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脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

スタンフォードブリッジ不敗神話崩れる

2008年10月29日 | 脚で語る欧州・海外
 プレミアリーグ開幕から8試合で、ともに6勝2分けと好調を維持してきた、チェルシーとリバプールの首位対決は、1-0でリバプールに軍配が上がった。これでチェルシーが2004年から続けてきたホーム、スタンフォードブリッジでの無敗記録は86試合でストップすることになった。

 開始9分、リバプールのシャビ・アロンソのミドルシュートを狙う。放たれたシュートはチェルシーのボシングワをかすりコースが変わった。名手チェフの目測をよそにボールはゴールに吸い込まれ、ゴール裏のリバプールサポーターの歓喜がこだました。チェルシーにとってはアンラッキーな失点だったが、相手のスローインからFWカイトが中に折り返したボールへのクリアが中途半端になり、エリア前の位置からシュートを許した。リバプールにとっては、昨季のチャンピオンズリーグ準決勝の雪辱もあったことだろう。最も手強いライバルにホームでの不敗神話は崩されることになった。

 ミッドウィークのチャンピオンズリーグをこの敗戦の言い訳にすることはできない。リバプールは、チェルシーと違って、マドリードまで遠征して戦っている。ともに万全のチーム状態ではないが、このタイミングで迎えた無敗同士の首位対決は必然だった。
 チェルシーは、やはりJ.コールの不在が悔やまれた。カルーを右に配置し、4-1-4-1の布陣を敷く現在のフォーメーション。この試合でチェフとカルバーリョが復帰、前節のミドルスブラ戦の大勝は少なからずもチームに現有戦力での自信を与えていた。そしてミッドウィークのローマ戦も手堅く勝利。ベストメンバーではないものの、確実に勝てるという自信はあったはずだ。
 しかし、リバプールほどの相手になれば、そのロジックは易々とは通用しない。徹底的に粘る彼らの守備の前に屈してしまうことになる。中央を完全にシャットアウトされ、サイドからのクロスを誘発させるリバプールの戦い方は、中央に高さが不足しているチェルシーにとっては攻略が難しいものとなった。

 やはり、マンチェスター・Uすら手玉にとったリバプールは侮れない存在だった。このリバプール戦の敗戦はおそらくプレミア序盤戦のターニングポイントになるだろう。おまけにこの敗戦で、ポイントで昇格1年目のハルシティが並ぶ結果になった。1ポイント差でその下からアーセナルが追いかける。

 記録はいつか破られるか、止まるものだ。決して悪い試合だった訳ではない。その相手が最も因縁を感じるリバプールだけあって、数日経った今、冷静に考えれば納得がいく。今季の“レッズ”は覇権奪回を狙うブルーズにとっては最も手強い相手になった。ビッグ3との対戦は全てホームで戦わなければいけない今季、スコラーリの手腕よりも問われるのは、チーム全体でリーグを獲りにいくことだ。

ここが試練、A・マドリー

2008年10月14日 | 脚で語る欧州・海外
 14日、UEFAチャンピオンズリーグのグループステージ第2節A・マドリーVSマルセイユ(10月1日分)において、暴力行為と人種差別行為があったとして、A・マドリーに対して15万ユーロ(約2,100万円)の罰金と残りホームゲームの遠隔地開催が罰則として科せられることが決まった。

 好調さをアピールするチームにとって非常に残念な話題だ。12シーズンぶりのチャンピオンズリーグの舞台に戻ってきたA・マドリー。緒戦のPSV戦をエースであるアグエロの2ゴールとマニシェのゴールで粉砕。続くマルセイユ戦は長年待ちに待った欧州最高峰の舞台にホーム、ビセンテ・カルデロンが熱狂に湧いた。試合はアグエロの開始早々の先制点にラウル・ガルシアがFKを直接決める展開で、前半から流れを決めた。

 その2節の試合の中で、サポーターによる暴力行為と人種差別行為があったようだ。対戦相手のマルセイユには、アフリカを中心に多数の黒人選手が在籍し、この試合唯一のゴールもセネガルのニアングによるもの。確かに2節の試合の中でも12シーズンぶりにアンセムに沸き返るビセンテ・カルデロンは印象的だった。沸き返る熱狂が応援を盲目的にしてしまった。今季6節終了時点でスタートダッシュにぐずついたリーガでの戦績(現在3勝3敗)を考えると、連勝で華々しいカムバックを遂げた欧州の舞台はサポーターにとって、大きな希望になっているはずなのだが。

 サポーターの熱狂が生み出してしまった大きな過ち。チームは今後、ホームタウンのマドリードから最低300キロは離れた遠隔地での試合を余儀なくされる。次節の相手は同じくグループDにおいて、連勝スタートと波に乗るリバプール。最も強敵と対峙する試合で、このハンディキャップを背負うことは確実にチームの命運を左右してきそうだ。真価を問われる大一番を前に、12シーズンぶりに欧州最高峰の舞台に帰ってきた古豪が窮地に立たされた。

