脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

川崎という壁、川島という壁

2009年07月01日 | 脚で語るガンバ大阪
 つい先週、アジアの覇権を懸けた戦いで対峙したG大阪、川崎の2チームは、そのACLの日程上、順延されていたJ1第10節で再び顔を合わせた。リベンジを懸けて4位・川崎に挑んだ5位・G大阪だったが、0-1で惜敗。勝利した川崎は6連勝で2位に浮上。首位・鹿島は名古屋に3-0で首位の強さを見せつけ、彼らを中心とした上位陣に大きく差をつけられてしまう敗戦となった。

 あの優勝を決めた05年から数年、等々力はG大阪にとって鬼門と化している。シュート数も決定機もG大阪の方が上だった。しかし、川崎のスペースを与えない堅固な守備の前にことごとく攻撃が封殺された。久々の勝利となった3日前の横浜FM戦の勢いは、この大事な一戦では勝利に繋がらなかった。

 試合の最大のハイライトは、53分の遠藤のPK失敗だった。代表チームで同じ釜の飯を食う相手GK川島に完全にコースを読まれ、完全に防がれた。その直後には直接FKでもゴールを強襲するが、川島に華麗な横っ飛びで弾き出されてしまう。この試合、5本のシュートを見舞った遠藤がゴールの歓喜を味わうことはなかった。
 レアンドロ・チョジェジンの2トップもほとんど仕事をさせてもらえず。この2人のシュートはレアンドロの1本のみ。ボールを持った途端に相手DFに囲まれ、ボールロストしてしまう場面も度々見られた。代わりに橋本や明神、そして二川がゴールを狙うもののネットを揺らすことができなかった。先週のACLで采配が遅れた悔恨からか、早めの63分に播戸と佐々木を同時投入し、リズムを傾かせることはできたが、肝心の1点は遠かった。
 
 川崎が強いのか、それともG大阪が弱くなったのか、と聞かれれば、おそらく答えは両方なのだろう。“勝負強さ”で明らかな差が見えた川崎との2連戦。G大阪にとっては、現状布陣の力の限界を少なからず感じてしまう試合となってしまった。対して川崎は、試合ごとにCBユニットや中盤の選手を入れ替えたり、この試合でも今季3試合目の出場となる養父がゴールを決めるなど、若手を中心にバックアップメンバーが先発争いに名を連ね、良い競争ができている。本来ならば、G大阪もバックアッパー陣の下からの突き上げに試合ごとのメンバーを試行錯誤するほどの転換期を迎えなければいけないはずなのだが。相変わらず指揮官の中には、自身のベストメンバーへの信頼感は揺るぎないようだ。

 とうとう“暫定”が取り払われ、順位表では全18チームの足並みが揃った。首位・鹿島との勝点差15ポイントよりも、14位・神戸との勝点差わずか6ポイントという数字の方が気になる。ミドルゾーンが団子状態だけに、まさに“一寸先は闇”ともいえる状況。今後の戦いぶりでは順位が一気に下がることもあり得る。リーグ制覇うんぬんはさておき、まずは現実問題として、目の前の試合を勝つことの方が大事だといえる。


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6 コメント

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同感です (ぱぴぷぺ)
2009-07-02 00:23:44
冷静な分析に感心しました。
監督の一途な序列(?)が選手の疲弊とサブの突き上げ潰しを生んでいるのではないでしょうか?
3冠など夢のまた夢…勝てないワンパターンサッカーですから、修正もありませんし…。
いつの間にか降格争いに巻き込まれ…みたいなことも現実味を帯びてきてます。
昨年も同じ負け方…今年はもっと確実にやられています。
一つ一つ目の前の試合を勝つことだけなんでしょうが、戦術、メンバーが固定されている現状では、スタメンのコンディションや試合勘が上がることしか勝つ要素がないですね…采配で勝つことはありえませんし。
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また来ました。 (はるな)
2009-07-02 00:34:33

等々力行ってきました。

ガンバは変わらなきゃダメな気がします。もっと若手を使おうよ、って思います。

優勝どうこう言うより、本当に目の前の試合を勝つことだけ考えてほしいですね。
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痛い! (プーマン)
2009-07-02 00:41:58
この敗戦は痛い!
先週の負けでアジアの頂点を取るチャンスを逸しこの前のマリノス戦の勝利でリーグタイトルに向かってのリスタートをきったはずやったんやけど…
川崎はこの前の勝利でだいぶ自信がついたような感じしますね。
レナチーニョ、黒津の契約問題も解決したみたいやし。ちょっとテセが調子悪いみたいやけど養父が活躍してるしね。
とにかく次の名古屋戦からは一戦必勝!って感じで行くしかないですね。
鹿島もアジア取れないからリーグに集中できるし今日の勝ち方みても死角はあまりないみたいやしね。
それよりカイオ・ジュニオールの辞任は突然やったですね。
ついにオイルマネーは選手のみならず現役監督にまで及ぶとわね。
けど和田には期待したいですね。
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Unknown (脚角)
2009-07-02 01:33:00
>ぱぴぷぺさん
コメントありがとうございます。

そうですね。
今季はもう完全にガンバに対する守り方を他のチームも構築していて、攻撃の手詰まりの際の閉塞感は近年希に見る状況だと思います。
レアンドロの欠場時に点が取れなかったのはそれを裏付けることでもあると思いますし。

おっしゃるように、監督の一途な序列構想をひっくり返さないとマズい状況だと思うのですが、おそらく監督からすれば、バックアッパーが先発争いできるレベルにないという考えなのでしょう・・・
負傷者の復帰間もない現状では、確かに先発陣の試合勘の持ち直しが頼りですが、なんとなく未来が見えない不安感が漂います・・・
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Unknown (脚角)
2009-07-02 01:37:01
>はるなさん
コメントありがとうございます。

現地観戦お疲れ様でした。
非常に蒸し暑かったのではないでしょうか。BSで観ている限り、選手の汗が前半からかなりの量だったので、高湿度なコンディションは良く伝わってきていました。

本当に変わらないといけない状況ですね。川崎との2連戦はそれを切に感じさせてくれましたし、鹿島、新潟、川崎、浦和・・・と順位が上のチームにはことごとく勝てていません。
とにかく今季は無冠も覚悟で1試合1試合を大事に戦いたいところです。
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Unknown (脚角)
2009-07-02 01:43:47
>プーマンさん
コメントありがとうございます。

プーマンさん、気のせいか川勝さんみたいな語り口になってきているような気がしますが・・・w

それはさておき、鹿島がリーグ3連覇に早々に目標を切り替えたのも含めて、勝点差も考えると、リーグは非常に厳しい状況ですね。
川崎は本当にチームがノッている印象を受けましたし、養父だけじゃなく、田坂や菊地、横山や登里なども出番を掴んでおり、ガンバと対照的に見えます。
名古屋戦も難しい戦いになるのではないでしょうか。これに負けることがあれば、監督も考えを改める機会だと思います。

神戸の件は驚きでしたが、和田には頑張って欲しいですね。おそらく暫定的に指揮を執る感じなんでしょうけど、オールドファンにはつい反応してしまう話題でした。
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