シーズン38試合を戦わなければならないJ2は、第23節を迎えていよいよ中盤戦(延期分未だ未消化の試合あり)だ。7月31日には西京極でホームの18位・京都が今季J参入を果たした14位・鳥取と対戦。後半、セットプレーから秋本が挙げた1点を守り切り、京都が勝利を収めた。
今季、4度目のJ2降格を機に、大木監督と祖母井GMをチームに迎えてチーム一新を図る京都。大幅に主力選手がリファインされ、京都の試合が今季初観戦となるこの試合でも未見の選手が数多くいた。その京都は、GK水谷をはじめ、森下、秋本、酒井の3バックに、アンカーでチョン・ウヨンを置き、トップ下に内藤、左右に安藤、駒井。そして3トップを伊藤、ドゥトラ、中山で組んでいる。この3試合は1勝1分1敗と悪くないだけにある程度このメンバーも固定されている模様。右ウイングの伊藤が出場停止から復帰し、3ポイントをしっかり取って鳥取にポイントに並びたいところ。ベンチにも今季二種登録で活躍する久保をはじめ宮吉、加藤、内野という若手が控え、ディエゴやアライールといった主力外国人選手も今季はまだ活躍できていない。まだ十分中位から上位浮上へのチャンスは残っているだけにここからが勝負か。
対する鳥取もJ参入以降、序盤戦は好調だったが、中盤戦にかけて黒星が増えてきた。4試合勝ち星に見放された状況から前々節の草津戦では5-0と爆発。前節は徳島に完封負けを喫するなど、健闘はしているものの波はある状態。この試合は草津戦でハットトリックの活躍を果たした美尾が前節に続き欠場し、ジョン、加藤、戸川、奥山の4バックに服部、実信のセントラルMF2人に、小井手、鶴見が左右の両翼、そして前線ではハメドと阿部が2トップを組んだ。
ホームとアウェイのサポーター席が入れ替わった西京極。
なかなか雰囲気が変わっていた。
前回の対戦時は2-1で鳥取に軍配が上がったこのカード。試合は京都がサイド攻撃を有効に使い鳥取ゴールを脅かす展開に。特に印象に残ったのは、京都の伊藤、駒井のU-18からの昇格コンビとチョン・ウヨンという初見の選手。伊藤はスピードを活かして右サイドを席巻。何度もゴール前にチャンスボールを放り込んだり、ドリブルで切り込んだ。特に12分のドゥトラへのクロスはサイドライン際を鳥取の奥山をぶち抜いてのプレー。最後は惜しくもドゥトラがシュートを外したが、ファーストタッチで自分の形勢を作ってしまう彼のプレーは前半最も大きな決定機に繋がった。駒井はかなり中央に寄ってプレーすることが多かったが、リスタートの速さやセットプレーのこぼれ球など反応が速い。加えてポジショニングが良く、18分には秋本のヘッドのこぼれ球に最も早く反応して相手の守備を置き去りにする場面があった。後述するが後半にも真骨頂というドリブルシュートの場面がみられるなど、伊藤と駒井のドリブルでの仕掛けは京都にとっての大きな武器。そして、それを1列後方で支えるチョンはCKのキッカーとしてチームのチャンスに貢献すると同時に、バイタルエリアまでの潰し役として存在感を発揮していた。
京都・ドゥトラvs鳥取・ジョンのマッチアップ。
京都は今季からこれまで以上に安藤が司令塔として君臨。
安藤と並んで京都の攻撃を組み立てるのは中山。
前半は0-0で折り返す形になったが、徐々にペースを掌握する京都を相手に鳥取は守備面で集中していた。10番を背負う実信も最終ライン付近まで下がって守備に加わる。なかなか高い位置での守備が効いていなかったこともあり、押し上げられていない時間が多かったが、前半5本に及ぶ京都のCKを許しながらもGK小針を中心に良く守っていた。しかし、攻撃面で阿部やハメドがなかなか良い形でボールを触れず、ハメドがかなりボールを欲してポジションを下げてしまう場面が見受けられた。それだけに32分、ハメドの速いスルーパスが小井手に渡り、クロスを入れて京都の守備を崩したところは得点に結びつけたかったところ。阿部のヘッド、そのこぼれ球に反応した鶴見のシュートが相手にかろうじてブロックされたのは痛かった。
長年、風貌変わらぬ元ユース代表、鳥取の守護神・小針。
小井手は32分に京都の守備をクロスで崩したが…
今だに現役の服部。美尾に代わってプレスキッカーも務めた。
後半、開始から京都はドゥトラに代えて、ここまでリーグ5得点を挙げている17歳の久保を投入。ドリブルで序盤からチャンスを作った。京都は前半から武器になったCK獲得の数でチャンスを作った。60分にチョンの左CKから安藤が合わせてゴールを肉薄すると、その直後の右CKから今度はチョンのキックにDF秋本が右足で合わせて先制点をもぎ取った。京都はこのCKが8本目。鳥取の守備をなかなか崩せないでいた京都にとってこのCKの数は幸いした。