 まだ、グループステージは残り4試合。順風満帆なエース、アグエロを中心にセンセーショナルな連勝を見せた彼らのスタートダッシュはサポーターの不祥事によって、一旦チャラになったと言って良いだろう。決して油断のできない戦いが続く中で、この試練を乗り越えればA・マドリーにもまだ光は見えそうだ。

08-09カルチョ序盤戦に思う

2008年10月10日 | 脚で語る欧州・海外
 今季のセリエA。毎年のようにインテル、ミラン、ユベントスを中心としたビッグクラブがスクデット争いの話題を独占する中、6節を終えた序盤戦は首位を走るラツィオをはじめ、ウディネーゼ、パレルモあたりが元気だ。

 欧州タイトルとの“掛け持ち”で、ここ数年元気の無いイタリア勢は、確かにプレミアリーグの隆盛に押されている。インテルは、カルチョを3連覇しながら、ビッグイヤーには全く縁が無い。その欧州王座が良く似合うミランでさえも、昨季はその“掛け持ち”に耐え切れず、今季はまさかのUEFA杯出場とそのステータスを格下げしてしまった。ユベントスもA復帰後初年度はカルチョの成績こそ良かったが、今季のチャンピオンズリーグではまだ未知数。彼らがカルチョと欧州王座のタイトルを“掛け持ち”して苦しんでいる中で、プロビンチャたちがカルチョの主役になるチャンスは大いにあるはずだ。

 今季のカルチョ6節まで終えて、首位を走るのはラツィオ。6試合で6得点とチームを牽引するのは今季から新加入のアルゼンチン人マウロ・サラテだ。彼はメッシのと同期の21歳。今やスーパースターのメッシには大きく水をあけられてしまったが、昨季プレミアリーグのバーミンガムで14試合4得点という成績だったサラテは今季ラツィオに加入してから獅子奮迅の活躍を見せている。昨季共に14得点でチームを引っ張ったロッキ、パンデフの両エースも健在。ロッキは怪我の離脱が長引いているが、パンデフは6試合で4得点と今季もゴールを量産。新戦力のサラテと共に3人のエースがラツィオの大きな原動力になっている。

 「新たなサイクルを開く年」と公言するロッシ監督はチームを率いて4年目。エレベーターのように毎シーズン目まぐるしく変わる順位に歯止めをかけたい。昨季はチャンピオンズリーグとの掛け持ちに失敗して、最終的に12位という成績に泣いたが、今季はピンポイントの的確補強で、これまでの基本的な陣容の熟成が問われるシーズンだ。チェコ代表のロゼフナルを昨季途中から核としたDF陣は、今季新加入はスイス代表としてEURO2008に出場したリヒトシュタイナーのみ。GKにリーベルからカリーソを補強できたのは大きいが、ここまでの戦いぶりを見ると、前線のサラテに勝る補強はない。どこまでこの勢いを維持できるか、今季のラツィオは欧州タイトルとの“掛け持ち”から解放されて、大いにカルチョを盛り上げてもらいたいものだ。

 そのラツィオを同勝点で追走するのがウディネーゼ。クアリアレッラ、ディ・ナターレ、ペペというアタッカー陣が好調で、UEFA杯緒戦でもドルトムントを2-0で下した。特筆すべきはここまでカルチョ6試合でわずか3失点しかしていないDF陣だ。セルビア代表のルコビッチを旗手に、ナポリからドミッツィが加入して安定感が増した。若手のコーダもイタリア五輪代表として北京五輪に挑み、そのモチベーションそのままにレギュラーの位置を確保している。リボルノから加入したパスクアーレもしっかりチームの一員として貢献しており、この活力に溢れたDF陣は今季のウディネーゼのスタートダッシュを支えていると言えるだろう。4バックと3バックを巧みに使い分けるマリーノ監督の手腕が、今季UEFA杯とカルチョを“掛け持ち”するチームの浮沈を握る。

 インテルを挟み、4位につけるのは、先日ユベントスを破ったパレルモ。ユベントス戦の前半24分、先制点を奪ったのはミッコリだった。古巣相手に叩き込んだこの1発は今季早くも5得点目。そのユベントスに引き抜かれたアマウリに代わって、5試合で5得点とエースの存在感を見せつける彼の活躍はパレルモの大きな力になっている。加えて、A昇格後の04-05シーズンから安定して中位を維持するポテンシャルは本物。今季も陣容のほとんどが新戦力で、特にビオラから今季加わったリベラーニの存在感は大きい。リボルノからマルコ・アメリアを最後尾に補強した陣容は、A昇格後のパレルモの総決算を見せるべき充実したメンバーだろう。今季のカルチョで最もサプライズが起こせるチームではないだろうかと個人的には思っている。

