脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

これが本場のジャイアントキリング ‐FAカップ‐

2010年01月05日 | 脚で語る欧州・海外
 日本でジャイアントキリングといえば天皇杯だが、新年を迎えて日本のプロサッカーシーズンは終了。イングランドでは「本場」のジャイアントキリングが醍醐味となるFAカップの戦いが熱を帯びている。
 その中、オールドトラッフォードで本選3回戦であるマンチェスター・ユナイテッド戦に臨んだフットボールリーグ1(3部に相当)に所属するリーズ・ユナイテッドが1-0で勝利し、4回戦に進出するというジャイアントキリングが起こっている。破れたマンチェスター・ユナイテッド、3回戦でのFAカップ敗戦は1984年以来だというからリーズの大仕事は大いに脚光を浴びていることだろう。
 
 そういえば、J SPORTSにて放送されている「ENG」(Emglish News Gathering)にて現在FAカップの特集がされており、かなり胸が熱くなった。予備選から出場する9部や10部に相当するノンリーグのチームたちに注目し、その奮闘ぶりを追いかけている。ノンリーグのアマチュア選手たちにとってFAカップの本選に出場できることほど栄誉なことはない。

 今季で129回目を迎えるFAカップは、世界最古のフットボールトーナメントとして世界に広く知られているが、その予備選には実に762チーム(09-10シーズン)ものフットボールクラブがエントリーし、その予備予選を勝ち抜いた32チームのノンリーグのチームが3部に相当するフットボールリーグ1までのプロリーグの48クラブと共に本選1回戦を戦うことになる。前述したマンチェスター・ユナイテッドのようなプレミアリーグ勢と2部に相当するチャンピオンシップ勢の計44チームは本選3回戦からの登場となる。予備予選の戦いは8月に始まり、ウェンブリーで行われる伝統の本選決勝戦は5月に行われている。

 今季は8部に相当するサウザン・プレミアリーグ1サウス&ウエストに所属するポールトン・ローヴァーズFCが最も下位のリーグに所属するクラブとしてFAカップ本選1回戦出場を果たした。本選1回戦の相手はフットボールリーグ1(3部)のノリッチ・シティということもあって、小さなクラブを抱える小さなポールトンの街はささやかな活況を呈したようだ。つまり、本選1回戦に進出したことによって、テレビの放映権が与えられたのだが、それに準拠するためのスタジアム審査やユニフォームスポンサーと引き合いにチームを率いるA・ジョーンズ監督の携帯電話が鳴りっ放し。結果的に0-7でノリッチに完敗を喫するポールトンだったが、この本選1回戦出場で得た収益が日本円で約2,200万円にも及んだという。これはポールトン・ローヴァーズFCの前年度予算の6倍に達する額だそうだ。それはFAカップ本選を目がけてノンリーグのアマチュア選手たちは目の色を変えるわけである。選手たちは全員パートタイムながらこの本選に進める32チームのノンリーグ勢の枠を狙ってシーズンのトップコンディションを狙うのである。

 そういえば、04年にフットボールリーグ1に所属するミルウォールがファイナルに進出して大きな話題を呼んだ(結果は0-3でマンチェスター・ユナイテッドに敗戦)。ノンリーグ勢は本選4回戦進出が非常に困難だが、フットボールリーグ1、リーグ2勢にはまだまだチャンスはあるはず。リーズに続くジャイアントキリングが今大会で今後も見られるだろうか。FAカップが面白くなってきた。