脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

ガンバ欠乏症出てます ~TM大阪学院大戦~

2008年06月14日 | 脚で語るガンバ大阪
 中断期間によるG大阪欠乏症の蔓延は、万博練習場に訪れた多くのファンの姿がそれを如実に物語った。気持ちよく晴れ、おそらく30度近い夏の陽気に関わらず、久々に彼らの実戦を一目観るべくおよそ500人ほどの観衆が集まっただろうか。チームも当初は通常練習だったこの土曜を公開のTMにするとは粋な計らい。水曜に本来予定されていたTMがそれに代わって非公開となった。

 

<G大阪メンバー>
GK藤ヶ谷(HT=松代)
DF加地、中澤(HT=植田)、福元、安田理
MF二川(60分=星原)、明神(HT=武井)、橋本(60分=安田晃)、ルーカス(60分=岡本)
FW平井、バレー(60分=下平)
※後半15分から平井、岡本の2トップに。安田理が1列上がり、下平が左SBに。山口、倉田、ミネイロ、佐々木、山崎は別メニュー

 相手が同じ吹田市内の大阪学院大と馴染みの練習試合相手ながら、時にこういった大学生チームは、“あわよくば”プロの指揮官のお眼鏡に適おうと、なかなか骨のあるプレーをすることが多い。そういった意味では、今日の大阪学院大はもっとピリッとしてもらいたかったのが本音である。試合開始直後のファーストプレー、バレーのパスを受けた平井がいきなり先制点を決める。これで大方流れが決まった。26分には左サイドを安田理がドリブルで突破、一人をかわして中に切れ込んで強烈なシュートを叩き込み追加点。どうやら五輪代表滑り込み招集に向けて焦っているらしく、ケガから復帰して間もないながら、存分にこの場面は安田理の良さが出た。42分にはハーフライン付近からのパスにバレーが反応してそのまま流し込み3-0とする。

 

 ルーカスとバレーを2トップで並べ、平井を中盤に下げて、植田と武井が投入されて始まった後半。51分にはルーカスの中央からのパスをバレーが受けてそのまま持ち込みあっさり流し込んで4-0。その3分後には、再びルーカスとの華麗な浮き球パス交換から最後はバレーが豪快に決めて5-0とした。ハットトリックのバレーは中断期間でかなりリフレッシュできたのだろう。この調子で再開後もゴールを量産してもらいたい。相変わらずルーカスとのコンビも上々で、前半再三相手の高いラインにオフサイドを連発していたが、それを忘れさせてくれる及第点の活躍ぶりだった。60分から4人が途中投入され、加地、安田理以外はほぼサテライトメンバーで臨んだ30分間。大学生もメンバーを替えたことで、必然的にポゼッションはG大阪に傾いたが、64分に武井からのパスを岡本が胸トラップから巧くコントロールしてシュートを決める。その3分後には左からの展開に星原が中央でボールを受け、シュートを決めるとその後は得点は生まれず。結局7-0というスコアでこの日のTMを締め括った。
 
 ルーカス、バレーは上々、先制点を奪った平井も積極的に仕掛け、この練習場での輝きを公式戦のピッチにも持ち依ってもらいたいなと思わせてくれる。それほどここでの平井はいつも良い動きをしているのだが、再開後トップでの出場をどれだけ掴めるか。
 中盤は、簡単に繋ぐ場面が目立った。二川とルーカスが前線のサイドに時折顔を出してはボランチから一気に、といった流れも多く、特にそういう意味では加地がほとんど目立たない前半となった。その加地だが、後半は疲れからか凡ミスも連発。パス交換で周囲と呼吸が合わない場面や、簡単に相手FWのプレスに間合いを詰められて“あわや”という場面も。武井は相変わらずマルチな才能を発揮、パスとポジショニングの良さが光る守備で持ち味を見せた。後半入った安田晃は展開力を時折見せたが、まだフィジカルがプロのレベルに及んでいない。ボディコンタクトでは苦しい局面が多々あった。
 守備面では前半から大学生相手ながらも福元のミスが目立つ。フィードは粗く、1対1の場面で後手の対応をとってしまい、あっさり抜かれるなど“らしくない”プレーを連発していた。中澤はすっかりこのメンバーではDFラインのリーダーとなっている。良くコーチングの声を出しているし、大学生相手ではほぼ競り負けることはない。無難な出来で層の厚いこのポジションの死守をアピールしていた。後半大阪学院大の運動量が一気に落ち、ワンサイドゲームになったので、守備面では特に見所はなかった。

 藤ヶ谷も安定したセービングで、完全回復ぶりをアピールし、7-0というスコアも大学生相手とはいえ、とりあえずはガンバ欠乏症に喘ぐ観衆の心を満たせたか。しかし、25日から再開するリーグ戦、そしてナビスコ杯、ACLと新たに過酷な戦いは待ち受けている。おまけに遠藤が北京五輪のOA枠で招集濃厚ということで、ファンの心中は穏やかではないかもしれない。

 このガンバ欠乏症は、これまでの今季の低調な戦いぶりを、再開後の爆発によってどこまで忘れさせてくれるかに懸かっているだろう。タイトル獲得に向けてエクスキューズは効かなくなってくる。負けられない夏場の戦いがまもなく始まる。


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