 彼らプロビンチャの躍進なくしてカルチョは盛り上がらない。欧州タイトルを“懸け持ち”するビッグクラブを彼らがカルチョで出し抜いてこそ、プレミアの隆盛に押されがちなカルチョの復権は果たされるのだろう。そういう意味では、まだまだ始まったばかりのカルチョ。今季も目が離せない。お金持ちのプレミアには負けていられないのだ。

東欧に芽生えるビッグクラブの資本力

2008年10月03日 | 脚で語る欧州・海外
 昨季のUEFAカップを制したゼニトが何かと注目を集める今季のUEFAチャンピオンズリーグ。確かにEURO2008でロシア代表の躍進の原動力にもなり、シーズンオフにはその去就がビッグクラブの間で話題になったアルシャービンがチームの核。それもやむを得ないだろう。しかしながら、名将アドフォカートが率いる07年のロシア王者は23年ぶりのこの舞台で厳しいグループ分けによる強豪との同居に苦しむ。緒戦のユベントスに0-1、そしてR・マドリーに1-2で連敗を喫し、ノックアウトステージへの突破は非常に難しくなった。

 確かにゼニトにはスペクタクルの要素が強い。R・マドリー戦でも終盤に猛攻を披露。あわやイーブンに持ち込んでもおかしくない試合ではあった。ポゼッション重視の前のめりのサッカーは、UEFAスーパーカップでマンチェスター・Uを下したことにも起因される自信に溢れている。しかし、さすがにそれだけではチャンピオンズリーグは勝てない。

 対してグループAで静かな旋風を巻き起こしているのはCFRクルージュ。予選免除で初の本選に進出した昨季のルーマニア王者だ。本選に臨む前に彼らにはゴタゴタが起こった。アンドネ前監督が国内リーグでの不振から解任の憂き目に遭い、暗雲が垂れ込めた。しかし、グループステージが始まればそんな話題はどこ吹く風。緒戦でASローマをアウェイながら2-1で下し、先日の2節では昨季ファイナリストのチェルシーに堂々の引き分けを演じて見せたのだ。特にローマを相手にファン・クリオが奪った同点弾までの流れは素晴らしい展開で、今季最大のサプライズと言えるだろう。

 そのルーマニアからもう1チームがこのチャンピオンズリーグに臨んでいるが、オールドサッカーファンにはお馴染みの名門ステアウア・ブカレスト。ガラタサライとの死闘、予備予選3回戦をトータル3-2で勝利し、3年連続のグループステージ進出を決める。緒戦のバイエルン戦は惜しくも0-1で惜敗したが、2節のフィオレンティーナ戦では何とか0-0のスコアレスドローに持ち込んだ。ルーマニア代表DFのゴイアン、ラドイを軸とする堅守は手応えを感じる。同居するリヨン、バイエルン、フィオレンティーナも足並みを揃えてまだ結果が芳しくないため、次戦のリヨン次第では、このステアウアも何かドラマを見せてくれる可能性はある。ピツルカ(現ルーマニア代表監督)を中心に欧州を制した当時と比べるのは酷だが、目標は久々のノックアウトステージ進出と胸を張ってもおかしくはない。

 このゼニト、CFRクルージュ、ステアウア・ブカレストの3チームにはビッグクラブに脱皮すべき上でそれを満たす共通項がある。それは豊富な資金力だ。ゼニトは世界最大の天然ガス企業「ガスプロム」が多くの投資を惜しまず続けており、かつてサレンコ(94年ワールドカップ得点王)が在籍した20年前とは比べものにならないほど、遙かにチームのステータスはアップした。CLの舞台こそ23年ぶりだが、今後常連となるためにも現在の陣容のクオリティと結果を残していくのは至難ではないはず。アルシャービンだけでなく右サイドのアニュコフ、中盤のデニソフ、前線のボグレブニャクと若きロシアのスターたちが今後欧州を席巻する日も夢ではないだろう。
 
 CFRクルージュも5年前まではルーマニアでも2部リーグで戦う無名のチームにすぎなかったが、自動車販売会社経営で名高いアルパード・パスカニーが経営に乗り出すと一気にチームは変貌。ポルトガルのベンフィカとの提携もチームに恩恵をもたらし、現在ではグループステージ登録Aリスト22人中なんと17人がブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、ポルトガルなどのの外国人選手たちになった。イタリア人のトロンベッタ監督の手腕次第では今大会でさらにサプライズをもたらしてくれるかもしれない。さらには長期的に見てもCLの常連も狙えるだろう。

 ステアウア・ブカレストも国内屈指の大富豪ゲオルゲ・ベカリの恩恵を受ける。欧州に響くセンセーショナルな話題こそ皆無だが、今季加入したセメド(←CFRクルージュ)の積極性などフィオレンティーナ戦では好材料も見えた。ルーマニアU-21代表のスタンク、コロンビア代表のモレノなど若手と新戦力が多いだけに、グループステージで粘ることは可能だ。かつてのクラブの栄光が大きすぎるだけに、今後もベカリの積極的な投資で補強を進められれば、クルージュと共にルーマニアのクラブサッカーを世界に轟かせることも夢ではない。

