチャンスが増えてきた。宮吉の至近距離からのシュートが豪快にバーを叩き西京極を沸かせる。82分には岩尾からのパスに抜け出した湘南・ルーカスが大きなチャンスを迎えるが、ここは京都GK水谷がファインセーブで切り抜けた。

 
 湘南のアジエルは相変わらずキープが上手い。
 なかなかボールを取られないが決定機には絡めず。

 
 京都は宮吉がこのビッグチャンスを決められない。
 しかし、裏を取る動きは「13」の継承者に相応しいのかも。

 1点を争う試合は86分に動く。工藤のパスを受けた宮吉が湘南の守備陣を突破し、左足で正確にシュートを決める。完璧なシュートコースで決まった得点は京都の勝利を確定させるに相応しい1発だった。その後最後まで京都が守り切り、順位逆転に重要な試合を制した。

 
 
 
 
 
 
 華麗な1発を見せた宮吉の決勝点。
 今季は序盤戦は不調に喘いでいたが、ここに来て爆発中。

 当初は、駒井や伊藤らの台頭もあって、ヤングパワー著しい京都だったが、そのヤングパワーを発揮しているのは彼ら下部組織出身の選手だけではない。この日先発出場した福村や内野も十分京都の主軸として相応しいプレーを見せていた。何よりもパスセンスに長けた工藤の復帰という大きなプラス要素もあって、選手層の厚みと繋ぎという点でサッカーの幅が増した印象だ。これで久保が帰還して仕事をし続ければ、残り5試合は相当来季へ向けた前進が見せられるのではないだろうか。
 対する湘南は、1点に泣いた。少し後半に入って運動量がダウンした印象が強かったが、それでもルーカスの投入はその1点を先に奪える大きな分水嶺だった。京都GK水谷の気迫もあってかあと一歩及ばなかったようだ。京都の2連戦以前、湘南は3試合で10得点1失点という好内容だっただけに、これは悔しい2連敗となった。


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