歌わない時間

言葉と音楽について、思うところをだらだらと。お暇な方はおつきあいを。

ガーディナー『パーセル名曲選』

2008年02月23日 | CD パーセル
England, my England - The Story of Henry Purcell
Smith, Dawson, Argenta, Graham, Chance, Bowman, Agnew, Varcoe, Harvey, Thomas
Monteverdi Choir
English Baroque Soloists
John Eliot Gardiner
0630-10700-2

1995年録音。75分49秒。ERATO。《England, my England》というタイトルの映画のサウンド・トラック。その映画のほうはわたしは見てないんですが、ガーディナーのパーセルなら安心だし、曲目を見たらパーセルのアンソロジーとしてなかなかよく選んであると思ったので買いました。いやもう十年も前の話ですけどね。わたしが買った後で国内盤でも出たはずですよ。

「トランペットと弦楽のためのソナタ」からはじまって、『来たれ、汝ら芸術の子ら』のはじめのほうのカウンターテナーのソロとデュエット、「罪におののく夜に」「フェアレスト・アイル」「ディドーの嘆き」「メアリー女王の葬送音楽」、それからもちろん『アブデラザール』の「ロンドー」もあるし、『アーサー王』からはさらに「カム・イフ・ユー・デア」と、凍える神のシーンがそっくり取ってあります。劇音楽からアンセム、器楽曲まで目配りよく聴かせてくれます。演奏も闊達なので、CD1枚でパーセルの音楽を見渡すなら、これ。

1995年というと、ガーディナーが古楽の世界からはなれて近代ものを積極的に録音していた時期ですが、ここでのガーディナーはいいです。ガーディナーとパーセルはほんとに相性がいいですね。ガーディナーって人はこってりたっぷり歌わせる、ってことができない指揮者なんですが、パーセルの場合、あまりに朗々と歌い上げられるとかえって薄味の上品な妙味が飛んでしまうので、ガーディナーくらいの行き方でちょうどいいんです。