 たとえ、他のビッグクラブに知名度では負けようともこの3クラブには何か可能性を感じる今大会。「優勝」を具体的な目標には設定しがたいが、来季に繋がる戦いぶりを最後まで見せてもらいたいものだ。資本力がモノを言う欧州サッカーで、確実に東欧のチームにも欧州の頂を狙う意識が芽生えつつある。

BLUESが奏でる甘美な旋律

2008年09月17日 | 脚で語る欧州・海外
 今季のUEFAチャンピオンズリーググループステージの戦いが始まった。ホームのスタンフォードブリッジでフランスのボルドーを迎えたチェルシーは格の違いを見せつける4点差で勝利。これ以上ないスタートを切ることができた。

 14分、ランパードから自陣でサイドチェンジのボールを受けたカルバーリョが引いて来たデコにパスを出すと、デコはワンタッチで反転してPA前に走り込んだJ.コールへ。J.コールからダイレクトで叩かれたパスを右SBのボシングワがダイレクトでクロスを送り込む。落ちるようにそして十分なスピードを有したそのクロスは吸い寄せられるようにゴール前に顔を出したランパードの頭にピッタリと合った。先制点は実に鮮やかな流れで、今季のチェルシーのコンビネーションを具現化した。

 31分には、マルダが高い位置よりクロスを試みたことで得た左CKからJ.コールが自分よりに遙かに上背のあるDFを出し抜いて技巧なバックヘッドで追加点を奪う。先日のクロアチア戦で負傷した頭部の傷をものともせず小さなアタッカーは今季も健在ぶりをアピールした。74分に交代を告げられた際に「なんでオレが?」といった素振りを見せたが、それは本音だっただろう。何しろ、昨年の今頃はローゼンボリにホームで0-0と引き分け、モウリーニョ監督解任という事態に陥った。それを考えれば、昨季あと一歩で逃したビッグイヤー獲得へ向けて、今季はブルーズの誰もが楽しんでサッカーをこなしている。

 名将スコラーリ監督の就任もさることながら、何よりも監督の指示を厭わない従順な2ピースが今季のチェルシーの大きな鍵になっている。それはDFボシングワとMFデコだ。

 ボシングワは昨季まで不安定だったチェルシーの右SB事情を払拭してくれた。その鋭い攻め上がりと的確なクロスは左サイドへの極端な負担をかき消し、攻撃のバランスをもたらした。さっきまで高い位置でプレーしていたかと思えば、数秒後には自陣でシビアな守備を厭わないその運動量も大きな武器になっている。そして、そのライトサイダーを中央から糸引きコントロールしているのがデコだ。開幕から2戦連続でゴールを奪い、即座にチームはおろかプレミアリーグの水にも慣れた。ランパードと比較すると、プレーエリアが広く、DFラインの前まで下がって、しっかりと相手にプレスをかける姿も見受けられる。自身のシュートの技術やフィニッシュのアシスト役としては申し分なし。バルセロナ時代とは打って変わった“新生デコ”が今季のブルーズの心臓をランパードと分け合っているのは大きい。エッシェンが負傷で離脱し、マケレレも出てしまった今季は、若いミケルがワンボランチの先発を務めることも多くなるだけにこのデコの存在は非常に大きい。

 このソリッドな右サイドの進化は、左サイドのA.コールとマルダのコンビにも非常に良い影響がもたらされている。ボルドー戦では、躍起に再三ゴール前へ仕掛けるマルダの姿があった。フィニッシュへのプロセスはどうであれ、2点目のきっかけにもなり、82分にはそのマルダがお役ご免の1発を奪っている。カルーとの定位置争いは熾烈を極めるだけにこのような好循環がもたらされるのは今のチェルシーには良いことだ。

 ほとんど何もできなかったボルドー。それだけチェルシーの強固さは光った。しかし、これがプレミアも含めたメガクラブであれば、また違った展開にはなっただろう。早く今季のチェルシーがガチンコで戦う試合が見てみたいものだ。その意味では、20日のマンチェスター・U戦(日本時間21日の22時)がまず最初の試金石になる。彼らの旋律がどこまで赤い悪魔を苦しめるのか、非常に楽しみでしょうがない。

Da cosa nasce cosa. 思わぬ展開に

2008年09月10日 | 脚で語る欧州・海外
 あと1週間もすれば、ヨーロッパ・クラブコンペティションの最高峰であるUEFAチャンピオンズリーグのグループステージが開幕する。毎年のようにその放映権は高騰の一途を辿り、戦術のメインストリームがこの大会から全世界を席巻する。今季の決勝の地はローマはオリンピコ。2009年の5月27日、そこで対峙する2チームを今から予想するのは至難を極める。欧州中のメガクラブが自身の威信と誇りを懸けて戦う9ヶ月の道のりが始まる。