このチョンのボールが落ちてきたところに秋本が合わせる。
秋本は甲府から今季加入。得点力が高い。
京都の最終ラインを担うルーキーの酒井。
64分には中盤で相手からボールを奪った京都・駒井がドリブルから惜しいシュートを放つ。本当に彼と伊藤の昇格コンビは、昨季まで注目されていた同級生・宮吉の存在が薄くなるほどの強烈なインパクトだ。対して鳥取も65分に梅田、73分には岡野と高さ・スピードを活かした選手を次々と投入するが、京都の守備を崩せない。69分には小井手の絶妙のパスを受けたジョンがわずかにシュートミス。73分には鶴見の左からのシュートが枠を捉えるが、わずかに京都・GK水谷のセーブに阻まれた。
結局、試合は1-0でホームの京都が辛勝。これで京都は鳥取に勝点19ポイントで並んだ。鳥取は悔しい連敗となった。
鳥取、最大の決定機。
73分、鶴見のシュートはかろうじて水谷のセーブに遭う。
岡野の韋駄天ぶりは健在。
何度かサイドをぶっちぎった。
鳥取・ハメドが京都・チョンの厳しいマークに苦しむ。
順位こそ下位争いながら、J2はまだまだこれからが勝負どころ。数試合の勝点の積み重ねで順位は激変する。そういう意味では、伊藤、駒井、久保、宮吉と攻撃的なポイントに17~18歳の将来有望な選手を揃えてじっくり育成している点は興味深いし、今後が非常に楽しみ。また彼らが下部組織出身ということでチームへの忠誠心や愛着も今後彼らの大きな起爆剤になりそう。久々にプレーを見たハウバート・ダンや大卒ルーキーの内藤、酒井といった面子が今後の中心選手になっていく光景が想像できた。
対する鳥取もJ1年目ながら、昨季までのJFLからそれほどメンバーを変えずに健闘しているといえる。チーム総得点こそ物足りないものの、守備面では総失点数が19下位グループでは突出して奮闘している。かつてG大阪に在籍したドドあたりの活躍(個人的に是非見たい)で得点力を伸ばせば、上位進出も狙えるかもしれない。
今季、4度目のJ2降格を機に、大木監督と祖母井GMをチームに迎えてチーム一新を図る京都。大幅に主力選手がリファインされ、京都の試合が今季初観戦となるこの試合でも未見の選手が数多くいた。その京都は、GK水谷をはじめ、森下、秋本、酒井の3バックに、アンカーでチョン・ウヨンを置き、トップ下に内藤、左右に安藤、駒井。そして3トップを伊藤、ドゥトラ、中山で組んでいる。この3試合は1勝1分1敗と悪くないだけにある程度このメンバーも固定されている模様。右ウイングの伊藤が出場停止から復帰し、3ポイントをしっかり取って鳥取にポイントに並びたいところ。ベンチにも今季二種登録で活躍する久保をはじめ宮吉、加藤、内野という若手が控え、ディエゴやアライールといった主力外国人選手も今季はまだ活躍できていない。まだ十分中位から上位浮上へのチャンスは残っているだけにここからが勝負か。
対する鳥取もJ参入以降、序盤戦は好調だったが、中盤戦にかけて黒星が増えてきた。4試合勝ち星に見放された状況から前々節の草津戦では5-0と爆発。前節は徳島に完封負けを喫するなど、健闘はしているものの波はある状態。この試合は草津戦でハットトリックの活躍を果たした美尾が前節に続き欠場し、ジョン、加藤、戸川、奥山の4バックに服部、実信のセントラルMF2人に、小井手、鶴見が左右の両翼、そして前線ではハメドと阿部が2トップを組んだ。
ホームとアウェイのサポーター席が入れ替わった西京極。
なかなか雰囲気が変わっていた。
前回の対戦時は2-1で鳥取に軍配が上がったこのカード。試合は京都がサイド攻撃を有効に使い鳥取ゴールを脅かす展開に。特に印象に残ったのは、京都の伊藤、駒井のU-18からの昇格コンビとチョン・ウヨンという初見の選手。伊藤はスピードを活かして右サイドを席巻。何度もゴール前にチャンスボールを放り込んだり、ドリブルで切り込んだ。特に12分のドゥトラへのクロスはサイドライン際を鳥取の奥山をぶち抜いてのプレー。最後は惜しくもドゥトラがシュートを外したが、ファーストタッチで自分の形勢を作ってしまう彼のプレーは前半最も大きな決定機に繋がった。駒井はかなり中央に寄ってプレーすることが多かったが、リスタートの速さやセットプレーのこぼれ球など反応が速い。加えてポジショニングが良く、18分には秋本のヘッドのこぼれ球に最も早く反応して相手の守備を置き去りにする場面があった。後述するが後半にも真骨頂というドリブルシュートの場面がみられるなど、伊藤と駒井のドリブルでの仕掛けは京都にとっての大きな武器。そして、それを1列後方で支えるチョンはCKのキッカーとしてチームのチャンスに貢献すると同時に、バイタルエリアまでの潰し役として存在感を発揮していた。