 グループステージの組み合わせを見ると、圧倒的にノックアウトステージまで盤石の戦い方が保証されたも同然のインテル。本選出場は初となるキプロスのアノルソシスをはじめ、ギリシャのパナシナイコス、ドイツのブレーメンとグループBを共にするが、実質のライバルはいない。64-65シーズン以来のビッグイヤー獲得が名将モウリーニョに課せられた最大のノルマだ。
 今やインテリスタだけでなく、イタリアのメディアの格好のネタになっているモウリーニョ旋風。イタリア・スーパーカップを「PK戦でしか勝てなかった」ということから一部で大きな敵意が上がっているようだが(WSD9/18号より)、この世界的名将の手腕を最も具体的に評価できるのはこのCLしかないと思う。個人的にはカンピオナートでは実質的ライバルはいないほどの充実した陣容を揃えるインテルがどれだけ“マジ”になってこのCLを勝ち進むか非常に注目だ。

 昨季のCLを見ていても、ベスト4にプレミア勢が3チーム残ったことからも分かるように、今や完全にメガクラブの資本がモノを言う時代。そんな時代でこそ、伏兵の活躍に期待してしまう自分がいる。個人的に大穴と思っているのはセルティック、フィオレンティーナ、スポルディング、フェネルバフチェの4チームだ。

 セルティックはまたもやグループステージでマンチェスター・Uと対峙する羽目になったが、中村のFKという飛び道具はもちろん、フェネゴールと2年目のマクドナルドの2トップにも期待が持てる。特に昨季の1stノックアウトラウンドのバルセロナ戦で見せた戦いぶりは、あと一歩で2年連続ベスト16という悔しい状況を抜け出せるだけの可能性を感じさせてくれた。第2戦で見せた3年目のハートリーと2年目のS・ブラウンを中盤の底に据える4-2-3-1は今季さらに成熟した連携を見せてくれるだろう。この場合トップ下は中村だ。スコティッシュプレミアだけでは物足りない。やはり欧州のメガクラブと張り合ってこそセルティック・パークでのこのチームの神々しさは映えるのだ。

 フィオレンティーナもジラルディーノがフィットしており、モントリーボ、クズマノビッチの若き主力に加え、中盤のアンカーに据えるべきフェリペ・メロと「超10代」と評価させるヨベティッチがブレイクすれば期待は大きい。個人的にはこのモンテネグロ代表のヨベティッチがどこまで縁の下の力持ちになれるかが今季のフィオレンティーナの肝となる気がする。あとは賠償金問題で揺れるムトゥがどれだけ平常心でプレーできるかだ。

 スーパーカップでポルトを下した昨季のポルトガルカップの王者スポルディングも、そろそろCLでのブレイクを狙いたい。パナシナイコスからポスチガを獲得し、モウチーニョは残留。DFカネイラのバレンシアから2シーズンぶりに復帰した。陣容だけ見ると他国のメガクラブには及ばないが、覇権奪回を掲げるリーガ・サグレスの消化次第ではその波をCLに持ち込める可能性は十分ある。幸いにもグループステージはバルセロナ以外は、シャフタール、バーゼルと組み合わせに恵まれた。

 EUROでスペインを優勝に導いたアラゴネスを新監督に招聘したフェネルバフチェはダークホースの最有力候補だ。マジョルカよりリーガ得点王のグイサの加入、エムレ・ベロゾグルがイングランドより帰還。厚い選手層と昨季から受け継ぐパスサッカーは更に発展の一途を辿るだろう。今季のシュクリュ・サラジョウルは昨季以上の歓喜と熱狂に包まれるはずだ。ジーコが見せた奇跡のベスト8の壁を越えられれば本物だ。

 9月16日、A~Dまでのグループステージの火蓋が一斉に切られる。戦いはいつも思わぬ展開に進むと考える方が面白い。

 


プレミアリーグ酔夢譚 1

2008年08月22日 | 脚で語る欧州・海外
 今季中のプレミアリーグ行き(いや、最大の目標はCL決勝生観戦!)を狙う筆者が徒然なるままに書きだべる、個人的なプレミアリーグハイライト。まずは遅ればせながらも開幕戦から。

 キングストン・アボン・ハルが、KCスタジアムが燃えた!なんといっても最大のサプライズはハル・シティことタイガースのフルハム食い。2-1と105年目にして初めてとなるプレミアシップ昇格後の緒戦をこれ以上ない逆転勝ちで収め、待ちに待った地元ファンの期待に応えた。8分にソル・ギヒョンのゴールでフルハムが先制したものの、22分にはハル・シティがマンチェスター・Cではほとんど出番の無かったMFジオバンニが胸トラップからドリブルで切れ込み、鮮やかなミドルを突き刺すと、81分にはFWフェイガンがPA付近右サイドでフルハムDFコンチェスキのチョンボをかっさらって、そのまま中央へ。これをフォーランが決めて見事逆転。途中出場コンビによる逆転弾でブラウン監督の采配力も冴えたし、何より中盤ではバーンビーとジオバンニの息も合っている印象。105年目の歓喜を得たハル・シティに今後も要注目。KCスタジアムの雰囲気もなかなか良さそう。

 一番本人たちが驚いたのはマグパイズことニューカッスルか。なんせ昨季は散々な目(11失点)に遭わされたマンチェスター・U相手にオールド・トラフォードで開幕戦なんていう悪夢のスタート。しかし、マルティンスのゴールで先制すると、フレッチャーに1点を返されるも結局1-1でタイムアップ。勝ったかのような騒ぎで開幕最高のスタート。ケビン・キーガンも満足げでマルティンスのヘッドが決まった時のあのオールド・トラフォードの静まりようがなんとも印象的。コロッチーニもまあまあフィットしている様子で今季のマグパイズは“脱・ザル守備”。

 ポール・インスがプレミアシップに帰ってきた(監督でね)!試合が最も面白かったのはエバートンとブラックバーンの一戦。ローバーズはMFダンがジャギエルカを軽くあしらって先制ゴールを決めると、前半終了間際にはエバートンMFアルテタの凄いFKが決まって同点に。左サイドの角度の無い所から直接ブチ抜いた強烈なFKはプレミア開幕戦ベストゴールじゃなかろうか。得点量産マシンのヤクブが決めて後半に逆転するも、その3分後にウォーノックからロングパス1本でサンタクルス!マークに付いていたレスコットも思わずオフサイドとセルフジャッジで気が緩んだ様子。ラストワンプレーでFKから勝ち越し弾を呼び込んだのもウォーノックの左足。ネルソンが頭で合わせたこぼれ球にオーイェルが詰めて劇的な勝利。ネルソンがオフサイドかどうかでかなりモイーズ監督もご立腹ですが、ファビオ・カペッロさんよ、スティーブン・ウォーノックを今一度招集してみたらいかが?

 ウィガンは今季も深刻そうやね。ザキのボレーは凄かったけど。10分でウェストハムに試合を決められてしまった。後半は押していたのになぁ。
 シティはビラにボコボコにされる始末、アグボンラホルに7分でハットトリックを許してしまって最悪の開幕戦。そりゃUEFA杯も負けるでしょうよ・・・
 ブッたまげた一撃はボルトンのステインソン。右サイドを突破して超高速クロス性シュート!昇格組のストークシティに厳しい1発をお見舞いして、それに続いたデイヴィーズとエルマンダーの2トップ。今季のボルトンはひと味違うかも。

 いきなりゴールを決めたナスリも凄かったけど、依然アデバイヨールも凄いアーセナルは不敗神話を築くエミレーツスタジアムでWBAを一蹴。なんかアルムニアも凄かったな・・・シルベストルを補強したそうで、微妙な選手層だけどどこまで今季のガナーズが不敗神話をホームで築けるか要注目。
 同じロンドン組でもスパーズは補強の甲斐無く開幕戦を落とすことに。ベルバトフ移籍騒動に揺れる中でドスサントスを中心に攻め込むも、ミドルズブラに後半2点を叩き込まれて万事休す。新加入のベントリーがウィーターのOGを導いたものの、アルシャビンを獲得できなかったのは痛い。中盤は十分に駒が揃っている。FWベントがリーグでも好調を保てば何とかなるのだが、ベルバトフが出て行くとなるとね・・・

 そしてリバプール、チェルシー共に開幕戦を白星スタート。特にチェルシー、文句なしのポーツマス戦。デコもチームに馴染んでいる様子で、問題なし。何よりもシーズン最初のゴールをコールが決めてくれたのは大きいし、残留を決めたランパードもPKを決めてしっかり勝利に貢献。14億円の年俸に見合う活躍ができると信じるのみ。テリーと合わせて約28億・・・というのが信頼の証拠。このクラブにしか出来ぬ芸当。あとはアネルカとドログバをどう共存させるか。え?シェフチェンコ?それはスコラーリがもうちょっと英語を上達させてからで。どうやらミラン復帰は消えた様子。

 サンダーランド戦のF・トーレスとキーンのシュートチャンスでのお見合いにはビックリした。

44年振り戴冠の陰に見たセナの姿 ~EURO 2008~

2008年07月01日 | 脚で語る欧州・海外
 後半12分、ヒッツルスペルガーに代わり、FWクラニィが投入される。その直後にバラックが渾身のシュートをわずかに左に外す。この時だったろうか。スペインの優勝が“予想”から“確信”に自らの中で変わった瞬間だった。ドイツがペースを掌握したのはこの前後の時間帯だけだった。それだけスペインの力は圧倒的で、中盤の構成力、集中された守備、たとえ今大会のエースが負傷欠場しても、従来の1トップで真のエースが躍動する。強い。グループリーグから圧倒的な強さでスペインが欧州の覇権を44年ぶりにモノにした。