京都・ドゥトラvs鳥取・ジョンのマッチアップ。
京都は今季からこれまで以上に安藤が司令塔として君臨。
安藤と並んで京都の攻撃を組み立てるのは中山。
前半は0-0で折り返す形になったが、徐々にペースを掌握する京都を相手に鳥取は守備面で集中していた。10番を背負う実信も最終ライン付近まで下がって守備に加わる。なかなか高い位置での守備が効いていなかったこともあり、押し上げられていない時間が多かったが、前半5本に及ぶ京都のCKを許しながらもGK小針を中心に良く守っていた。しかし、攻撃面で阿部やハメドがなかなか良い形でボールを触れず、ハメドがかなりボールを欲してポジションを下げてしまう場面が見受けられた。それだけに32分、ハメドの速いスルーパスが小井手に渡り、クロスを入れて京都の守備を崩したところは得点に結びつけたかったところ。阿部のヘッド、そのこぼれ球に反応した鶴見のシュートが相手にかろうじてブロックされたのは痛かった。
長年、風貌変わらぬ元ユース代表、鳥取の守護神・小針。
小井手は32分に京都の守備をクロスで崩したが…
今だに現役の服部。美尾に代わってプレスキッカーも務めた。
後半、開始から京都はドゥトラに代えて、ここまでリーグ5得点を挙げている17歳の久保を投入。ドリブルで序盤からチャンスを作った。京都は前半から武器になったCK獲得の数でチャンスを作った。60分にチョンの左CKから安藤が合わせてゴールを肉薄すると、その直後の右CKから今度はチョンのキックにDF秋本が右足で合わせて先制点をもぎ取った。京都はこのCKが8本目。鳥取の守備をなかなか崩せないでいた京都にとってこのCKの数は幸いした。
このチョンのボールが落ちてきたところに秋本が合わせる。
秋本は甲府から今季加入。得点力が高い。
京都の最終ラインを担うルーキーの酒井。
64分には中盤で相手からボールを奪った京都・駒井がドリブルから惜しいシュートを放つ。本当に彼と伊藤の昇格コンビは、昨季まで注目されていた同級生・宮吉の存在が薄くなるほどの強烈なインパクトだ。対して鳥取も65分に梅田、73分には岡野と高さ・スピードを活かした選手を次々と投入するが、京都の守備を崩せない。69分には小井手の絶妙のパスを受けたジョンがわずかにシュートミス。73分には鶴見の左からのシュートが枠を捉えるが、わずかに京都・GK水谷のセーブに阻まれた。
結局、試合は1-0でホームの京都が辛勝。これで京都は鳥取に勝点19ポイントで並んだ。鳥取は悔しい連敗となった。
鳥取、最大の決定機。
73分、鶴見のシュートはかろうじて水谷のセーブに遭う。
岡野の韋駄天ぶりは健在。
何度かサイドをぶっちぎった。
鳥取・ハメドが京都・チョンの厳しいマークに苦しむ。
順位こそ下位争いながら、J2はまだまだこれからが勝負どころ。数試合の勝点の積み重ねで順位は激変する。そういう意味では、伊藤、駒井、久保、宮吉と攻撃的なポイントに17~18歳の将来有望な選手を揃えてじっくり育成している点は興味深いし、今後が非常に楽しみ。また彼らが下部組織出身ということでチームへの忠誠心や愛着も今後彼らの大きな起爆剤になりそう。久々にプレーを見たハウバート・ダンや大卒ルーキーの内藤、酒井といった面子が今後の中心選手になっていく光景が想像できた。
対する鳥取もJ1年目ながら、昨季までのJFLからそれほどメンバーを変えずに健闘しているといえる。チーム総得点こそ物足りないものの、守備面では総失点数が19下位グループでは突出して奮闘している。かつてG大阪に在籍したドドあたりの活躍(個人的に是非見たい)で得点力を伸ばせば、上位進出も狙えるかもしれない。
コメントありがとうございます。
そういえば、この試合にディエゴは観戦に来ていましたよ。アライールと肩を並べてメインスタンドで観戦していました。どうやら再来日はしているようなので、帰国した時は退団前提なのかなと思いましたが、また少し状況は変わってきているのかもしれません。ただ、思ったよりもフィットしてないみたいですね。
最後のご質問には、駒井と伊藤としか答えるしかありません。どちらも右サイドであれだけチャンスメイクに絡める活きの良い若手は関西では稀有なコンビでしょう。かなり得点の匂いもしますしね。ちょっとこれからちょくちょく覗きに行きたいと思わせてくれる選手たちです。
コメントありがとうございます。
ディエゴ、浮いている感はスゴく感じますね…そこそこ京都でも長くやってますし、彼がボールを持った際の推進力は京都の攻撃面で頼りになっていたんですがね。どうなるのでしょうか。
しかし、あれだけ若手にチームを託していると、ディエゴのプレーは相反するものにもなりかねませんね。もう大木監督の構想下にはないのかもしれません。