 無敵艦隊は、ジャック・ティベール氏も“これまでで最高の大会”と語るEURO2008で、その名に恥じない航海をようやくやってのけた。守護神カシジャスから、前線で躍動した2人まで、世界の一流クラブで活躍する選手たちが揃う。伝統的なドイツの勝負強さをピッチでかき消した彼らの前に叶うチームが果たしてあるのか、と準々決勝のイタリア戦あたりから個人的には感じていた。
 今大会のMVPには決勝でも効果的なパスを連発したシャビが選ばれたが、個人的にはマルコス・セナにも同等の評価を与えたい気分だ。世界的な知名度は今一つかもしれないが、ビジャレアルで今季も34試合に出場し、4得点8アシスト。抜群の操舵力を誇る無敵艦隊のダイナモは、所属するチームでもアシスト王に輝くその実力を陰ながらいかんなく発揮した。特にこれといって大きな特徴はない。そう、数々のタレントを揃えるスペインにおける完璧な“黒子役”だ。彼がしっかり守備に重きを置いたリスクコンダクターになっていたことで、一列前のイニエスタ、シャビ、セスク、シルバが決勝でもそれぞれの持ち味を出し続けた。彼が35分に右サイドのカソルラとグイサの3人でドイツを完全に突破した場面などは、“なんと神様は意地悪なんだ”と思わせる場面だった。それだけどこかでこのセナの働きが労われるべきだった。彼自身にすれば自国の優勝が自身もその一員として達成できたことで十分なのかもしれないが。

 今大会前にはアラゴネス監督が一向にラウールを招集しないことが批判の的になったこともあった。しかし、もしラウールが招集されていれば、セナが落選していたのかもしれない。イニエスタやシャビを引き合いに出して、その批判をモノともしてこなかったアラゴネス監督だったが、その判断の正しさは結果で示した。セナが重宝されたのも頷ける。それだけ彼がチームの心臓としてハードワークを惜しまなかったこの大会は、そのセナの姿を最大のハイライトに自身にとっても忘れ得ぬ大会となった。

もう一つのEURO2008

2008年06月27日 | 脚で語る欧州・海外
 EURO2008本大会もいよいよ大詰め。遂にファイナリストが出揃った。ドイツとスペイン。個人的にも大会開幕前から優勝候補の筆頭として揺るぎなかったスペインの勝利を信じたいところだが、そんなことよりも今大会、別視点で個人的にEUROを楽しんでいる面もある。

 

 “やはり来たか”と思わせたのが、準決勝のドイツVSトルコの試合中にファンが乱入したところ。後半40分過ぎ、トルコのセミフが同点ゴールを決めた直後だった。日本で放映されていたWOWOWではクローゼが負傷し、顔を押さえてうずくまっている場面しかクローズアップされなかった。実況の久保田光彦氏は、警備員のタックルの様子まで完璧な実況を見せてくれたが、ここで乱入していたのが欧州一のお騒がせ乱入男のJimmy Jumpだったのだ。“まさか、もしかしてJimmy Jumpが来たか!”なんて個人的に想像していたが、後に本人のHPを見てみるとやはりその通り。しかも今回は中国のチベット抑圧に対するデモTシャツを着用していた様子。確か前回の2004年大会では、決勝戦で乱入してポルトガルのフィーゴに挑発行為をやってのけた。彼が根っからのカタルーニャっ子ということを考えれば彼の動機は当時を思い起こせば容易に想像が付く。
 それが今大会では、ドイツVSトルコだった。もちろんいつも通りの袋叩きで瞬時に場外へ。甚だ迷惑ながら、忘れた頃にやって来る彼の奇行っぷりが何とも面白いではないか。

 

 それはさておき、その他にもEUROは別視点で楽しめた。それはNIKEとadidasのプライドを掛けた対決だ。なんと今大会の決勝トーナメント進出8カ国中5カ国のユニフォームサプライヤーがNIKEという結果に。adidasは2カ国(ドイツ、スペイン)そしてPUMAは1カ国(イタリア)と、完全にここまでNIKEが大会を席巻したといっても良い。3ラインアップに及ぶEURO限定モデルのフットギアが大会に参加するスターたちの足下を彩り、勝ち進む各国の戦士たちの左胸にはスウッシュマークが光る。しかしながら、そのスウッシュマークが決勝戦で見られることはなくなった。決勝には、見事にadidasの2チームが勝ち上がるという皮肉の事態である。相変わらずスウッシュマークに世界大会のタイトルは縁が遠い。
 思えば、NIKEは2002年の日韓W杯でブラジルがトロフィーを掲げてから、長らく世界の舞台からはご無沙汰している。EUROではそのタイトルに全く無縁だ。これだけ欧州列強各国のユニフォームをサプライしながら。

 世界での強さをやはりアピールしたadidas。頂上対決はもうまもなくだ。結局最後はスウッシュマークでなく、スリーストライプが勝利を手にする。その構図から世界はまだ変わっていないのかもしれない。

マッチデイ2を終えて ~EURO2008~

2008年06月16日 | 脚で語る欧州・海外
グループA
<●チェコ 1-3 ポルトガル○>
<●スイス 1-2 トルコ○>

 このグループはもう3節を終え、全日程が終了してしまったが、やはり主役は“スター”C・ロナウドを擁したポルトガルだった。チェコに対しての対戦成績では、実はこの直近4試合(85年~96年)まで勝ち星が無かったポルトガル。しかし、新たなチームの主人公にとってはそんなデータを一蹴する試合となる。8分のヌーノ・ゴメスとのワンツーからの突破がデコの先制点を生み、2点目はそのデコのパスに自身で決めた。3点目のクアレスマの得点も“ほとんど”彼のゴールと言って過言ではない。素早いリスタートからのロングパスを持ち前のスピードで飛び出し、完全にフリーで演出した。今大会5得点全てに絡んでいる“彼”の大会になるかどうか。一番に進出を決めることになった決勝トーナメントが楽しみだ。
 「我々のユーロはここから始まる」と試合後にテリム監督が息巻いたように、トルコは、後半ロスタイムに試合を決めた。昨日行われたチェコ戦も劇的なものだったが、このスイス戦がトルコの粘り強さの真骨頂を垣間見れた気がする。スイスとは05年に行われたドイツW杯最終予選プレーオフで忘れ得ぬ因縁があった。試合後の大乱闘で、W杯出場とホームでの公式試合開催をしばし失うことになったトルコ。3年を経た後の劇的なリベンジは、熱狂的な国民に最高の歓喜をもたらすエピローグとなった。片やスイスは本大会敗戦が決まった。

グループB
<○クロアチア 2-1 ドイツ●>
<△オーストリア 1-1 ポーランド△>

 優勝候補の一角であるドイツを迎え撃ったクロアチアは、4-5-1に切り替え、中盤の応酬で優位に立った。24分に1トップに入ったスルナが先制点を奪うと、62分にはオリッチがゴール前のこぼれ球に詰め追加点。その後ポドルスキに1点を返されるも見事に勝利で決勝トーナメント進出を決定。クロアチアの“魂”が見えた好ゲームとなった。初戦オーストリア戦で消極的な戦いを見せたクロアチア、片やポーランド戦の素晴らしい完勝劇で充実ぶりをアピールしたドイツ。対照的な双方の姿が大一番で見事にひっくり返ってしまった。
 オーストリアもドラマを見せた。終了間際にヴァスティッチが大会最年長ゴールとなるPKを沈める。しかし、このPKの判定はオーストリアにとっては若干ラッキーなもの。ポーランドMFレワンドロフスキが相手ユニフォームを引っ張ったことに対するファウルの判定でほぼ勝利を手中にしていたポーランドは万事休す。試合後に激怒していたベーンハッカー監督、負けなかったことが唯一の救いか。しかしこの敗退でポーランドのグループリーグ敗退がほぼ確定してしまった。

グループC
<△ルーマニア 1-1 イタリア△>
<○オランダ 4-1 フランス●>

 “勝てないイタリアとフランス”2年前にドイツで世界一を争った2チームの体たらくぶりがグループCの最大のハイライトだろう。ルーマニア戦のザンブロッタのプレーなどはそれを象徴する気の抜けぶりで、自分たちでリスクを先に背負ってしまっている。ムトゥがPKを決めていれば更に面白い展開になったが、まだ彼らにも十分チャンスがある。次戦のオランダとは今大会予選で同組。1敗もしていない。
 オランダに大敗したフランスは、完全に過渡期か。前線にさっぱり冴えがなく、画面上でも常に釘付けにされるのはオランダの方ばかり。次戦は同じく四苦八苦するイタリアとの対戦。体たらくな試合だけは御免被りたい。

グループD
<●スウェーデン 1-2 スペイン○>
<●ギリシャ 0-1 ロシア○>

 個人的にも優勝候補の本命であるスペイン。ロスタイムにビジャのゴールでスウェーデンを一蹴したが、やはりここまでスウェーデンもイブラヒモビッチに頼ると厳しい。それは今大会サプライズ招集されたH・ラーションの存在が如実に物語るが、やはり前線の層が薄すぎる。また1戦目でゴールを挙げるなど活躍していたハンソンがスピードでの対応を露見させ、見事にビジャに振り切られ決勝点を許すなど致命的な欠陥を抱えている。
 それ以上に大会レベルに及ばなかったのが前回王者のギリシャ。不甲斐なくロシアに負けるとあっさりグループリーグ敗退が決定。前回大会よりも厚みを増した前線だったが、やはり“堅守速攻”のチームコンセプトがほぼ通用せず、前回大会の実力を上乗せできず、あれは“フロック”だったと思わせるに等しい戦いぶり。最終戦のスペイン戦では堅守だけでも持ち味を見せてもらいたい。

 今大会を期に投入したBD(BLU-RAY DISC)のおかげで非常に心地よい観戦状況ができている。しかし、この技術、もっと早く飛びついても良かったかもしれない。